職場でも街なかでも、仕事や生活に生成AIを活用している人が増えてきました。もっと気軽に効率よく生成AIを使ってみたい、使いこなしてみたい……そう感じている人もたくさんいるはず。書店に行けば無数にある生成AI関連の本。どんな本がどう参考になるのか、悩みますよね。そこで、技術系の雑誌や書籍の編集をしている部長2人が、手前みそですが全力でお薦めできる、とっておきの日経の本を9冊紹介。技術プロダクツユニットクロスメディア編集部の田村規雄部長と日経BOOKSユニット第2編集部の安東一真部長が解説します。

今回、「手前みそですが、部長が全力でおすすめ」するのはこの9冊! 技術プロダクツユニットクロスメディア編集部の田村規雄部長(左)と日経BOOKSユニット第2編集部の安東一真部長(右)が解説します
今回、「手前みそですが、部長が全力でおすすめ」するのはこの9冊! 技術プロダクツユニットクロスメディア編集部の田村規雄部長(左)と日経BOOKSユニット第2編集部の安東一真部長(右)が解説します
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日経BOOKSユニット第2編集部長 安東一真(以下、安東) ChatGPTをはじめとする「生成AI」の進化は止まりませんね。会話をするように質問したり依頼したりするだけで、情報の収集からアイデアの提案、画像の生成、プログラムの作成までこなしてくれる。もはや“有能なアシスタント”として、存在感を増しています。

技術プロダクツユニット クロスメディア編集部長 田村規雄(以下、田村) そもそも、生成AIブームの火付け役となったChatGPTがリリースされたのは2022年11月末。まもなく3年になりますが、今年は実用ベースでの普及が一気に進んだと感じています。

安東 最初の1年くらいは、先進的なユーザーが飛びついてすごく話題になりましたよね。一般的にも、「面白いから一度試してみよう」という興味本位のレベルでしたが、最近では、仕事の「実務に役立つもの」として、多くの人が日常的に使うようになってきたのではないでしょうか。

田村 生成AIが目覚ましく進化したことも影響していますね。当初は古い情報や間違った回答を出すことも多かったのですが、今はだいぶ改善されて、使い勝手も向上しています。

安東 そうですね。無料プランでもいろいろなことができるようになりましたし、精度も高まっています。リリース当初のChatGPTを使って「AIはウソばかりつく」と思い込んでいる人は、ぜひ最新版を使ってみてください。その成長ぶりに驚きますよ。面倒な仕事を大幅に効率化できますし、定型業務を自動化することも可能です。日々の生活の中でも、仕事においても個人でどんどん活用できますし、組織レベルで導入するメリットも大きいです。

田村 語学学習や悩み相談の壁打ちに使う人もいて、日常生活で活用している人が増えましたね。一方で、「もっとうまく使いたいけれど思い通りにいかない」という人も少なくないかもしれません。そんな初心者から、仕事で本格的に使おうとしている人まで幅広く、読んですぐ使えるお薦めの9冊を厳選しました。

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 まず、入門書としては 『生成AIで爆速! ChatGPT仕事術(日経文庫ビジュアル)』 をお薦めしたいです。ChatGPTの基本的な使い方から、どんな利用方法があるのか、手軽な新書サイズに凝縮しています。

「はじめの一冊」はこれ!

1. 『生成AIで爆速! ChatGPT仕事術(日経文庫ビジュアル)』 鈴木眞里子著

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田村 この本のいいところは、実務に応用できる質問文や依頼文の例の豊富さ。例えば「取引先にお礼のメールを書く」とか「会議の展開を事前にシミュレーションする」とか「商品一覧をカテゴリで自動分類する」とか、少し面倒だったりひと手間かかったりするシチュエーションでChatGPTを使って楽をする実践的な方法を紹介しているので、初心者でも分かりやすいと思います。

