今、東京のあちこちで進む大規模な再開発。現場をぐるりと覆う仮囲いの向こうでどんな工事が進んでいるのか。あるいは、姿を現した新たなランドマークはどのように街を変えていくのか。新刊『東京大改造2030 都心の景色を変える100の巨大プロジェクト』から紹介します。第6回は「新宿駅西南口」編です。(記事は同書のベースとなった日経クロステック連載「東京大改造」より転載・一部変更)
京王電鉄は2023年8月2日、同日に開催された取締役会で「新宿駅西南口地区開発計画」および「京王線新宿駅改良工事」の事業を推進することを決定した。同社とJR東日本が事業主体となって進めている開発計画が都市再生特別地区として22年11月9日に都市計画決定告示されたことを受け、京王電鉄の中核事業が集中する新宿エリアで資産や機能を更新する計画を推進する。
京王電鉄が投資する西南口地区開発計画と駅改良工事の総事業費は、現時点で3000億円程度を想定している。社運を懸けた大事業になる。
西南口地区開発計画は敷地面積が約1万6300m2、延べ面積が約29万1500m2と巨大だ。最終的な完成は40年代と、かなり先になる。そこで開発は段階的に進める。
この開発計画は新宿駅前を通る甲州街道を境にして、北街区と南街区の2つに分かれる。北街区は京王百貨店があるエリアを指し、南街区はJR東日本グループの商業施設などがあるエリアになる。
23年度中に、まず南街区の開発と新宿駅の改良工事に着手する。南街区開発における総事業費のうち、京王電鉄が負担する事業費と駅改良工事費(一部先行分)の合計は、920億円を予定する。なお、北街区の開発は南街区の竣工後になる見通しだ。
南街区の敷地面積は約6300m2、延べ面積は約15万m2。地下6階・地上37階建ての超高層ビルを建設し、店舗やオフィス、ホテルなどが入居する。高さは約225m。工期は23~28年度を予定している。
駅改良工事の一部先行分は、京王線新宿駅の地下2階ホームを北側(東京メトロ丸ノ内線側)へ移動し、ホーム北側の端部に改札を新設するものだ。地下2階のホーム階から丸ノ内線に乗り換える動線を整備する。これにより、新宿駅西口地下広場で歩行者が乗り換えのために交錯する無駄を省き、乗り換えにかかる時間を短縮する。
西南口地区の北街区は2040年代に完成
1日の乗降客数が世界一である巨大ターミナルの新宿駅は、40年代までに劇的な変化を遂げる。新宿駅西南口地区開発計画は、その1つに過ぎない。
隣接する新宿駅西口地区開発計画といった周辺エリアの開発と連携しながら計画は進む。新宿駅西口地区の再開発は、小田急電鉄と東京地下鉄(東京メトロ)、東急不動産が主体となる。
西南口地区と西口地区の再開発が並行して進み、新宿全体を活性化する次世代ターミナル構想「新宿グランドターミナル」を実現するのが最終目標である。新宿グランドターミナルが完成すると、これまで駅の東西南北で街が分断されていた新宿の回遊性の悪さが飛躍的に改善される。
JR東日本と京王電鉄、そして小田急電鉄と東京メトロはこれまでも、新宿駅の西口と南口のエリアでビジネスを展開してきたライバルであり、仲間でもある。さらに渋谷が主要拠点である東急不動産が加わる。
中でも西南口地区北街区と西口地区は隣同士であり、事実上、一体的な開発となる。そして西新宿の新しい玄関口になることが期待されている。企業の枠組みを超えた新宿大改造が進む。
[日経クロステック 2023年8月7日付の記事を転載・一部変更]
2030年までに東京の景色が大きく変わります。都内の主要な街に次々と大型施設が誕生、新しい街まで生まれようとしています。日経BPの専門記者が総力をあげて取材した東京の未来を大公開します。
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