その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はアンドリュー・マカフィーさんの『 ギーク思考 圧倒的な結果を出す型破りな思考法 』です。リード・ホフマンさんの序文をお届けします。(訳:小川敏子)
FOREWORD
【序文】──リード・ホフマン
偉大なIT起業家はITに卓越した才能と知識を持つギークであると同時に、ビジネスのギークでもあるはずだ。彼らはアップルの有名な宣伝コピー通り「Think different」(発想を変える)ための方法を知っている。彼らは貪欲な好奇心を持ち、実験が大好きで、よりよいプロダクトと企業をつくろうとチャレンジする。多くの人が、現代は「ギークの時代」だと思っているにもかかわらず、ビジネス界のギークの中心的原則と思考法について、誰も分析や解説をしてこなかった。私の2冊の著書、『ALLIANCE(アライアンス)』と『ブリッツスケーリング』は人材管理と数十億ドル規模の事業を築くことについて詳細に書いているが、なぜ地球の未来がギークたちに委ねられたのかという根源的な問いには答えていない。
ビジネス研究のアルファギークであるアンドリュー・マカフィーは、この新しい著作で、ギークとは何者か、どのような信念を抱いているのか、なぜこの数十年間に素晴らしい成功を収めてきたのかという核心部分に迫っている。マカフィーは、経営理論、競争戦略、進化研究、心理学、軍事史、文化人類学を組み合わせ、ひとつの統一理論(「ギーク思考(ギークウェイ)」と彼は呼ぶ)を使って、なぜテック・スタートアップのやり方が世界の大部分で成功を収めたのかを解き明かした。
マカフィーの議論の大部分は、アマゾンやグーグル、マイクロソフト、ネットフリックスなどのビッグ・テックやテック・スタートアップの徹底的な分析からもたらされているが、小学生や軍事戦略家やチンパンジーについての知見、自信過剰や名声や噂話などといった人間の欠点と思われがちな要素がいかに組織の成功に不可欠であるのかなど、幅広い分野から教訓を提示している。
なぜ多くの企業が官僚主義や非倫理的行動に毒されていくのか、企業価値を破壊するこうした悪事に立ち向かう文化(カルチャー)とは何か、そうした文化を築くために重要な4つの規範についても学べる。文化がどのように機能し、なぜ重要なのかをエビデンスに基づき詳細に説いた点は、本書の最大の貢献だろう。本書を読めば、「文化」のことを、曖昧(あいまい)なマネジメントの流行語とは見なさなくなるだろう。
21世紀の組織を築く方法を模索するリーダーにとって、本書は必読である。テック業界をよく知らない人向けに、マカフィーはABテストやソフトウエアのアジャイル開発など、重要なコンセプトをわかりやすく説明している。一方テック業界のベテランにとっては、ベストプラクティスと揺るぎない信条の多くが、じつは何百万年もかけて進化した人類の根幹に根ざすものであったと理解することは大きな利益があるはずだ。私自身はシリコンバレーの一学徒で後世に歴史を伝える役目を帯びていると長年思ってきたが、本書を通じて知らなかった多くのことを新たに学び、メモを大量に取った。あなたもきっと、同じ経験をするにちがいない。
【目次】

