新しいことにチャレンジするのにぴったりの季節。年齢やキャリアにふさわしい大人の教養を身に付けたいという思いを抱いている人も多いのでは? どんな人に教養を感じるか、どんなときに教養が欲しいと感じるか、思いはさまざま。アンケートで分かった、みんながもっと教養を身に付けたいと思っているテーマを中心に、おすすめの47冊をご紹介! 集中すれば3カ月ほどで読破できる数なので、興味のあるものから読み進めてみて。今回は書評メディア編集長、坂本 海さんおすすめの本を紹介します。
目次で全体をつかんでから読むと理解が早くなる
1年に約6000冊が発行されるビジネス書。書評メディアの編集長・坂本海さんは、「信頼できる人の推薦や、新聞・雑誌の署名入り書評を参考に選ぶといいですね。また海外の翻訳ものには質の高い良書が多いです」とアドバイス。
読み方にもコツがあるという。本は目次を見て全体に何が書かれているのかを頭に置いて読み進めると、理解が早くなるのだ。
「基礎となる知識を持つと今、会社がやろうとしていることなどが理解しやすくなる。幅広いジャンルに挑戦してみてください」

ビジネス書・新書の書評・要約メディア『bookvinegar』編集長。1976年、兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、半導体商社などを経て、2011年、読書好きが高じてブックビネガーを設立。これまで2000冊以上のビジネス書を紹介し、今もその数字を更新中。
萌えから推しへ。ファンとの対峙が新たな経済圏を生む
テレビを視聴する若者が減り、ネットへとエンタメビジネスが移行するなか、どのようにヒット作品が生まれるのか、『鬼滅の刃』『ウマ娘』などを例に解説。「昭和の高度経済成長からデフレ低成長時代を経て、消費者の志向がどう変わってきたのか考察されており、商品やサービスの企画、マーケティングを考える上でとても参考になります。なるほどと思える部分も多く、楽しみながら読めます」
サブスクやチケットの市場原理を音楽ビジネスを通して学べる1冊!
経済学者にして音楽好きの著者が、何十万件ものコンサートデータを分析、1200人のミュージシャンアンケート、多くのインタビューを踏まえて、音楽業界を経済の側面から解説。「サブスクリプションというビジネスモデル、ライブチケットの市場原理、お金だけでは動かない人間の心理が影響する経済の仕組みなどがテーマごとに軽妙な文章で書かれ、音楽ビジネスを通じて経済が身近になります」
これからのビジネスの最重要課題、SDGsを読み解く
現在、環境問題はビジネスにおいて最も重要なテーマの1つ。SDGsを読み解きながら、人口、出生率、年齢、GDP、成長率などさまざまなデータをもとに、これから起きる社会の変化を解説。「よりグローバルな目線で、今後のビジネスや経済がどうなっていくのか、全体像を把握できます」
リモートワークの今だから知っておきたいコミュ術
コロナ禍によって圧倒的に難しくなったのがマネジメント。「リモートワーク下でどんなマネジメントスタイルが結果を出せるのかを説き、特に部下を持つマネージャーにとって役に立ちます」。上司と部下という関係を超えて、人と人のコミュニケーションの本質的なあり方を考え直すきっかけにも。
企業ロジックの理解に役立つ経営学の過去〜現在を概観
「経営学をざっくり知っておくと、普段の仕事でも、どのようなロジックで企業が動いているのかを理解することができます」。経営戦略論や組織論のこれまでの流れを解説しながら、コロナ禍を経たニューノーマル時代を見据え、近年注目される最先端理論まで要点を分かりやすく紹介している。
[日経xwoman 2022年4月8日付の記事を転載]
構成・文/中城邦子 写真/スタジオキャスパー