生活やビジネスの重要なインフラ基盤として普及したインターネット。その自由や恩恵を巡り競争や対立が世界中で起きています。その現状と問題点をより明確に把握するために10の対立軸をまとめた谷脇康彦氏の新刊『 教養としてのインターネット論 世界の最先端を知る「10の論点」 』について、経済ジャーナリストの町田徹氏が読み解きます。
30年ほど前に登場したばかりであるにもかかわらず、インターネットはすでに想像もつかないほど人間社会の様々な分野に浸透し、気づかないうちに我々の行動様式や生活を大きく変えた。新型コロナウイルス危機下で浸透したリモートワークも、ウクライナで行われている戦争がハイブリッド戦争と化しているのも、そのほんの一例にすぎない。
しかし、イノベーションの波は今、再びインターネットとそれを取り巻く環境を激変させようとしている。その原動力は何で、人間社会をどう変えるのか。
また、その際、守らなければならないものがあるとすれば、どうすれば守れるのか。日本ならではの特殊事情はないのか。
こうした数々の疑問に対して明確に答えたうえで、現代日本に生きるすべての人々が知っておくべき知識や価値観を提示しようという野心的な書物が、本書『教養としてのインターネット論 世界の最先端を知る「10の論点」』に他ならない。
リタイア組や働き盛りの人、これから社会に飛び出す若者にとっても、本書は必読だ。
筆者の谷脇康彦氏は、政府で40年近くにわたって日本の電気通信事業の競争環境の整備や、ネットセキュリティの強化などに尽力した中心人物。去年(2022年)から、日本のインターネット・プロバイダーの草分けであるインターネットイニシアティブ(IIJ)社の幹部に転身した。本書はそれに打ってつけの筆者を得たと断じてよい。
