自社の商品やサービスはUGC(User Generated Content、クチコミ)を活用しやすい特性だろうか? ここで活用できるのが「言及在庫メソッド」だ。消費者がクチコミするにも、消費者の頭の中にクチコミのもととなる「ネタ」がなければクチコミできない。では、どうやって言及在庫をつくるのか? 書籍『 SNSマーケティング7つの鉄則 』(飯髙悠太、室谷良平、鈴木脩平著)から抜粋、再構成してお届けする。
ネタがなければクチコミは生まれない
今回は、SNS(交流サイト)の発信効果の総本山ともいえるアーンドメディア活用について深掘りして解説していきます。
ポイントは「いかにUGC(User Generated Contentの略で、ユーザーによって生み出されるコンテンツのこと。クチコミ)を生み出すか」「いかにUGCを活用できるか」「UGCを活用するための戦略を作れるか」です。
まずは、自社の商品やサービスが「UGC」を活用しやすい特性かを把握しましょう。そこで活用してほしいのが「言及在庫メソッド」です。
クチコミするにも、消費者の頭の中にクチコミのもととなる「ネタ」がなければクチコミできません。筆者はこれを「言及在庫」と名付けました。「ブランドに対して抱いているイメージ」とも言い換えられるでしょう。
例えば、まったく知らないブランドや、ブランド名は知っていても人に話すほどのネタを知らないブランドであれば、クチコミすることはできません。在庫がなければ出荷ができないように、脳内に在庫がなければクチコミは起きえないということです。クチコミのもとになるネタの入庫が必要です。
次の図表の上部にあるブランド側の「トピック」は、クチコミのもとになる「ネタ」です。
UGCはN対nの情報伝播(でんぱ)ですが、そもそもトピックが消費者に知られていない限りクチコミは起きえません。そのため、実際は1対N対nという構造になります。
トピックは「量」と「質」に分けられます。トピックの量(トピック数)については、「商品・サービス文脈」と「コミュニケーション文脈」の2つのタイプがあります。
商品文脈は「おいしい」「かわいい」のように、商品について直接言及しているクチコミです。コミュニケーション文脈は、CMや広告などを見て「○○、ジーンと来るな」などと、共感を呼び起こすものです。
商材特性に合わせて、どちらの文脈が適しているか判断しましょう。トピックの質にはn数や賞味期限の要素があります。
トピックの入庫としては、次のように自社アカウントから会話のきっかけを提供することで、言及を促進させる方法もあります。
- 質問する
- 議論を始める
- 会話に参加する
- 話題のネタを提供する
- 見本を示す
- お題を提示する(ハッシュタグ企画など)
- 型を提供する
- 懸賞など見返りの提供をする(フォロー&リツイートキャンペーンなど)
- UGCの作成を奨励する
- 発話しやすいように口火を切る
そして消費者が「言及」に至るまでには、「ハードル」があります。フィジカルハードルとメンタルハードルの2つに分けられます。
言及の動機やモチベーションがあっても、ハードルを乗り越えないと言及はされません。
例えば、商品名がやたらと長いと「ハッシュタグを打ったり、SNSへ投稿したりするのが面倒」と感じられ、フィジカル面でのハードルが高くなります。また、コンプレックス商品だと「これを使ってます」となかなか言いづらいため、心理的なハードルがあると考えられます。
フィジカルとメンタル、2つのハードルを簡単に乗り越えることができれば、UGCが生まれていきます。
バズりやすいネットワークをつくる
そして、先の図表の上部にある「拡散ネットワーク」とは、言及が人から人へ伝わっていく経路のことです。言及はコミュニティーやプラットフォームの中で誰かに向けて行われるものです。
この拡散ネットワークには、フォロー・フォロワー関係を経路とする「ソーシャルネットワーク」「レコメンデーションによるネットワーク」、「SNS検索」での認知経路などがあります。
UGCはこのようにフォロー・フォロワー関係のソーシャルネットワークを通じて拡散する経路もあるので、「バズりやすいコンテンツ」だけではなく、「バズりやすいネットワークづくり」の両輪が大事です。
企業アカウントのフォロワーにUGCを出してくれそうなユーザーを集めたり、企業アカウントがUGCをリツイートしてフォロワー同士のネットワークを構築したりする手法がこれに該当します。
SNSには、映画好き、サッカー好き、料理好きなど、さまざまなクラスターがいます。それぞれのクラスターを認識した上で、クラスターごとに適切なコミュニケーションを取ることも有効な手法です。
また、映画もサッカーも好きなど、ほとんどの方が複数のクラスターに所属しているので、1つのクラスター内で情報を広げていくと、別のクラスターにも広がる可能性が増します。
企業の場合、まずは1つのクラスターとコミュニケーションを取り、自社の商品やサービスに関する認知を広げていくべきです。ポイントは1つのクラスター内で完結するのではなく、隣り合うクラスターに飛び火するような設計を持って進めることです。
自社アカウントがバズっても売り上げにつながらない!? クチコミのつくり方から、成果につながる運用体制の構築まで、なぜそうなるのか? どうやって実現するのか? を徹底解説。
飯髙悠太、室谷良平、鈴木脩平著/日本経済新聞出版/2420円(税込み)


