『ずぼらヨガ』や『ひとりほぐし』などのベストセラーで知られる、イラストレーターの崎田ミナさん。最新作の『やすらぎスイッチ』では、初めて“心のセルフケア”をテーマに、身体心理学者や心療内科医など、心の専門家に取材した方法を厳選。ストレスからくる不調を自分でやわらげる方法を、マンガでわかりやすく図解しています。今回は、ストレッチの呼吸をちょっと変えることで、驚きの効果が得られる方法です。

ストレスがすーっとやわらぐ!『やすらぎスイッチ』
第1回 上司や友達にモヤモヤ…心が疲れる前に「安全地帯」つくる方法は?
第2回 気疲れを和らげる4つの神ワザ たった15秒で体と心がゆるむ
第3回 ザワつく心がストンと落ち着く 2つの「呼吸筋ストレッチ」←今回はココ
第4回 我慢しすぎ、心配しすぎに ホッとゆるんで休まる「温めテク」

 「呼吸」を意識することはほとんどありませんが、推しのコンサートで興奮して鼻息が荒くなる、怒って呼吸が速くなる、ストレスが続いて息が詰まる――そんな経験は誰にでもあるはず。

 その呼吸は、「自律神経」だけでなく、心ともリンクしています。そして、呼吸をコントロールすることで、自律神経だけでなく「心」や「感情」を整えられることがわかってきました。例えば、ヨガのレッスンでは「吸って…吐いて…」と誘導されますが、呼吸を変えることで気持ちや体が変化するのを感じたことがある人もいるかもしれません。

 ヨガに通うことでうつ病が改善した経験がある崎田さん。当時は呼吸と心の関係についてあまり知らなかったそうですが、情動と呼吸について詳しい呼吸生理学の専門家、本間生夫さんが考案した「呼吸筋ストレッチ※」を行ったところ、確かな変化を感じたそうです。

 「呼吸筋ストレッチ」の特徴は、呼吸をするときの体の動きを、いつもと「逆」にすること。それだけで、心がストンと落ち着くようになるのです。さっそく崎田さんのイラストとともに試してみましょう。

※注:「呼吸筋ストレッチ」の正式名称は、「シクソトロピーストレッチ」といいます。COPD(慢性閉そく性肺疾患)やぜんそくなどの呼吸器疾患のリハビリ方法としても用いられている方法。考案した本間生夫さんは、昭和医科大学名誉教授、NPO法人「安らぎ呼吸プロジェクト」理事長。著書に『すべての不調は呼吸が原因』(幻冬舎新書)など。

呼吸と体の動きを「逆」にするとどうなる?

 いつもの深呼吸では、吸うときに胸の前側を広げたくなります。けれども、呼吸筋ストレッチでは、吸いながら胸を縮めます。こうすることで筋肉がよりぎゅっと収縮するので、リラックスしたときにもっとゆるむのだそうです。

 さっそく「胸元の肋間筋」伸ばしで、体の前側の呼吸筋をゆるめましょう。

 4秒で息を吸いながら胸を押さえる、8秒で吐きながら胸を押さえた手をゆるめる。この動きを3~5回、繰り返してみましょう。脱力すると、胸から首にかけてのあたりが、ちょっと軽くなった気がするはずです。

 続いて、背中側を伸ばしてみましょう。

両脇と背中をゆるめて、カチカチな心もゆるめる

 体の前側がゆるんだところで、「後ろから横の肋間筋」と背中伸ばしでは、両脇から肩甲骨、背骨まわりなど、背中側の呼吸筋をゆるめます。

 胸に両手を置き、4秒で吸って、8秒で吐きます。

 続いて、両腕で大きな木の幹を抱えるように円を作り、4秒間かけて吸います。背中は後ろへ思い切り丸めます。肩甲骨を外側へ離すように、また目線はおへそをのぞき込むようにして吸い込むと、背中がさらに広がって、背骨もしっかり丸められるはずです。

 8秒かけて息を吸いながら、ゆっくり元の体勢に戻ります。吸いながら丸まって背中を広げ、吐きながら元に戻るのを3~5回繰り返します。回数を重ねるごとに、背中がじわじわ広がりやすくなるのを感じてみましょう。

 「吸う」「吐く」のタイミングをいつもと逆に行う「呼吸筋ストレッチ」。行う前と後で、体や心の状態の変化は感じられましたか。心がゆらぎがちな崎田さんは、体の緊張がやわらいで、心もふんわり落ち着くのを感じたそう。

 朝起きたとき、デスクワークで姿勢が崩れたときや、寝る前のリセット、緊張から息苦しさをなんとかしたい、もっとリラックスしたい…と思ったときなど、いつ行ってもOKです。

 今回は、体のおなか側と背中側にある、「吸う」ときに働く呼吸筋をゆるめました。書籍 『やすらぎスイッチ』では、「吐く」ときに働く呼吸筋をゆるめるストレッチも紹介しています。肩こりの緩和や巻き肩の改善、ぽっこりおなかに刺激を入れる効果も期待できるストレッチなので、気になる方はそちらもチェックしてみてください。

日経xwoman 2025年8月22日付の記事を転載]

読むだけでストレスが溶けていく──『ずぼらヨガ』『すごいストレッチ』『ひとりほぐし』のベストセラー著者・崎田ミナが、初めて“心のセルフケア”をテーマにまとめた1冊。心療内科医、公認心理師…心の専門家9人に取材した心のケア図鑑です。

崎田ミナ著/日経BP/1870円(税込み)