『ずぼらヨガ』や『ひとりほぐし』などのベストセラーで知られる、イラストレーターの崎田ミナさん。最新作の『やすらぎスイッチ』では、初めて“心のセルフケア”をテーマに、身体心理学者や心療内科医など、心の専門家に取材した方法を厳選。ストレスが生まれる心のしくみや、ストレスからくる不調を自分で和らげる方法を、マンガでわかりやすく図解しています。崎田さん自身が試して、心身の緊張をほぐしたいときにおススメのリラックス法を紹介します。

ストレスがすーっとやわらぐ!『やすらぎスイッチ』
第1回 上司や友達にモヤモヤ…心が疲れる前に「安全地帯」つくる方法は?
第2回 気疲れを和らげる4つの神ワザ たった15秒で体と心がゆるむ ←今回はココ
第3回 ザワつく心がストンと落ち着く 2つの「呼吸筋ストレッチ」

 プレゼンの前や初めて会う人と話をするときなど、肩や首に力が入ったり、顔がこわばったりすること、ありませんか。そんな緊張している自分に気づくと、ますますガチガチになって、落ち着け、自分!と思ってもどうにもならないこともあるはず。

 そんなときにおススメなのが、リラックスモードに切り替えられるセルフケア、「ゆるふわ筋弛緩法」。道具も不要で、いつでもどこでもカンタンに心身をゆるませることができる方法です!

カンタンなのに即効果! わざと力を入れてから一気に脱力

 ストレスがかかると、人間は無意識にカラダに力が入ります。頭ではリラックスしたいと思っても、体内のバランスを自動的に調整する「自律神経」の、交感神経の働きが高まって、筋肉に力が入り、肩や首が緊張してしまいます。

 今回紹介する「ゆるふわ筋弛緩法」は、「漸進的筋弛緩法」がベースとなっています。わざと筋肉を緊張させた後、力を抜いてゆるめるのを繰り返し行うことで、リラックス反応を利用してストレス反応を減らし、心身の機能を回復させてリラックス状態へと導くテクニックです。

 筋弛緩法は、精神科や心療内科などのメンタルクリニックでも指導されている方法で、ストレッチとは異なります。

 筋弛緩法の最大のポイントは、わざと力を入れた時間の倍の時間をかけて、「脱力した身体の感覚を意識する」こと。例えば、5秒間力を入れたら、10秒間かけて脱力します。力を入れる時間を長くして10秒にしたら、脱力する時間を20秒にします。

 今回紹介する「ゆるふわ筋弛緩法」は、肩、手首、足首、顔の4つのパーツにアプローチして行います。心療内科医の伊藤克人さん(※)に取材し、崎田さんが繰り返し試して、生活に取り入れやすくアレンジしたものです。

※注:伊藤克人さんは、東急病院心療内科の心療内科医、東急電鉄統括産業医。長年、内科系の心療内科医として、働く人たちのメンタルヘルスに携わっています。過敏性腸症候群など、ストレスによる心身の病気の診療のほか、著書も多数。日本の精神科医、森田正馬(もりたまさたけ)が創った不安症やうつに対する精神療法「森田療法」の専門家でもあります。

リラックス、睡眠改善にも「ゆるふわ筋弛緩法」

 ではさっそく始めましょう。肩、手首、足首、顔の順番に行っていきます。オフィスや昼間なら椅子に座りながら、寝る前なら寝ながら行ってもOKです。

 まず「肩」の筋弛緩法です。両肩を耳の近くまで上げながら、力を入れてキープします。5秒間かけて息を吸いながらぐぐぐと力を入れたら、ふぅ~と息を吐きながら一気に脱力。肩をストンと落とします。

 肩、首、背中など、脱力した体の筋肉の感覚を味わってみましょう。10秒かけて、呼吸は自然呼吸で体の感覚に意識を向けます。目をつぶってみてもいいでしょう。ゆったり3回繰り返します。回を重ねるごとに感覚がどう変化するかも意識してみましょう。

 次は、「手首」です。両腕を伸ばして、手首を反らせて(背屈)ギュッと力を入れます。5秒かけて息を吸いながら、腕にも力が入るくらいぐぐぐーっと力を入れたら、ふぅ~っと息を吐きながら一気に脱力。脱力したら、10秒かけて体の感覚の変化を味わってみましょう。これをゆったり3回、繰り返します。手首や腕の脱力感、手の指のじわじわする感覚など感じましたか。手首を反らせにくい人は、手をギュッと強く握る方法でもOKです。

 続いて、「足首」です。両脚を伸ばしたら、足首を反らせて(背屈)ギュッと力を入れます。このときかかとは床につけておきましょう。5秒かけて息を吸いながら、ぐぐぐーっと足首を反らせたら、一気にだらんと脱力します。脱力した後の足首やふくらはぎ、ひざのあたり、足指の感覚の変化に、10秒ほどかけて意識を向けます。ゆったり3回繰り返して、感覚の変化を味わってみましょう。

顔の筋弛緩法で目や眉間もぽわ~ん

 最後は、「顔」です。顔全体の筋肉を、顔の中央、鼻のやや上のあたりに集めるように意識して、ギュッと力を入れます。唇は前に突き出す感じです。5秒間、ぐぐぐーっと力を入れたら、ふぅ~っと一気に脱力します。脱力した後の顔の筋肉の感覚を、10秒かけて味わってみます。目の開きやすさ、眉間、こめかみ、口、あご、エラのゆるみ具合などに意識を向けてみましょう。顔も、ゆったり3回繰り返します。

 肩、手首、足首、顔の4カ所を行ってみて、全身の感覚はどう変化しましたか。肩や背中、腕、脚、そして顔まわりの緊張がゆるんであたたかく感じたり、呼吸がゆっくりになったり、あくびがしたくなったり、眠くなってきたりしていたら、リラックス度が増したサインです。

 4カ所紹介しましたが、好きなパーツを1つ選んで行っても、組み合わせて行ってもOK。気分を切り替えたいとき、休憩時間、疲れを感じたときに、オフィスやトイレの個室、病院の待ち合い室でも、どこでも気軽に行ってみましょう。マスクをしていれば、顔の筋弛緩法も人の目を気にせずできるはずです。緊張感のある1日を過ごして、なかなか寝つけないときに行うのもおススメです。

 最新刊『やすらぎスイッチ』では、ストレスが心と体の不調にどう関係しているのか、心療内科医の伊藤さんの解説をもとに、漫画で解説しています。ストレスを感じたときに脳内で起きていること、ストレスが続くと自律神経失調の状態になるしくみ、セルフケアでできることなどをまとめていますので、合わせてチェックしてみてください。

 次回の第3回は、「ザワつく心がストンと落ち着く 2つの『呼吸筋ストレッチ』」を紹介します。

日経xwoman 2025年6月27日付の記事を転載]

読むだけでストレスが溶けていく──『ずぼらヨガ』『すごいストレッチ』『ひとりほぐし』のベストセラー著者・崎田ミナが、初めて“心のセルフケア”をテーマにまとめた1冊。心療内科医、公認心理師…心の専門家9人に取材した心のケア図鑑です。

崎田ミナ著/日経BP/1870円(税込み)