先が読めない世の中を生き延びるには、「声がかかる」ことが不可欠だ。そのために求められるのが、「周囲から必要とされる力」だと言えるだろう。 『なぜか声がかかる人の習慣』 (日経BP)は、その力を習得するための方法を伝授する一冊。2回目の今回は、著者の高橋浩一さんに、「声がかかる人」を目指すうえで有効なフィードバックについて教えていただいた。(聞き手は、日経BP編集者の雨宮百子)

人生の大事な場面では他人に決定権がある

雨宮百子・日経BP編集者(以下、雨宮) 今回は、この本の前半のポイントについて、お聞かせいただけますでしょうか。

高橋浩一(以下、高橋) 第1章では、個の時代である今、振り回されずに生きることの大切さについて、そして第2章では、そうした時代に働き方を選ぶときの落とし穴について説明しています。近年、副業・複業などさまざまな働き方が出てきましたが、そうした新たなモデルが登場するときというのは、新たな落とし穴も出現するものですから。

 さらに第3章では、そうした落とし穴にはまる人と、はまらずに声がかかる人の違いについて。第4章では、声がかかる人になるための9つのステップについてご紹介しました。

雨宮 その中で高橋さんは「人生の大事な場面では他者に決定権がある」ということを主張されていますね。

高橋 人生というのは、意外と思い通りにならないものです。恋愛にしても、就職にしても、相手あってのものですから。自分がどれだけ望んでも、相手にOKをもらえなければ希望がかなわないことはたくさんある。他者に決定権があるわけですから当然ですよね。ただ、これは裏を返せば、他者がどのように決定しているのかを知れば、自分の希望を通しやすくなるということでもあるのです。

「相手はどのようにして決定しているのか」――これを考えると自分の希望を通すヒントが見つかる
「相手はどのようにして決定しているのか」――これを考えると自分の希望を通すヒントが見つかる
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雨宮 他者に決定権があるというのは、意外と見落としがちなポイントですね。

高橋 例えば恋愛においてもそうなのですが、どんなに相手のことを好きになったとしても、相手に振り向いてもらえないということが起こり得る。相手が自分を好きになるかどうか、その決定権は相手にあるからです。恋愛と営業って似たところがありますよね。どのようにして相手にOKをもらうかという観点が、営業とよく似ています。

雨宮 面白いですね。高橋さんは、人の心が動く瞬間に詳しくなることの重要性も強調されていますよね。

高橋 相手の心がどのように動くのかを予想してみても、外れていることは結構多い。例えば企業に採用されたとき、その実際の理由は、話したときの感じの良さやメールの表現の細やかさなのに、本人は意外とそのことに気づけていなかったりします。相手に聞けば分かることなのですが。

フィードバックによって自分の強みを知る

雨宮 そこで、前回もお話しいただいた、フィードバックが鍵となるわけですね。

高橋 そうです。そして、こういった場合に何を聞くかというと、ほとんどの人が「理由」を聞いてしまう。「なぜ選んでくださったのですか?」と。そうすると、聞かれた側は無難な答えをしがちです。ですから、聞くべきは「どの瞬間に心が動いたのか」。この問いに対する回答は、「理由」を尋ねたときよりもよほど頼りになるものです。

 例えば、「あいさつがよかった」という答えだったなら、次回から自信を持ってあいさつをすればいい。そうすれば、あいさつを武器にして、人とのつながりがどんどん広がっていくかもしれません。ただ、こうした強みを自分で見つけるのは難しい。相手に聞かなければ分からないのです。

雨宮 自分の強みを的確に知るためのコツはありますか。

高橋 何人かに聞いてみて、共通する答えに注目することですね。そうして、相手の心を動かず自分の強みというのを、客観的にあぶり出していく。

 僕は、そうして強みを把握できたら「小さな三連勝」をすることをおすすめしています。その強みをすぐに生かして、小さなことでも構わないので良い結果を生み出す。それを3回繰り返すのです。野球に例えるなら、ホームランではなく、コンスタントに当てに行ってヒットを3本打つようなイメージ。それを体験することで、自分の強みに対する確信がぐっと深まっていきます。

雨宮 そのようなフィードバックを、「ギフト」という言葉で表現されていますね。

高橋 はい。自分について教えてくれる、「ギフト」をくれる人の存在というのは、とても貴重なものです。そしてそういった人は、ちょっとしたコツを押さえれば増えていきます。

 具体的には、「あなたからもらったフィードバックを生かしてみたら、すごくいいことが起こりましたよ」という、感謝のフィードバックをお返しすること。そうするうちに、人間関係がどんどんよくなっていくはずです。

構成/谷和美

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