「去年と同じことをしている気がする」「頑張っているのに手応えがない」──。そんな停滞感を覚えたときは、判断のクセや思考の型、学び方そのものを問い直すことが突破口になるかもしれません。ビジネスから学びの技術まで、さまざまな角度から「成長」を捉え直せる本を5冊、厳選しました。
1. 『ダーウィンの罠 私たちはなぜ重要な選択を間違い続けるのか?』
クリスティアン・ロン著、夏目大訳
人は、短期的な成果ばかり追い求めてしまいがちです。企業の不正や行き過ぎた効率化などは、進化の力が私たちを間違った方向に導く「ダーウィンの罠」にはまっているからかもしれません。
1902年、フランス領時代のベトナム・ハノイでネズミ退治のために「ネズミの尻尾を切って持ってきた者」に懸賞金を出すことにしたところ、人々は懸賞金目当てに尻尾だけを切って持ち込み、町のネズミは増え続けたという逸話があります。そんな興味深い話も交えながら、スウェーデンの気鋭の知性、クリスティアン・ロン氏が、経済学の理論などを用いて「なぜ人は重要な選択を間違え続けるのか」を解き明かします。
目先の成果ではなく、長期的な視点で判断するための思考法を丁寧に手渡してくれる一冊です。
- あなたがマッチングアプリでデートできないのはなぜか
- 政治家は国民に奉仕できないもの
- 試験は必ずしも勉強の習熟度を知る良い手段にならない
- 良きマネージャーになるには
- ダーウィンの悪魔を抑え込むためにできること
2. 『正解のない教室 これから、何を学ぶべきか?』
矢萩邦彦著
「毎日を自由に、楽しんで生きている人」に共通する考え方とは何か。古今東西の偉人の知恵や、人文・社会・自然科学のキーワードを通じて、世界の構造と自分自身を捉え直す視点を養います。
本書は、「探究×受験」を実践する統合型学習塾「知窓学舎」の塾長でもある著者が、中学校・高校・大学院などで手掛けた「リベラルアーツ」の授業を基にした構成。答えのない問いに向き合う「考える楽しさ」を体験できる仕掛けに満ちています。中学受験の入試問題にも数多く採用されたライトな哲学書なので、哲学初心者にも最適。混迷の時代を切りひらく指針として、思考の武器を手に入れられる一冊です。
- 何を学べば良いのか?
- 「意味がないこと」はあるか?
- 昔のあなたと今のあなたは同一人物か?
- ぼくたちは無作為に動けるか?
- どうすればAIと共存できるか?
3. 『高成長体質になる 緩慢な衰退から抜け出し、持続的成長力を得る5つの核心』
則武譲二著
多くの日本企業が伸び悩む中、なぜ一部の企業だけが成長を続けられるのか。
著者は数多くの企業現場を見てきたコンサルティング経験を踏まえ、2000~2023年の日経平均株価を形成する東京証券取引所上場の代表的な日本企業のうち、この期間のデータが揃う184社の業績データを分析し、「高成長体質」の企業の共通点を導き出しました。
その共通点とは、「必要なのは危機感ではなく狂気」「変化を目的にする」「スピードが変化を生む」「易きに逆らうエネルギーを与える」「朝令暮改する、大胆にやめる」の5つ。この「5つの核心」からなる視点には、個人のキャリアや働き方にも通じるヒントがあります。
本書には、13人の変革派CXO(Chief x Officer)へのインタビューも収録。停滞から抜け出すための行動習慣を、豊富な企業変革の実例とともに学べる一冊です。
- 「平時」を「有事」にできないか
- 「5つの核心」が生み出す高成長への動力
- 高成長体質を決定付ける「5つの核心」
- 「5つの核心」を持つ企業へのチェンジマネジメント
4. 『AIの時代に 頭がよくなる人 悪くなる人』
岡瑞起著
生成AIに聞けば何でも答えが返ってくる時代、情報収集がより容易になり、まるで私たちの頭が良くなったように感じてしまうかもしれません。しかし、当たり前のことながらすべての人の頭がよくなるわけではありません。
本書では、生成AIに情報収集を任せっきりにしていると、依存してしまって知性が退化してしまう人が増えるとの見方を示します。一方で、対話する力や問いを立てる力、偏りを活かす力、美意識を鍛えた人は、ますます価値が上がっていくとのこと。価値が高まる人はますます高まり、下がる人はどんどん自分の価値を損なっていく──。そんな未来が待っているのかもしれません。
では、私たちはどうすればいいか。この本では、「インプットはAI、アウトプットは自分で」「AIの前以外でどんな経験をしたかが一番大切になる」など、AI時代に頭がよくなる人と悪くなる人を分ける要因を、具体的に示しています。読めば、AI時代の“自己成長”を改めて問い直すきっかけになるでしょう。
- 対話する力を鍛える
- 問いを立てる力を鍛える
- 偏りを活かす力を鍛える
- 美意識(感動する力)を鍛える
- 「批判する」力を鍛える
5. 『あなたの一生を支える 世界最高峰の学び』
飯田史也著
成長したいなら、何か新たな「学び」を取り入れることは不可欠です。日々忙しいビジネスパーソンであれば、できるだけ効率的に学びを深めたいもの。そこで読みたい本が、『あなたの一生を支える 世界最高峰の学び』です。
本書は、英ケンブリッジ大学が築いた勉強法をまとめた一冊。ケンブリッジ大学は、800年以上にわたり世界にインパクトを与える人材を輩出し続ける名門大学。ニュートンやダーウィンといった天才、数多くのノーベル賞受賞者や世界的リーダー、大富豪を生み出してきたその秘密は、もともと天才だけが集まったからではなく、大学が培ってきた「学びの仕組み」にありました。
カギとなるのは「コミュニケーション」。1人で机に向かうだけでは学びは完結しません。「学びはひとりでやらない」「日々の生活を学びにする」といった本書で示している視点は、伸び悩みを感じたときにこそ効いてくるはずです。日々の実践に落とし込めて、一生を支えてくれる学び方を身に付けましょう。
- ケンブリッジは「学びの忍者屋敷」
- コミュニケーションが「本質的な学び」をつくり出す
- 学びの速度が速い人は、「意外性」に敏感
- 「特別な人間関係」が引き出す、自分の潜在能力
- 自分の限界は自分で決めてはいけない
構成・文/磯部麻衣




