チームに閉塞感が漂うとき、多様なメンバーの強みを生かしたいとき、行き詰まりを突破したいとき…。ビジネスのヒントや他者理解につながる5冊の本。メンバーと共有して語り合えば、チーム力や実践力が高まるかもしれません。
1. 『マッキンゼー 勝ち続ける組織の10の法則』
著者/スコット・ケラー、メアリー・ミーニー 監訳/マッキンゼー・アンド・カンパニー
デジタル化、グローバリゼーションによって大きく経営環境が変化してきたこの20余年、強い企業はどのようにマネジメントされてきたのでしょうか。
過去20年間にわたってマッキンゼーが携わってきた現場のケーススタディと、30年におよぶハーバード・ビジネス・レビューの記事を分析、組織を率いるために必要なコンセプトを抽出し、10の法則にまとめあげたのが本書です。
この本の中に登場する「法則」は、どんなマネジャーでも共通でもっている普遍的な悩みに応えるもの。多数のケースや調査にあたり、「タレントを十分生かせている企業はわずか7%」「ビジネスパーソンのわずか28%しか、自社の意思決定に納得していない」など現状を分析したうえで、
「トップ5%の人材に注目せよ」
「アジャイルな組織こそ、安定性を高めよ」
といった、コンサルの現場で磨きあげられてきた実践手法を紹介しています。
優秀な人材を獲得して定着させ、最高のパフォーマンスを上げるためのマネジメント法や、意思決定の質とスピードを高めて組織全体で変革を起こしていくプロセスなど、リーダーやマネジャーに必携の1冊といえる内容です。
試し読みしたい人は… はじめに:『マッキンゼー 勝ち続ける組織の10の法則』2. 『資本主義の先を予言した 史上最高の経済学者 シュンペーター』
著者/名和 高司
スティーブ・ジョブズは「iPhoneを作ったことがすごい」と言われがちですが、それは間違いです。本当にすごいのは「iPhoneを世界に広めたこと」。iPhoneに似たものは当時かなりありました。ジョブズの真骨頂は、「すでにある似たようなものを組み合わせ、それにより人々の生活を変えたこと」なのです。ただ製品を思いつくだけではなく、その先にいる人々――しかも世界中の人々――に「思わず使わせたくなる製品を作り、きちんと届ける販路を作り、もちろん原料の調達も可能にしたこと」がすごいのです。これは、シュンペーターのいう「イノベーション」理論を体現しています。
シュンペーターは「イノベーションの父」と呼ばれています。今から約100年前、シュンペーターが29歳の時に、「イノベーション」という概念を初めて世に問うていました。
例えば、シュンペーターは「アイデアなんてただのゴミ」だといいます。そんなものより、ジョブズのiPhoneのように「すでにあるものを組み合わせること」のほうが大切だとしています。そのほうが大きなものが生み出せるからです。これは、松下幸之助の得意技でもありました。
ほかにも、「変革は外から起こるのはなく、内からしか起こらない」「景気の波は繰り返し起こる」「受け身な人間はただの快楽的な人間」「資本主義は終焉(しゅうえん)を迎える」などさまざまな理論を展開しています。シュンペーターが特に経営者に人気があり、現代も生き生きしているのは、「何にでも応用できる優れた理論」であり、まさに「使える」理論だからなのです。
試し読み、中身が知りたい人は… 名和高司「閉塞感を打ち壊すためのシュンペーター」 ■担当編集がポイントを解説 『天才読書 世界一の富を築いたマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊』著者が熱弁3. 『渋沢栄一と明治の起業家たちに学ぶ 危機突破力』
著者/加来 耕三
あの渋沢栄一も、三菱、三井、住友を興した起業家たちも、情熱と知恵で逆境を乗り越え、どん底からチャンスをつかみ、数々の危機を突破してきました。
明治・大正・昭和の経営者に、何をいまさら、と学ぶ意義を見いだせない方がいるかもしれませんが、人が生きていくうえでの原理・原則は変わらないもの。繰り返す歴史には、現代にも生かせるビジネスの知恵が詰まっています。
