その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は下園壮太さんの『 50歳からの心の疲れをとる習慣 』です。

【はじめに】

心が疲れやすくなったあなたへ

 50歳を過ぎて体力の衰えを感じるようになった人は多いでしょう。仕事が忙しくても徹夜などもってのほか。寝不足の日が数日続くと頭がぼーっとして、うっかりミスをしてしまうこともよくあります。

 「疲れがたまってきたから、しっかり寝よう」と思って早めに布団に入ったのに、朝目が覚めたら疲労が抜けきっておらず、ぐったりしたまま1日を過ごす、などということも普通にあります。

 しかし、私が心配しているのは、体力の衰えよりも、「心が疲れやすくなること」です。

 年齢を重ねていくと、疲労がなかなか抜けなくなるだけでなく、ちょっとしたことでイライラしたり、傷つきやすくなります。また、気分の浮き沈みの波が大きくなり、新しいことに挑戦する意欲も衰えてきます。

 それだけでなく、ストレス耐性が低下し、特に人間関係にストレスを感じるようになり、新しい人間関係を作るのがおっくうになって、休日は家に引きこもりがちになってしまう人もいます。

 私は心理カウンセラーとして長年活動してきました。その経験から言えるのは、心が疲れやすくなっても、ほとんどの人はそれに気づかないということです。

 同僚の何気ない一言に傷ついたり、仕事上のミスをいつまでもクヨクヨと引きずったり、イライラして家族に八つ当たりしたり……。頭が働かなくなって、同じ作業を何回も繰り返し、仕事がいつまでたっても終わらないということもあります。

 そんなとき、「心が疲れやすくなっているんだな。ちゃんと休もう」と思える人はまれです。多くの人は「どうもたるんでいるな。気合いを入れてがんばろう」とさらに無理をしてしまうのです。

 するとどうでしょう。気がついたら、朝起きたら体が石のように動かなくなっていた、めまいがして会社に行くのを断念した、なんとか出社したもののトイレで吐いてしまった、といった「うつ病一歩手前」の症状が現れてしまいます。

 もしくは、心が疲れやすくなっていることに気づかずに、「最近どうも気分が晴れないな。旅行に行ってリフレッシュしよう!」と、予定をみっちり詰め込んだ旅行に出かけてしまう人もいます。案の定、家に帰ってきたらどっと疲れが出て、メンタルが猛烈に落ち込み、何も手につかなくなるということも……。

 人生100年時代といわれるようになり、50歳はその「折り返し地点」になりました。50歳を過ぎてから、誰もが残りの長い「人生の後半」を生きることになります。そのときに何よりも大切なのは、「心の疲れ」をきちんとケアすることだと私は考えています。

 歳をとってから体の健康について気を配るようになった、という人は多いと思います。また、老後の資金面についても、あらかじめ準備しているという人も増えてきました。ただ、メンタル面についてはノーケアという人がほとんどではないでしょうか。

 心が疲れやすくなった私たちは、疲労をためないように、日々の習慣を少しずつ変えていかなければなりません。習慣を変えれば、メンタルが落ち込んだときや、感情が乱れてコントロールが難しくなったときにも、その影響を最小限にとどめることができます。

 この本では、そうした「習慣の力」を自分の味方にするために、私たちの心がどのような仕組みになっているのか、年齢とともに心がどのように変化していくのかについても解説しています。また、定年退職を迎え、生活環境がガラリと変わったり、身近な人が亡くなるなど、メンタル面で危機を迎えやすいときの対処法についてもページを割いています。

 本書がみなさんの心の平穏の役に立てたらこんなにうれしいことはありません。

下園壮太

【目次】

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