このコラムでは日経BPのメディアを率いる編集長に聞いたおすすめ本を紹介します。「専門性×編集長の人となり」が垣間見えるセレクトを、お楽しみください。今回は 日経ヘルスケア の吉良伸一郎編集長が、医療や介護関連の複雑な制度を基礎から解説した入門書を推薦します。

「一般病床と一般病棟の違いって何?」──。今から30年ほど前、新卒の新人として『日経メディカル』編集部に配属された私が苦労したことの1つが、医療制度に関する用語の理解でした。
まだ職場にインターネットが導入されていない時代。困ったときに頼りになったのは、先輩記者のレクチャーと書籍でした。書籍の中でも当時重宝していたのが、弊社が1987年に発行した『医療経済辞典』です。先輩方が不眠不休で作ったという“伝説”の残る同書は、私が抱いた数々の疑問に的確に答えてくれました。ただ、同書はタイトル通り用語解説の「辞典」で、制度の内容や背景など詳細を知りたい場合は、他の文献を探す必要がありました。
その後、医療制度はさらに複雑化し、2000年には介護保険制度が創設。医療関連の仕事をする人たちは、医療・介護の各種制度や専門用語に関する広範な知識が求められるようになっています。インターネットから多くの情報が得られますが、入手した断片的な情報を整理し正確に理解するのは、なかなか大変です。
自分たちが習得に苦労したからこそ…
このような状況下で、医療・介護の制度や動向を学ぶ方にお薦めしたいのが、『 医療・介護の制度・業界動向まる分かりガイド 2024-2025 』(日経ヘルスケア編/日経BP)です。私が所属する、医療と介護の経営情報誌『日経ヘルスケア』が編集したもので、手前みその話となることをお許しください。
本書では、医療機関、介護施設・事業所に勤めるスタッフや、それらの施設・事業所と仕事で関わる方々、医療・介護を学ぶ学生さんなどが知っておきたい制度の内容や用語、業界動向を項目別に解説しています。
医療分野では、診療報酬など医療全般に関わる制度に加え、急性期医療、外来医療、在宅医療といった診療機能別に制度や動向を解説。介護分野でも、ベースとなる介護保険制度のほか、サービス別の動向などを紹介しています( 目次はこちら )。医療・介護のいずれも、2024年度診療報酬・介護報酬改定の内容を反映したものとなっています。
読者の方々の理解を助けるため、図表をふんだんに盛り込んでいるのも本書の特徴です。下の図は「病床の種類と病床数」という項に掲載されているものです。この図を見れば、「一般病床」は医療法に規定された病床種別の1つで、「一般病棟」は診療報酬制度上のカテゴリーであることが分かり、冒頭で述べた、新人の頃に私が抱いた疑問も解決します。
さらに本書は、『日経ヘルスケア』の記者が分担執筆している点も特徴として挙げられます。本誌の記者は皆、私と同様に、配属当初は制度や用語の理解に苦労しながらキャリアを積んできました。そうした経験をしているからこそ、この分野を学ぶ方々の情報ニーズに応え、ツボを押さえた解説ができることと思います。
ちなみに私自身も、自分の理解が間違っていないかを確認するため、時々本書をひもといています。新人や若手スタッフだけでなく、経験を積んだ方の知識の再確認にも、ぜひご活用いただければ幸いです。
写真(本)/スタジオキャスパー、イラスト加工/髙井 愛、構成/市川史樹(日経BOOKプラス編集)

月刊誌『日経ヘルスケア』は医療・介護経営に大きな影響を及ぼす行政施策を検討段階から徹底取材。独自の分析を加えタイムリーにお届けします。また、制度改正に即応し独自の強みを伸ばす医療機関や介護事業者の最新戦略を紹介。患者・利用者確保のノウハウや職員トラブル対応など、現場ですぐに実践可能な実務情報を取り上げ、どんな変化にも負けない強い組織を作るためのヒントを様々な角度から発信します。また、日経メディカルOnlineでは、日経ヘルスケアの特設サイト「 医療・介護経営 」を配信。本誌編集部の記者が診療報酬改定などの制度改正のニュースや、日々のマネジメントに役立つ情報を随時更新しています。

