甲子園、世界陸上、バスケットボールのワールドカップなどで、選手たちの活躍に沸いた今年の夏。9月以降もラグビーワールドカップ、ワールドカップバレー、終盤を迎えた日米プロ野球と注目のイベントが目白押しです。なぜあのチームは、なぜあのアスリートは、“強い”のか。スポーツから「強いメンタル」の育て方を学べるおすすめ本を5冊集めました。

1. 『最高の教師がマンガで教える勝利のメンタル』

著者/原田 隆史 マンガ原作/北田 瀧、作画/今江 大輝

 世界のトップアスリートたちが実践する「8つのメンタルスキル」をマンガで解説。本書では、大谷翔平選手も活用した目標達成のための「マンダラチャート」も紹介されています。「まさか」の事態にも負けない、前向きで強い心を育てるメソッドが学べる1冊です。

【ストーリー】
陸上男子400メートルリレーの金メダルを目指す、高校生スプリンターたちの夏合宿。才能を秘めた選手が全国から集められたが、初日からケンカが始まる。しかし「勝利の女神」とたたえられるメンタルコーチ・ゆりかの指導が始まり、高校生たちは「心」=「気落ち・感情」に目を向けることの大切さを学んでいく。そして東京オリンピックの延期という事態も乗り越えて臨んだ決勝レースで……。

 原田式メンタルトレーニング8つのスキルを簡単に紹介します。

  • (1)目的・目標設定 「どうなりたいか」「なぜそうしたいか」を具体的に設定し、自分の中からやる気を引き出す
  • (2)セルフコントロール 緊張感やプレッシャーをはねのける「リラクゼーション」と、気持ちを一瞬にして高める「サイキングアップ」
  • (3)イメージトレーニング 頭の中で未来を想定し、起こり得る状況を鮮明にシミュレーションする
  • (4)集中力 自分でコントロールできることとできないことを分け、できることに集中する。自分なりのルールやルーティンを定め、習慣化する
  • (5)プラス思考(パフォーマンスの方程式) 困難に直面したときでも、視点を切り替えてプラスに捉える。常にご機嫌な心の状態を意識して行動する
  • (6)セルフトーク 前向きな言葉を自分に投げかけ、モチベーションや自信を高める。自分の思考のクセに気づき、積極的な思考から行動を導き出す
  • (7)コミュニケーション(ストローク) チームメイトと良好な関係を築くため、日ごろから互いに「心の栄養」を与え合う。目的・目標達成のために助け合える仲間を育成しておく
  • (8)予測と準備 「嫌なこと」も含めて「起こり得ること」を予測し、万全の対策を取っておく

2. 『逆境を楽しむ力』

著者/岩出雅之

 2023年のラグビーワールドカップの日本代表選手にも、数多くOBが選出されている、「学生ラグビーの最強集団」である帝京大学ラグビー部。

 帝京大学ラグビー部は2022年1月にラグビー大学選手権で優勝し、前人未踏のV10を達成しました。その強さの秘訣は、26年間、チームを率いてきた岩出雅之監督の心理学的マネジメント術にあります。

 心理的安全性、成長マインドセット、ナッジ、心理バイアス、フロー、自己肯定感、OODA(ウーダ)ループ、マズローの欲求5段階、ハーズバーグの2要因理論、内発的動機(ときどき脳科学も)。岩出監督が「これは使えそうだ」と思った心理学理論やビジネスツールを、実際の組織運営や人材育成に次々に取り入れ、実際に大きな成果を出しています。

 中でも、著者の岩出監督が突出しているのは、逆境の中で組織の実力を100パーセント発揮させるマネジメントと、従来の若者とは違うZ世代のモチベーションの高め方。

 逆境に直面したとき、プレッシャーや不安に押しつぶされることなく、蓄えた実力を発揮できる「フロー状態」をどのようにつくりだすか。26年のラグビー部監督人生で編み出した「極意」を本書で披露します。

 これらは、ビジネスの現場ですぐに役立つものばかりです。本書を読むだけで、最新の理論を実践例とともに、学ぶことができます。

■試し読みしたい人は… はじめに:帝京大学ラグビー部前監督・岩出雅之氏『逆境を楽しむ力』 大学ラグビー王者復活のカギは「逆境の生かし方」にあり

3. 『勝つ人のメンタル』

著者/大儀見 浩介

 勝とうとすると「勝ち」は逃げていく。
 勝つ人はやみくもに「勝ち」を求めません。
 勝つことだけを目的にしていないから、結果として勝利を手にすることができるのです。

 そんな冒頭で始まる本書は、なでしこジャパン・日本代表選手を指導するメンタルトレーニングコーチ・大儀見浩介氏が、スポーツ心理学をもとに世界の一流選手が日々行っている心の鍛錬法を伝授する1冊。

 どうすれば本番で実力を発揮できるメンタルを作れるのか? 心も、筋トレと同じ。日々の練習で強くなることを、ビジネスにも応用できるかたちで伝えるメンタルトレーニングの心理技法。

 また、プラス思考がいかに重要かを説いたうえで、巻末には、「そもそもプラス思考とはどんなものか」を理解するためのテストを収録。質問に答えているうちにプラス思考になれる構成です。

4. 『書いて鍛えて強くなる! 原田式メンタル教育』

著者/原田隆史

 この本は、ビジネス界、教育界にインパクトを与えた『カリスマ体育教師の常勝教育』(2003年)の増補改定版。

 一介の公立中学校教師であった著者は、様々なマネジメント手法やメンタルトレーニング法を取り入れ、独自の目標設定シートや日誌を書いてメンタルを鍛える原田式メソッドを構築、そのメソッドは、企業研修だけで500社9万人以上と各方面で利用されています。

 文庫化にあたり、時代に応じた加筆修正を加え、コロナショックという予期せぬ自体に直面し、不安が増しているビジネスパーソンが、変化対応力を身につけ、冷静に日々の仕事に取り組む上での羅針盤となるメッセージや事例を随所に盛り込まれています。

 子育ての指針となるだけでなく、部下の人材育成、やる気創造に悩むマネジャー、経営者にもおすすめでき、1人ひとりの人生設計にも生かせる一冊です。

5. 『中部銀次郎 ゴルフ 心のゲームを制する思考』

著者/本條強

 前人未到の日本アマ6勝、アマチュアの理想といわれた中部銀次郎の金言から、心のゲームを制する「鍵」を知る1冊。この本で紹介される中部銀次郎さんの言葉は全部で88個。その言葉一つ一つに、わかりやすい解説がついています。

  • 飛ばさない心が、飛ばすことにつながる。
  • 技術を磨くのではなく、感覚を磨き、心を鍛える。
  • スコアは勝手によくならない。執着してこそ良いスコアになる。
  • 同じ失敗は繰り返さない。原因を追究して攻略を考える。
  • 一喜一憂せず、淡々とプレーする。
  • 諦めたらそこで終わる。諦めなければ良いことも起きる。
  • 幸運と不運は同じだけやってくる。不運を我慢し、幸運をつかむ。

構成/日経BOOKプラス編集部