ビジネスの中心地である東京・丸の内にある丸善 丸の内本店で、ビジネス書の担当を10年以上している村山美尾さん。村山さんがお薦めする本として紹介してくれるのは、ビジネスパーソンの関心が常に高い、話し方に関する解説書『瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。』と、会計の本なのに読んでいて面白い『教養としての「会計」入門』の2冊。
前編「
丸善 丸の内本店 村山美尾さんが薦めるChatGPT本
」
話す内容がまとまらない人にお薦めの本
ビジネスの中心地である東京・丸の内にある丸善 丸の内本店で、ビジネス書の担当を10年以上している村山美尾さん。前回お薦めする本の1冊目として紹介してくれたのは生成AI「ChatGPT(チャットジーピーティー)」に関する本、『 先読み! IT×ビジネス講座 ChatGPT 対話型AIが生み出す未来 』(古川渉一、酒井麻里子著/インプレス)だった。今回2冊目として紹介するのは、ビジネスパーソンの関心が常に高い話し方に関する本で、『 瞬時に「言語化できる人」が、うまくいく。 』(荒木俊哉著/SBクリエイティブ)だ。
「帯に、『うまく言葉にできない…』が『パッと言葉にできる』になる! と書いてある通り、まさにそれができるようになるための1冊です」と村山さん。話し方本に興味はあるけど読んだことがない人や、読んだことはあるけど実行するのは難しいと感じた人にぜひ読んでほしいという。
「多くの話し方本は、従来の話し方を改めてこういう話し方をしたほうがよりいい、という話し方のテクニックに関する内容で、話したいことがある程度まとまっている方や、話したいことを瞬時にまとめられる方向けです。そういう方がテクニック寄りの話し方本を読むと、よりよい話し方を身に付けられます。
が、その前の段階で、話したいことがまとまっていない人はどうしたらいいの? と途方に暮れてしまいますよね。私自身もその1人で、話し方本を読むたび、そもそも言葉が出てこないんだけど……と思っていました。そうした悩みを抱えている人にお薦めしたいのがこの本です。頭の中でモヤモヤとした思いや考えがまとまって、人に伝わりやすい形で言語化できます」(村山さん)
モヤモヤとした思いや考えをまとめる方法として、この本では書き出して整理することを推奨する。「その点でメモやノートの取り方に関する『メモ術』『ノート術』の本に通じる内容でもあります」と村山さん。実際に推奨される通りに書き出すと、頭の中がすっきりと整理できるのを実感したという。
「例えば、会議の前に話したいことをまとめるとき。頭の中にある状態では、話したいことは3つぐらいだったのに、書き出すと、実は5つや6つあることに気づけるんです。それは頭の中を整理する作業であると同時に、『言葉のストック』を増やす作業なので、自分の思いや考えをスムーズに言語化する力が付くわけです。いわば、言語化力トレーニング。話したいことがまとまっていない人は、この段階を経ることで、話し方上手になれるのだと思います」(村山さん)
会議で、言おうと思っていたことをほかの人に言われて、「特に意見はありません」と答えた経験がある人は多いだろう。そういうときにも、言語化力トレーニングで頭の中にあることを書き出しておけば、かぶりのない意見を言うことができる。自分の意見がある人、という積極的なイメージを与えることができるだろう。
会計の本なのに、読んでいて面白い
そして、3冊目として紹介してくれるのは、『 教養としての「会計」入門 』(金子智朗著/日本実業出版社)。同じ出版社から「教養としての〇〇」シリーズが出ており、テーマは金利や会社法、労働法、税法など。人気のシリーズで、村山さんは、「最近日銀の総裁が代わったことから、金利のほうが売れるかと思いきや、この会計のほうが2倍ぐらい売れ行きがよくて意外だった」と言う。
「なぜだろうと思って読んだところ、会計知識がない私にも理解しやすく、かみ砕いた説明がされていることが分かりました。しかも、カバーしている範囲は広いのに理解を深めやすく、そこがほかの会計入門書と違っています。ただ、タイトルにある通り入門書なので、会計について知識が豊富な人にとっては物足りないと思います。会計知識がない、または少しだけある人向けです」(村山さん)
会計知識は会社のIR(投資家向け広報)情報や決算書を読むのにも必要で、ビジネスの基礎知識の一つとして考えている人が多いだろう。が、専門的な分野で難しそう、ということから手を着けないままの人も多いのでは?
「そんなふうに後回しにしている方にうってつけの本です」と村山さん。「会計本を読んでいて面白いというのは語弊があるかもしれませんが、理解が進んで学びを得やすいという意味で面白さがあります」と続ける。企業経営の勉強を始めたいけど、何から手を着けたらいいか分からない人にも薦めたい1冊だという。
取材・文/茅島奈緒深 写真/尾関祐治




