今、東京のあちこちで進む大規模な再開発。現場をぐるりと覆う仮囲いの向こうでどんな工事が進んでいるのか。あるいは、姿を現した新たなランドマークはどのように街を変えていくのか。新刊『東京大改造2030 都心の景色を変える100の巨大プロジェクト』から紹介します。第1回は「麻布台ヒルズ」編です。(記事は同書のベースとなった日経クロステック連載「東京大改造」より転載・一部変更)
東京の新名所「麻布台ヒルズ」では、2024年4月までに主要な施設がおおむね出そろった。訪れるなら、これからがお勧めだ。
麻布台ヒルズは23年11月にオープンしたが、開業当初は完成していない施設や店舗が数多くあった。早々に訪れ、肩透かしを食らった人も多いはずだ。
だが24年に入ると、テナントが続々とオープン。ざっと挙げるだけでも、かなりの充実ぶりである。「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」「エルメス麻布台ヒルズ店」「麻布台ヒルズ マーケット」「ジャヌ東京」「ディオール 麻布台ヒルズ」「カルティエ ブティック 麻布台ヒルズ店」など。これらはいずれも、24年2~3月に麻布台ヒルズの敷地内で開業済みである。
食事にアート体験、ラグジュアリーホテルでの滞在、高級ブランド店でのショッピングと、国内外からの来訪者が楽しめる施設が一気に整う。そんな中、共通する楽しみが建築デザイン巡りである。著名な建築設計事務所やデザイン会社が麻布台ヒルズで競演している。
低層棟の「ガーデンプラザ」を覆う、うねるような外装デザインを手掛けた英ヘザウィック・スタジオ(Heatherwick Studio)の建物は、建築ファンなら必見だ。その中にSUPPOSE DESIGN OFFICE(東京・渋谷)が内装デザインを担当した食品街「麻布台ヒルズ マーケット」、隈研吾建築都市設計事務所(東京・港)が内外装をデザインした高級ブランド「ディオール」の路面店、永山祐子建築設計(東京・新宿)が外装をデザインした高級ブランド「カルティエ」の路面店が並ぶ。
麻布台ヒルズ マーケットはガーデンプラザの地下1階と地上1階の2層にまたがり、どちらからでも入店できる。約4000m2の広さに34の専門店が軒を連ねる高級食材中心のフードマーケットだ。異なる専門店で買い物をしながら、集中レジで一度に会計を済ませられる。厨房を備え、目の前で調理したものを食べられる店舗やレストランも併設する。人気店は早くも行列ができている。
麻布台ヒルズ マーケットの地上1階にある出入り口から桜麻通り沿いの小道を神谷町駅方面に下るように、高級ブランド店が立ち並ぶショッピングストリートが出現した。ヘザウィック・スタジオの建築デザインを日本で見られるのは、今のところ麻布台ヒルズだけ。そこに集まった高級ブランドの路面店の中には、日本の著名な建築事務所が内外装デザインを手掛けているものが幾つもある。
銀座や表参道のような繁華街の通り沿いにある大型店とは一味違う、コンパクトながら存在感のある建築デザインを、緑豊かな麻布台ヒルズの敷地を散歩しながら間近で見られる。かなり凝ったディテールまで確認できる。しかも路面店の周りには水路や植栽が整備され、見ていて楽しい。
隈研吾建築都市設計事務所はディオール店舗の外装だけでなく、世界で初めて内装デザインまで手掛けた。縦糸が層を成すような外観をしている。遠くから見ると気付きにくいが、近づくと色が異なる無数の丈夫なワイヤが建物を覆っていることが分かる。
一方、カルティエ ブティックの外装デザインは、永山祐子建築設計が担当した。カルティエのクリエーションテーマである「動き」から着想を得た曲線ラインをガラスに描き、揺らぎと繊細さを表現している。曲線を構成する小さな模様が光を受け、細やかにきらきらと反射する。曲線の色は、カルティエのジュエリーに用いられる3色のゴールド(イエロー、ピンク、ホワイト)をモチーフにしているという。
アマンジャンキー待望のジャヌ東京も開業
ホテル好きなら、アマングループが世界初出店した姉妹ホテル「ジャヌ東京」は見逃せない。アマンの長年のパートナーであるDenniston Architects(デニストン設計事務所)がインテリアデザインを手掛けている。「アマンジャンキー(アマンの大ファン)」なら真っ先に訪れたいところだ。
ジャヌ東京は麻布台ヒルズに立つ超高層の住宅棟「レジデンスA」の低層部に入居した。中央広場に面したテラス付きのレストランもある。
中央広場を挟んで向かい側には、24年2月末にオープンした2階建てのエルメス麻布台ヒルズ店が立つ。春先には中央広場で多くの花が咲いている。
最近はインバウンドが急回復し、麻布台ヒルズは平日でも混雑している。ゴールデンウイークはかなりの人混みが予想される。これから麻布台ヒルズに行く人もリピートする人も、以下の一覧で目的地を確認しておくとよい。入場には事前予約が必要な施設や店舗もある。また、表にはないが、米国のメガギャラリーの1つ「PACE(ペース・ギャラリー)」が運営するアートギャラリー「Pace Tokyo(ペース 東京)」が24年7月にオープンする予定だ。ホワイトキューブの白を基調とするギャラリーのインテリアデザインは、藤本壮介建築設計事務所(東京・江東)が手掛ける。
| 施設名 | 事業者 | 業態 | 設計・建築デザイン | 開業(全て2024年) |
|---|---|---|---|---|
| 森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス | 森ビル、チームラボ | 美術館 | ─ | 2月9日 |
| エルメス麻布台ヒルズ店 | エルメス | 高級ブランド | ─ | 2月29日 |
| 麻布台ヒルズ マーケット | 森ビル | 食品、飲食 | Heatherwick Studio(ボールト天井や十字柱など建物に付随する建築デザイン)、SUPPOSE DESIGN OFFICE(内装デザイン) | 3月13日 |
| ジャヌ東京 | アマングループ、森ビルホスピタリティコーポレーション | ホテル | Denniston Architects(デニストン設計事務所、インテリアデザイン) | 3月13日 |
| ディオール 麻布台ヒルズ | クリスチャン・ディオール合同会社 | 高級ブランド | 隈研吾建築都市設計事務所(内外装デザイン) | 3月23日 |
| カルティエ ブティック 麻布台ヒルズ店 | カルティエ | 高級ブランド | 永山祐子建築設計(外装デザイン)、ローラ・ゴンザレス(インテリアデザイン) | 3月27日 |
[日経クロステック 2024年4月12日付の記事を転載・一部変更]
2030年までに東京の景色が大きく変わります。都内の主要な街に次々と大型施設が誕生、新しい街まで生まれようとしています。日経BPの専門記者が総力をあげて取材した東京の未来を大公開します。
日経クロステック、日経アーキテクチュア、日経コンストラクション(編)、日経BP、3520円(税込み)









