その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は高見浩輔さんの『 パウエルFRB 迷走の代償 』です。

【まえがき】

 戦争や金融危機といった有事には、世の中がどんな力学で動いていたのかが急に見えやすくなるときがあります。「大統領に次ぐ権力者」と呼ばれる米連邦準備理事会(FRB)の議長が40年ぶりの高インフレに苦闘する姿を米首都ワシントンの駐在記者として間近で見たとき、それを実感しました。

 FRBは世界最大の経済大国アメリカの「エアコン」です。室温が低ければ温度設定を上げて景気や物価を押し上げ、過熱しそうなら温度を下げます。問題は空調が完全に効くのにざっと1年かかること。物価上昇という目の前の危機と、将来的に経済を冷やしすぎて大量の失業者を生んでしまうリスク。最適解が誰にも分からないなか、出遅れたFRBは歴史に残る急ピッチの金融引き締めで巻き返しを図りました。

 誰が何に責任を負ったのか。誰が何から逃げたのか。政治や市場、メディアの動向を含めて、現地で見たこのドラマチックな出来事をまとめたら普段はみえにくいパワーバランスを立体的に可視化できるのではと思い、この本を執筆しました。

 日本にとっても対岸の火事ではありません。米国は新型コロナウイルス禍の前まで「日本のようになる」と予想されていました。米国の経験から何かに気づく、この本がその一助になれば望外の幸せです。

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【目次】

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