今、東京のあちこちで進む大規模な再開発。現場をぐるりと覆う仮囲いの向こうでどんな工事が進んでいるのか。あるいは、姿を現した新たなランドマークはどのように街を変えていくのか。新刊『東京大改造2030 都心の景色を変える100の巨大プロジェクト』から紹介します。第8回は「JR中野駅」編です。(記事は同書のベースとなった日経クロステック連載「東京大改造」より転載・一部変更)

 東京・中野は、100年に一度という言葉がふさわしい街の大改造が進んでいる。その玄関口であるJR中野駅もまた、新しい駅舎に生まれ変わり、駅ビルもできる。駅の南北に広がる街並みは2026年から激変しそうだ。

 そんな中、JR東日本は23年9月1日、新駅舎や駅ビルの開発概要を発表した。同社は中野区および東西線が乗り入れる東京地下鉄(東京メトロ)と協力し、「中野駅西側南北通路・橋上駅舎等事業」を推進している。

 事業の中核要素は大きく3つ。駅西側の線路上空に、歩行者専用の南北自由通路を整備する。同時に新たな橋上駅舎を建設し、現在の北口改札やコンコースの混雑を緩和し、バリアフリーの整備を拡充する。さらに新駅舎には駅ビルを併設し、街のにぎわいに貢献する。南北自由通路と駅舎は、26年の開業を予定している。商業施設のオープン時期は未定だが、27年度と見られる。

北西側から見た、新しいJR中野駅の駅舎と駅ビルの外観イメージ(出所:JR東日本)
北西側から見た、新しいJR中野駅の駅舎と駅ビルの外観イメージ(出所:JR東日本)
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 3つの整備に当たっては「立体道路制度」を活用。幅員19mの南北自由通路と橋上駅舎、駅ビルを一体の建物として建設する。建物は白を基調とする外観とし、壁面や屋上は一部を緑化する。壁面を分割し、圧迫感を減らすデザインを採用する予定だ。

南北自由通路のイメージ。通路に面した商業施設も開発する(出所:JR東日本)
南北自由通路のイメージ。通路に面した商業施設も開発する(出所:JR東日本)
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 事業対象となる敷地面積は約7700m2、延べ面積は新駅舎が約2700m2、商業施設が約1万6900m2。地上5階建てで、高さは約28m。構造は鉄骨造になる。2階が駅舎となり、2~4階に店舗が入居する。5階は駅員などが利用する後方施設になる。

 JR東日本は駅前広場を整備する中野区や周辺の再開発事業者と連携しながら、回遊性のある中野の玄関口を形成する。JR中野駅の南北エリアでは現在、新駅舎と駅ビルの開発を含めて、合計11もの再開発プロジェクトが同時進行している。その中心に位置するのが新生のJR中野駅というわけだ。

中野駅周辺の街づくり事業一覧。2023年6月時点で合計11のプロジェクトが駅の南北で進行中(出所:中野区)
中野駅周辺の街づくり事業一覧。2023年6月時点で合計11のプロジェクトが駅の南北で進行中(出所:中野区)
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 23年7月に惜しまれながら閉館した中野サンプラザの跡地には、28年度に地上60階建ての超高層ビルや中野サンプラザの後継施設となるホールやホテルなどができる予定である。南北自由通路と超高層ビルやホール方面に進む駅北側の主要動線になるセントラルウォークは、同一直線上にある。

既存駅施設の西側に南北通路や駅ビル

 橋上駅舎は、街の中心軸である中野通りを挟んで駅の西側にできる。建物の中央を貫く南北自由通路は、駅の南北にできる広場に続く。北に進めば、中野サンプラザの跡地開発エリアに真っすぐつながる動線計画になっている。

中野駅西側の南北自由通路と橋上駅舎などの事業範囲(出所:JR東日本)
中野駅西側の南北自由通路と橋上駅舎などの事業範囲(出所:JR東日本)
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 鉄道を平常運行しながら駅舎を新設するのは、簡単ではない。1日に約15万人が利用する中野駅で安全を確保するため、駅の終電から始発までの夜間に主な工事を実施している。

駅前広場整備の考え方(出所:中野区)
駅前広場整備の考え方(出所:中野区)
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 商業的にいえば、駅と一体化する店舗は最高の立地にできる。駅ビルの商業施設「atre」はアトレ(東京・渋谷)が、エキナカの商業施設はJR東日本クロスステーション(東京・渋谷)のデベロップメントカンパニーがそれぞれ運営する。

南側から見た新駅舎と駅ビル。駅ビルにはJR東日本グループの商業施設「atre(アトレ)」ができる(出所:JR東日本)
南側から見た新駅舎と駅ビル。駅ビルにはJR東日本グループの商業施設「atre(アトレ)」ができる(出所:JR東日本)
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 再開発が目白押しで、中野駅周辺にはショップや飲食店がますます増える。区民の利便性は向上するが、販売競争は激化するだろう。

中野駅を挟んで南北エリアで再開発事業が目白押しだ。高層ビルが立ち並ぶ街になる(出所:中野区)
中野駅を挟んで南北エリアで再開発事業が目白押しだ。高層ビルが立ち並ぶ街になる(出所:中野区)
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 駅前の北東エリアには、中野を象徴する老舗のアーケード街「中野サンモール商店街」がある。商店街の周りに細い路地が迷路のように続く駅の北東側と再開発エリアの新旧の対比が面白くなりそうだ。

日経クロステック 2023年9月11日付の記事を転載・一部変更]

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2030年までに東京の景色が大きく変わります。都内の主要な街に次々と大型施設が誕生、新しい街まで生まれようとしています。日経BPの専門記者が総力をあげて取材した東京の未来を大公開します。

日経クロステック、日経アーキテクチュア、日経コンストラクション(編)、日経BP、3520円(税込み)