その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は前田昌孝さんの 『株式投資2023』 です。

【はじめに】

 2022年もあと2カ月を残すだけとなった。10月までの10カ月間を振り返ると、新型コロナウイルスの世界的流行も3年目を迎え、収束への道が見えてくるのではないかとの期待もあったが、まだ展望は開けず、新たにロシアのウクライナ侵攻という想定外の要因も加わって、世界経済はなお大きな不安に包まれている。

 世界の株式相場の動きを示すMSCI全世界株指数(ドルベース)は、2021年11月16日に付けた758をピークに下落に転じ、2022年6月17日に23.0%安の584まで下げた。その後、8月にかけて持ち直す場面もあったが、再び9月16日は600を割り、10月12日には550まで下げた。

 高値から年初来安値を付けた10月12日までの下落率は27.4%だ。市場参加者の多くは高値から20%の下落は本格調整入りの目安と考えている。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が2022年8月26日の講演で、当面はインフレ抑制を最優先に金融引き締めに舵を切ると強調したこともあり、世界の株式相場は当面、景気不安を抱えながらの厳しい局面が続くとの見方も強い。

 筆者は株式の投資家ではないが、経済や市場の動きに関するさまざまなデータを日々分析している。改めて感じるが、経済や株式相場の先行きは誰にも予想ができない。専門的な勉強を重ねれば、優れた企業をえり分けることができるかもしれないが、株式の売りどきや買いどきは誰にもわからないと考えている。

 だから株式投資は面白いともいえる。誰にも同等に勝つチャンスと負けるリスクがある。修練を重ねたプロばかりが常に勝つような相場は面白くない。勝てるかどうかは冷静に考えれば宝くじ同様、確率の世界にすぎないのに、神様だとあがめられる人がいたり、知恵を絞れば勝てそうに見えたりするところも、株式投資の魅力ではないだろうか。

 非課税制度を利用して投資信託の積み立てを始めようと考えている読者もいるかもしれない。銘柄を分散し、時間を分散し、長期的に取り組めば、リスクは中和されて小さくなる? そんなことはまったくないから、心得てほしい。20年後か30年後か40年後かには、運が良ければすごくリッチになり、運が悪ければ元本確保もままならず、大多数は期待外れだったが、やらないよりはましだったという程度に落ち着くのではないだろうか。

 本書はそんな株式市場とどう付き合うかの案内書だ。袋とじ銘柄などは書いていないから、期待されても困る。2023年版だから、題材は主に2022年に発生した出来事からとった。文章部分のあらましは9月中旬の3連休で一気に書き上げ、印刷に入るぎりぎりの10月18日まで文章と図表類のアップデートをした。

【目次】

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