1冊10分で読める書籍要約サービス「flier(フライヤー)」では現在2900冊以上の要約を提供、企業向けの「法人版」を通して多くのビジネスパーソンに活用されています。さて、どんな人が、どんな本の要約にアクセスしているのか。2022年8月の「年代別」ランキングを算出しました。「今、読んでおくべき本」を選ぶ際に、ぜひお役立てください。

 書籍要約サービス「flier」の2022年8月「年代別」ランキングです(対象期間:2022年8月1日~31日)。20代、30代、40代、50代、60代で、それぞれトップ10を算出しました。

■20代
順位 書籍名 著者名 出版社名
1 やわらかく、考える。 外山滋比古 PHP研究所
2 父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。 ヤニス・バルファキス、関美和(訳) ダイヤモンド社
3 お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか 「自然に貯まる人」がやっている50の行動 黒田尚子 日経BP(日本経済新聞出版)
4 節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本 朝日新聞出版(編) 朝日新聞出版
5 大人に必要な読解力が正しく身につく本 吉田裕子 大和書房
6 部下 後輩 年下との話し方 五百田達成 ディスカヴァー・トゥエンティワン
7 仕事は自分ひとりでやらない 小田木朝子 フォレスト出版
8 視点という教養(リベラルアーツ) 世界の見方が変わる7つの対話 深井龍之介、野村高文 イースト・プレス
9 あらゆる悩みを自分で解決! 因数分解思考 深沢真太郎、momochy(イラスト) あさ出版
10 なぜ、あの人には何でも話してしまうのか 心理カウンセラーのすごい「聞く技術」 山根洋士 アスコム
■30代
順位 書籍名 著者名 出版社名
1 仕事は自分ひとりでやらない 小田木朝子 フォレスト出版
2 部下 後輩 年下との話し方 五百田達成 ディスカヴァー・トゥエンティワン
3 やわらかく、考える。 外山滋比古 PHP研究所
4 父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。 ヤニス・バルファキス、関美和(訳) ダイヤモンド社
5 大人に必要な読解力が正しく身につく本 吉田裕子 大和書房
6 お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか 「自然に貯まる人」がやっている50の行動 黒田尚子 日経BP(日本経済新聞出版)
7 視点という教養(リベラルアーツ) 世界の見方が変わる7つの対話 深井龍之介、野村高文 イースト・プレス
8 「静かな人」の戦略書:騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法 ジル・チャン、神崎朗子(訳) ダイヤモンド社
9 あらゆる悩みを自分で解決! 因数分解思考 深沢真太郎、momochy(イラスト) あさ出版
10 なぜ、あの人には何でも話してしまうのか 心理カウンセラーのすごい「聞く技術」 山根洋士 アスコム
■40代
順位 書籍名 著者名 出版社名
1 やわらかく、考える。 外山滋比古 PHP研究所
2 父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。 ヤニス・バルファキス、関美和(訳) ダイヤモンド社
3 お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか 「自然に貯まる人」がやっている50の行動 黒田尚子 日経BP(日本経済新聞出版)
4 仕事は自分ひとりでやらない 小田木朝子 フォレスト出版
5 大人に必要な読解力が正しく身につく本 吉田裕子 大和書房
6 部下 後輩 年下との話し方 五百田達成 ディスカヴァー・トゥエンティワン
7 視点という教養(リベラルアーツ) 世界の見方が変わる7つの対話 深井龍之介、野村高文 イースト・プレス
8 あらゆる悩みを自分で解決! 因数分解思考 深沢真太郎、momochy(イラスト) あさ出版
9 節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本 朝日新聞出版(編) 朝日新聞出版
10 ERROR FREE 世界のトップ企業がこぞって採用したMIT博士のミスを減らす秘訣 邱強(著)、燕珍宜、陳銘銘(編)、牧髙光里(訳) 文響社
■50代
順位 書籍名 著者名 出版社名
1 お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか 「自然に貯まる人」がやっている50の行動 黒田尚子 日経BP(日本経済新聞出版)
2 父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。 ヤニス・バルファキス、関美和(訳) ダイヤモンド社
3 やわらかく、考える。 外山滋比古 PHP研究所
4 大人に必要な読解力が正しく身につく本 吉田裕子 大和書房
5 部下 後輩 年下との話し方 五百田達成 ディスカヴァー・トゥエンティワン
6 仕事は自分ひとりでやらない 小田木朝子 フォレスト出版
7 節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本 朝日新聞出版(編) 朝日新聞出版
8 なぜ、あの人には何でも話してしまうのか 心理カウンセラーのすごい「聞く技術」 山根洋士 アスコム
9 「静かな人」の戦略書:騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法 ジル・チャン、神崎朗子(訳) ダイヤモンド社
10 人生がすっきりわかるご縁の法則 名取芳彦 三笠書房
■60代
順位 書籍名 著者名 出版社名
1 父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。 ヤニス・バルファキス、関美和(訳) ダイヤモンド社
2 やわらかく、考える。 外山滋比古 PHP研究所
3 お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか 「自然に貯まる人」がやっている50の行動 黒田尚子 日経BP(日本経済新聞出版)
4 視点という教養(リベラルアーツ) 世界の見方が変わる7つの対話 深井龍之介、野村高文 イースト・プレス
5 大人に必要な読解力が正しく身につく本 吉田裕子 大和書房
6 プロ投資家の先の先を読む思考法 藤野英人 クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
7 人生がすっきりわかるご縁の法則 名取芳彦 三笠書房
8 節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本 朝日新聞出版(編) 朝日新聞出版
9 世界を変えた31人の人生の講義 デイヴィッド・M・ルーベンシュタイン、高橋功一(訳) 文響社
10 仕事は自分ひとりでやらない 小田木朝子 フォレスト出版

