あなたは今、自分の強みを最大限に生かしながら働いていると言えるだろうか。毎日組織のために一生懸命働いていても、「いつまでこの会社にいられるのか」「自分のキャリアはこのままでいいのか」とどこか不安を感じている人は少なくないはず。でも、キャリアの正解を誰も教えてはくれない。「この本には、自分で解を見つける具体的なヒントがある」ーー。新刊 『キャリア・ワークアウト』 (日経BP)の読みどころを、転職や働き方事情に詳しい村上臣さんが語る。
新型コロナウィルスのまん延による爪痕は、経済だけでなく個人のキャリア感にも大きな影響を与えた。在宅勤務が可能な職種にもかかわらず、それがかなわない。家で過ごす時間が長くなったことにより、自身の働き方を再考するきっかけになった。そのような声も多く聞こえている。
「自分らしく働けていないのではないか?」という問いに、具体的に答えを導き出す方法論が本書にはある。
誤解を恐れずに言えば、本書は「筋トレ」の本だ。ただ、その対象は物理的な肉体ではなく、キャリアである。著者の田中研之輔氏は法政大学キャリアデザイン学部でライフキャリア論を教えながら、「プロティアン・キャリア」という最先端のキャリア理論について数多くの企業研修やセミナーにも登壇している専門家である。この理論を軸に、悩んでモヤモヤしている状態から一歩踏み出すためのトレーニング=「キャリア・ワークアウト」を提唱している。
理論といっても身構える必要はない。「突然の異動で将来を悲観している」といったありがちなストーリーをベースにしながら、そこから脱出するためにはどうすればいいか。チェックリストや行動の手助けとなる方法論が具体的に述べられている。
「働くとは、悦びであり、キャリアとは生きざまである。」、との著者の言葉に、深く共感する。キャリアに悩むすべての方に、自信を持っておすすめできる一冊だ。