日経クロストレンドの新刊『 コンペ荒らしが実践する生成AI「超」企画術 “問いの技術”で勝ち筋を導く7つの創造ステップ 』は、広告代理店、インターネットメディア、コンサルティングファームにおける著者の経験から、企画という仕事の一連のプロセスに、生成AIをどのように組み込むかを解説。企画の現場ですぐに使えるプロンプトも豊富に紹介しています。本書籍から第2章「アイデアを磨く──企画をとがらせる『仮説破壊』」を抜粋・再編集してお届けします。その第6回。[日経クロストレンド 2026年6月22日付の記事を転載]
第2章では、アイデアを「出す」工程ではなく、「磨く」工程を扱いました。問いを立てた後の仮説を、生活者視点・反論・比較・検査という複数の角度から壊し、強度を上げるプロセスです。
ここでは、本章で使用した主要プロンプトを整理しながら、「磨く」とは何だったのかを振り返ります。
(1)弱点を露出させる
「この企画案の弱点や甘い前提を厳しく指摘してください」
目的は、補強ではなく露出です。自分では気づきにくい仮説の甘さや依存前提を可視化します。ここで得られるのは、改善案ではなく、もろさの所在です。
改良の方向性としては、「経営層の立場で」「競合の立場で」など、役割を与えることで視点を限定できます。本質は、企画を守るのではなく、壊すことです。
(2)失敗前提で再設計する
「この企画が大失敗するとしたら、最大の原因は何ですか」
この問いは、成功前提の思考を外すためのものです。楽観的な仮説を一度崩し、破綻シナリオを明確にします。
さらに一段進める場合は、「その原因が事実だと仮定した場合、どのように再設計すべきですか」と問い直します。本質は、防御ではなく再構築です。
(3)擬似ユーザーを立ち上げる
「〇〇な人物像を具体的に設定してください」
抽象的なターゲットを具体化し、仮説をぶつける相手を立ち上げます。ここで重要なのは正確性ではなく具体性です。
改良の方向性としては、「この人物が感じる違和感を挙げてください」「言語化されていない葛藤を推測してください」といった問いで感情層まで掘り下げます。本質は、机上の正しさを生活の文脈に引き戻すことです。
(4)インサイトを構造化する
「〇〇という発言の背景にある心理を、『なぜ』を重ねて整理してください」
不満の奥にある意味構造を探るための問いです。行動・感情・信念を切り分けることで、設計対象が明確になります。
改良としては、「行動・感情・信念に分類してください」と構造化させる方法があります。本質は、表層的な理由でとどまらないことです。
(5)評価軸を再設計する
「この企画が競合製品と比較された場合、どの軸で評価される可能性がありますか」
差別化を感覚ではなく構造で捉えるための問いです。既存の比較軸を可視化することで、自分がどの土俵に立っているかが見えます。
改良としては、「まだ確立されていない評価軸は何ですか」と問い直します。本質は、優劣ではなく評価軸の再設計です。
(6)企画の芯を圧縮する
「この企画の価値を、100文字以内で表現してください」
冗長な説明を削ぎ落とし、核だけを残します。一文に圧縮できない場合、軸が分散している可能性があります。本質は、何を守る企画なのかを明確にすることです。
否定を恐れない
私自身、これまで立てた企画は、様々な方からダメ出しされてきました。企画の仕事を始めた頃は、もはや骨すら残らないぐらいこてんぱんにやられたものです。もちろん今も、一発OKのようなことは稀で、「ここは違うのではないか」「もっとこうすべきだ」という反論は必ずあります。
現在、企画者を指導する立場にある方はご存じかと思いますが、批判したり、是正したりするコミュニケーションはとてもカロリーが必要なものです。
その立場になって初めて、自分が受けたあのときのダメ出しの価値を思い知るわけです(もっとも、単にダメ出しをすること自体が好きな方も一部いますが)。
否定は改善の基です。(一部を除き)企画をより良くしたい愛でもあります。自己批判を恐れなければ、生成AIは批判役にうってつけです。
考えては批判させ、また考えては批判させ、そんなことを繰り返しているうちに、企画者としての筋肉がついてくるように思うのです。

清水覚(著)/日経BP/2200円(税込み)