先々の不安を感じる20代、目の前の仕事に悩む30代

 20代と40代で1位となり、すべての年代でトップ3に入ったのが『やわらかく、考える。』(外山滋比古著、PHP研究所)。「東大・京大で、この10年で1番読まれた本」として知られる『思考の整理学』の著者による「発想術の超入門書」が、世代を超えて高い支持を得ました。

 『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』(ヤニス・バルファキス著、ダイヤモンド社)も、すべての年代でトップ4に入りました。世界25カ国で刊行、日本でも23万部超のベストセラーは、元財務大臣の父が10代の娘に向けて分かりやすく経済の本質を語る構成。文字通り「父」世代から「娘」世代に近い20代まで幅広い層で関心を集めました。

 20代で、この上位2作に続いたのが『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか 「自然に貯まる人」がやっている50の行動』(黒田尚子著、日経BP)と『節約・貯蓄・投資の前に 今さら聞けないお金の超基本』(朝日新聞出版)。「お金」に関する本がそろって上位を占めたのは、若者世代が抱える先行き不安感の表れでしょうか。

 30代では、1位に『仕事は自分ひとりでやらない』(小田木朝子著、フォレスト出版)、2位に『部下 後輩 年下との話し方』(五百田達成著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)。責任ある仕事をたくさん任され、後輩とのコミュニケーションや育成にも目を配ることが求められる人たちの「今、切実に知りたいこと」が端的に表れているように思えます。

 『視点という教養(リベラルアーツ) 世界の見方が変わる7つの対話』(イースト・プレス)は「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」オーガナイザーの深井龍之介さんとPodcast Studio Chronicle代表の野村高文さんによる人気ポッドキャスト「a scope~リベラルアーツで世界を視る目が変わる~」を書籍化したもの。物理学、文化人類学、仏教学、歴史学、宗教学、教育学、脳科学のトップランナーとの対話から「思考OSをアップデートするためのさまざまな視点を獲得せよ」と打ち出します。

 「視点」というキーワードで改めてランキングを見てみると、『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』も、専門家同士の経済談義ではなく、「若者たちにも分かるように」という視点から語ることで世界的な人気を集めています。『なぜ、あの人には何でも話してしまうのか 心理カウンセラーのすごい「聞く技術」』(山根洋士著、アスコム)では「話す人の視点」を理解してこその「聞く技術」を説いて支持を得ていますし、『部下 後輩 年下との話し方』も「部下や後輩の視点」を理解してこその話し方がポイントに。

 ついつい「自分の当たり前」だけで判断して、周囲の理解が得られなかったり、行き違いが生じたり、物事がうまく進まなかったりするのは、多くの人が経験することでしょう。「ちょっと視点を変えてみる」。本はそのための下地づくりに役立ったり、気づきを与えてくれたりします。そんな本との出合いを大事にしていきたいものです。

(写真:Shutterstock)
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2022年8月 必読の1冊 from flierランキング

『やわらかく、考える。』

外山滋比古
PHP研究所
748円
2022年6月27日刊

<おすすめポイント>

 本書は『思考の整理学』で知られる外山滋比古氏の金言集である。『思考の整理学』は「東大・京大 この10年で1番読まれた本」という帯コピーのとおり、知的活動をする上での必読書と言ってもよいベストセラーである。実際に読んだことのある人も多いだろう。

 外山氏は、本来的には英文学を専門としながら、日本語や俳句についての評論を多数発表している言語学者・評論家である。そうしたバックグラウンドから、本書には「書くこと」や「読むこと」についての金言も多くピックアップされている。誰にでも理解できるような言葉で書かれたこれらの金言からは、外山氏の文学研究者としての厚い知見のエッセンスを得ることができる。「知れば知るほどバカになる」「謎と疑問は放っておく」「時にはアウトサイダーたれ」「小声でつぶやくと届きやすい」「タコツボを出て雑魚と交わる」など、研究者としての外山氏になじみのない方にも刺さるフレーズが満載だ。

 私たちの生活には、言語があふれている。仕事の場では言葉を通じてアイデアを出し合い、SNSではたくさんの文字から他人の考えを摂取する。情報化社会はテクノロジーによってコミュニケーションが発展した世界であり、言葉の重要性は増すばかりだ。本書にまとめられた思考と言語についての考察は、短いゆえに示唆に富む。今だからこそ、「やわらかく考える」ための力になってくれるだろう。
(ライター:池田明季哉)

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