その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は堀昌之さんの『 悩み方が10割 「どうしよう?」が「行動」に変わる頭の使い方 』です。

【はじめに】「悩む技術」を身につければ、もっとラクに生きられる

 「最近、悩んでばかりで、ちっとも前に進めていない……」
 もし今、そんなふうに自分を責めて焦りを感じていたとしても、それは、決してあなたのメンタルが弱いからではありません。ただ、目の前にある複雑な問題を紐解き、次の一歩へ繋げるための「正しい悩み方の技術」を、まだ身につけていないだけなのです。

 私たちは日々の生活や仕事の中で、人間関係の摩擦、キャリアへの不安、予期せぬ突発的なトラブルなど、本当に数多くの問題に直面します。
 そのたびに、「どうして自分だけがこんなにクヨクヨ悩んでしまうのだろう」「もっとタフで強いメンタルを持たなきゃいけないのに」と、悩んでしまう原因を「自分の心の弱さ」に結びつけて、さらに自分を追い込んでしまうことはないでしょうか。
 でも、どうかもう自分を必要以上に責めないでください。

 私たちの人生はそもそも悩みだらけで、思い通りにいかないことの連続で、それは生きている以上、ごく当たり前で正常なことです。
 そして何より、そうやってあなたが今、必死に頭を抱えて悩んでいるということ自体が、現状を少しでも良くしたい、周りの大切な人を幸せにしたいと、前を向いて一生懸命に頑張っている何よりの証拠なのです。今この瞬間も、誰もが心の中に小さく泥臭い葛藤を抱えながら、今日という日を懸命に乗り越えようとしています。
 だからこそ、本当に大切なのは、「メンタルを強くしよう」といった出口のない精神論ではありません。誰もが抱え、乗り越えようと頑張っているその「悩み」に対して、どう付き合い、どう脳内を整理してあげれば、心が少しでもラクに次の一歩を選び取れるか、という「悩み方」の実践的な技術なのです。

 不安の霧の中で立ちすくみ、自分をすり減らさずに、軽やかに前へ進むための頭の使い方。その大切さを伝えたいという思いを込めて「悩み方が10割」という言葉を本書のタイトルに選びました。

 私は普段、戦略コンサルタントやPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)として、企業のマーケティング戦略の立案から、現場の人材育成、組織開発のサポートまでを幅広く生業にしています。同時に、プロフェッショナルコーチとして、日々さまざまなビジネスパーソンのみなさまと1対1で真剣に向き合っています。

 そのうえで、最初にはっきりとお伝えしておきたいことがあります。

 この本は、コーチングの本でも、コンサルティングの本でもありません。
 「悩みと向き合うためにどのような考え方をすればいいか?」「どのように動けばいいか?」、その方法論をシンプルにまとめた本です。

 なぜ、そこまで徹底して「考え方」と「動き方」の具体的な方法論だけに絞った内容にしたのか。それは私自身が、かつて大きなピンチに直面し、夜も全く眠れなくなるほど深く思い悩んだ原体験があるからです。その暗い現実の中で、先人たちの心理学を学び、コンサルの構造化ロジックを自らの心へと投入し、毎日の生活の中で実験と検証を繰り返しました。自分自身が深い悩みを経験し、そこから生還するために必死にあがいたからこそ、教科書の羅列ではない、本当に心の支えになる「悩み解決のメソッド」として磨き上げることができました。
 だからこそ本書は、今あなたが抱えているどんなに小さく見える日常のモヤモヤにも優しく寄り添い、同時にビジネスのタフな局面にも、確実に通用する確かな羅針盤になれると確信しています。

 たどり着いた結論は、驚くほどフラットで、シンプルなものでした。

× 悪い悩み方──感情に支配され、コントロールできないものに執着してフリーズ
〇 良い悩み方──構造を可視化し、今日コントロールできるタスクに変換して動く

 この「良い悩み方」をあなたの日常に無理なく実装し、自分の人生のハンドルをもう一度力強く握り直してもらうために、本書は以下のようなステップで進んでいきます。

 第1章では、「悩みすぎる人生がいかに膨大な時間のロスか」という現実を見つめながら、過信や他責、あるいは変えられない過去への執着を手放し、自分の力で正しく悩みに向き合うための「心の土台」を丁寧に作っていきます。

 第2章では、仕事や人間関係といった「具体的で目の前にある悩み」をスパッと解体し、確実にクリア可能なタスクへと変換するための「5つの実践的メソッド」をお渡しします。これで、もう得体の知れないモヤモヤに怯える必要はありません。

 第3章では、先が読めない予測不能な時代において、多くの人が囚われがちな「漠然とした未来への不安」の正体を暴きます。「やりたいこと」という言葉に押しつぶされることなく、あなたの進むべき方角を静かに示す「人生パーパス(北極星)」と、明日からすぐ動ける「今やれる極小の一歩目」を一緒にデザインしていきます。

 そして最後には、悩みと上手に共生しながら、あなたがこれまでの歩みとこれからのしなやかな成長に、深い誇りを持って生きていくためのメッセージを贈ります。

 悩むこと自体は決して悪いことではありません。ただ、ほんの少しの「技術」を知っているかどうかで、あなたのこれからの時間の使い方が劇的に変わっていきます。
 この本を読み終える頃には、あなたの頭の上を覆っていた濃い霧は少しずつ晴れ、次に進むべき確かな足場がカチッと作られているはずです。

 もう、悩みの前でフリーズして、貴重な人生の時間をロスすることはありません。一緒に「良い悩み方」の静かな、本当に小さな一歩を踏み出してみましょう。

堀 昌之


【目次】

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