『うかる!FPシリーズ』 に収録している項目をもとに、暮らしに役立つ知識を紹介します。第2回は「預金のリスク」について。最も身近な金融資産である「預貯金」が抱える3つのリスクとは?
金融資産の半分以上が現預金
日本の国民が持っている金融資産(個人金融資産)は、約2,000兆円以上あり、国民1人あたりにすると、約1,600万円程度持っていることになります。その内訳をみると、50%以上が現預金です。株式や投資信託などのリスク資産の割合は、国債などの債券を含めても20%もありません。
リーマンショック後、株式市場が大きく変動したこともあり、超低金利が続く中でも、元本保証である預貯金にお金が流れる傾向が強まりました。日銀の発表では、家計の金融資産約2,000兆円の半分以上、約1,100兆円は現預金となっています。
一方、米国では次の表にあるように株式や投資信託などのリスク資産の保有割合が40%を超えており、現預金の割合は14%程度しかありません。
したがって、米国ではリーマンショックやコロナショックなどの株式市場の大きな動揺があると、個人の保有資産も大きく目減りすることになります。日本では、預貯金の比重が大きいので米国ほど影響を受けることはありません。
一見安全に見える現預金ですが、次のようなリスクに注意する必要があります。
リスク①増えないリスク
個人金融資産の増加状況について国際比較した場合、日本では近年、米国等と比べてほとんど資産が増加していない状況が見受けられます。
1998年から2018年の20年間で、例えば1,000万円の個人金融資産を持っていた人の資産は、米国では2,700万円、英国では2,300万円と、2倍以上に増えているということです。
一方、日本では1,000万円の個人金融資産を持っていた人の資産は1,400万円に、つまり400万円しか増えていないということになります。
この20年の間にリーマンショックなど大きく株価が下がるような出来事があったにもかかわらず、世界経済は成長しています。米国や英国では株式等に積立投資することで、言い換えれば「お金にも働いてもらっている」ことで、資産が着実に増えているわけです。日本では、働いて得た収入をほとんど利息のつかない預貯金として預けた結果、この差になったと思われます。
現在のような超・低金利が長年続いているときは、預貯金には「増えないリスク」があるわけです。
リスク②インフレリスク
インフレとは、物価が継続的に上がっていく状況をいいます。インフレリスクとは、物価がどんどん上がって行って、お金の価値が目減りすることをいいます。
過去の状況をみると、物価が上昇した場合に、利息の上昇率よりも物価の上昇率の方が大きくなる傾向があります。このような場合に、インフレリスクが発生することになります。
リスク③ペイオフに関するリスク
ペイオフとは、万一、銀行等の金融機関が破綻した場合でも、預金保険制度により預金者のお金を保護する制度のことです。
ペイオフでは、普通預金・定期預金・定期積金などが保護の対象です。保護されるのは、預金者1人当たり元本1,000万円までとその利息が保護されます。
ただし、「無利息・要求払い・決済サービスの提供」の3つの条件を満たした決済用預金(当座預金など)は、全額保護されます。
なお、ペイオフについては注意が必要な預金があります。
(1)金融機関当たり1,000万円を超えた場合の預金
元本基準で1つの金融機関あたり1,000万円までの預金が保護されます。1つの金融機関に複数の口座がある場合は合算して計算されます。
1,000万円を超えた金額は、必ずしも払い戻しが行われないわけではなく、破綻した金融機関の状況に応じて支払われます。ペイオフ対策としては、「利用する金融機関を分ける」方法が有効です。
(2)外貨預金や日本の金融機関の海外支店の預金
海外の金融機関の日本支店、日本の金融機関の海外支店に預けている預金は保護の対象外です。また、外貨預金はどこの金融機関に預けていても保護の対象外です。
(3)金融機関が合併した場合
金融機関が合併すると、ペイオフの上限が増えます。例えば2行が合併した場合、上限額は、2,000万円とその利息、3行が合併した場合は3,000万円とその利息まで保護されます。
ただし、合併にともなって上限額が増えるのは1年間のみの特例です。1年経過後は、1,000万円とその利息が保護の上限金額になります。
民営化後に郵便局に預けた貯金は、原則としてペイオフの対象です。また、農協の貯金は、預金保険制度ではなく農水産業協同組合貯金保険制度の保護の対象ですが、元本1,000万円とその利息が保護される点は同じです。
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