この本に登場するのは、「日本資本主義の父」となった渋沢栄一、「日本のセメント王」とよばれる浅野総一郎、帝国ホテルや帝国劇場などを設立した大倉喜八郎、明治期に大阪財界を率いて「住友」を築いた広瀬宰平、「三菱」を創設した岩崎弥太郎、その負の遺産を受け継ぎながら再編させた弟の岩崎弥之助…。
失敗に失敗を重ねる、現実から逃げる、逃げても考え続ける、発想を転換する…決してまっすぐ進んできたわけではない、激動の時代を生きた起業家たちの生き方からは、行き詰まったときに突破する力の出し方を学ぶことができます。
著者が語る本の読みどころを知りたい人は… 失敗しても大胆な発想転換で大成功した渋沢栄一 分からないことも失敗も気にしない渋沢栄一の危機突破力 浅野総一郎の「逃げる力」、岩崎弥之助の「一歩引く力」4. 『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み』
著者/古野 俊幸
なぜ、あの人は無茶ぶり丸投げするのか。
部下に「興味ないんで」と言い放たれたら何と声をかけるべきか。
無愛想で怖い上司は、敵か味方か。
「いい人と思われたい」がゆえに殺しているものとは何か。
人にはそれぞれ、自分だけの強みとその生かし方があります。本書では、ソニー、LINEなど大手企業も採用する「FFS理論(※)」で、コミック『宇宙兄弟』(小山宙哉作)の登場人物の心理・行動を読み解きながら、自分の強みを伸ばす考え方、取るべき行動を分かりやすく説明します。
『宇宙兄弟』には、「スーパーマンは出てこない」。けれど、日本人が成長するためのヒントが満載です。登場人物の特徴がよく伝わるシーンを読みながら、その背景を学べるので、読みやすさも理解しやすさも抜群。どんなタイプの人でも、共感できるシーンがあるはず。
「FFS理論」によって自分自身を理解すると、自分の強みの生かし方が見えてきます。また、この本のいいところは、自分のことが分かるようになると、これまで理解しにくいと感じていた他人の行動への理解も深まるようになるところ。実際、チームビルディングにこのFFS理論が活用されているように、組織の中で自分も他者も生き生き働くために、必要な視点が学べます。
ウェブ上で自己診断が行えるID(1人分)が付いていて、宇宙兄弟の登場人物(25人)の中から、あなたに似ているキャラクターがコメントと共に出てきます。チームでメンバーの診断タイプを共有したり、それぞれの強みについて話したりして、コミュニケーションに役立てることもできます。「わかり合えない」モヤモヤが薄くなる、そんな1冊です。
5. 『Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び』
著者/柳川 範之、為末 大
アンラーンとは、「学ばない」ことではありません。過去の学びから、クセやパターン、思い込みをなくすことで、新たに成長し続けられる状態に自分を整える技術です。
以下の項目に1つでも当てはまる人は、アンラーンで「学びの効率」が上がります。
- □何かをしない言い訳に「(仕事が)忙しくて」とつい言ってしまう
- □自己紹介では会社名や肩書を入れるのが当たり前
- □最近、ワクワクすることが減った
- □「疲れた」などの、ネガティブな口グセがある
- □周囲の人との会話が、毎日同じような話題ばかり
- □仕事とは別の分野の「学び」をしていない
- □この1か月で、仕事関係者以外の人と会った人数が3人以下
- □「以前はこうだった」「こういうときはこうするものだよ」と前例で説明したくなる
本書では、「新しいインプット」の前に絶対不可欠な「学び、成長し続けられる自分」の整え方も解説。特に、過去の経験や知識を蓄積してきた中堅・ベテラン層は、後半人生を生きていくうえで必読かもしれません。
試し読みしたい人は… 学び、成長し続けられる自分に整える技術「アンラーン」構成/磯部麻衣、長野洋子(日経BOOKプラス編集部)