「情報を収集する」「アイデアを練る」「文章を作成する」といったカテゴリごとに、よくある作業例が並んでいて分かりやすい
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 ChatGPTだけでなく、仕事とプライベートで、複数の生成AIを使い分けたい人もいるかもしれませんよね。グーグルの「Gemini」やマイクロソフトの「Copilot」など、生成AI全般について基本から学びたいという人には、こちらの日経パソコンのムック『ChatGPT&生成AI 実践活用ガイド』がお薦めです。

ChatGPT以外の生成AIも網羅 図版が分かりやすい

2. 『ChatGPT&生成AI 実践活用ガイド』日経パソコン編

『ChatGPT&生成AI 実践活用ガイド』日経パソコン編/画像クリックでAmazonページへ
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田村 このムックは、どのページも図版をふんだんに使っていて、画面を目で追いながら理解できる点が入門者にぴったり。ムックとしては異例の4刷目の増刷がかかり、累計2万部まで伸ばしています。後半部分には、「忘年会の幹事を押し付けられたら…」「生成AIと会話して雑談を楽しむには…」といった、プライベートでの活用法も掲載されています。

どのページも図版が多く、画面を追いながら実践できるのが特長
どのページも図版が多く、画面を追いながら実践できるのが特長
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安東 とにかく「ChatGPTをより深く理解し、使いこなしたい」という人には、深津貴之さんの『ChatGPTを使い尽くす! 深津式プロンプト読本』を読んでいただきたいです。

大ヒット! 達人が生み出した「深津式プロンプト」

3. 『ChatGPTを使い尽くす! 深津式プロンプト読本』深津貴之著、岩元直久著

『ChatGPTを使い尽くす! 深津式プロンプト読本』深津貴之著、岩元直久著/画像クリックでAmazonページへ
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安東 ChatGPTの威力を最大限引き出すには、生成AIに質問したり命令したりするための文章=「プロンプト」をいかに適切に入力するかがカギとなります。そのプロンプト入力のコツやパターンをまとめ上げた第一人者が、クリエイティブプラットフォームnoteのCXO(チーフエクスペリエンスオフィサー)でインタラクション・デザイナーの深津貴之さんです。

 深津さんが考案した効果的なプロンプトの書き方は「深津式プロンプト」と呼ばれています。本書は、IT関連書としては大ヒットと言える3万部を超えているんです。

 深津式オリジナルのプロンプトで、個人的に面白いと思ったのが「Score Anchoring(スコア保留)」という方法です。例えば、ChatGPTに「××という書籍のタイトルを考えて」と聞くと、優等生のChatGPTは、ありがちなタイトルを出す傾向があります。そこで「上記のタイトルを60点とします。足りない40点はなんですか?」と聞くのです。こんな「相手の提案の全否定」みたいことをもし私が若手に言ったら、予期しないハレーションが起きそうです(笑)。でも、こうした「厳しく詰めていく」プロンプトも、ChatGPTの力を引き出すテクニックだったりします。それでChatGPTは怒ったりしないし、本当にけなげに働いてくれますね。

Score Anchoring(スコア保留)は、ChatGPTに100点のアウトプットはどんなものか考えさせるテクニック
Score Anchoring(スコア保留)は、ChatGPTに100点のアウトプットはどんなものか考えさせるテクニック
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 本書ではさらに、よくある8種類のビジネスシーンで、深津式プロンプトをどう組み合わせて使えばよいか、具体的に解説しています。文書作成からデータ分析までカバーしています。

田村 私も仕事で参考にしていますよ、深津式プロンプト。先ほど紹介した書籍やムックを含め、多くのプロンプト解説書にも影響を与えていますよね。深津式プロンプトは、もはや定番テクニックといえるでしょう。

安東 仕事での活用という意味では、ChatGPTなどの生成AIにプログラミングをさせることもできますね。プロのプログラマーの間でも、開発の効率化・高速化のために生成AIを使うのが当たり前になりつつあります。生成AIを使ってコードを生成したり、ドキュメントを作ったりするアプローチは、「AI駆動開発」や「バイブコーディング」といわれ、専用のツールも多数登場しています。

田村 プログラミングの知識がない初心者でも、生成AIの力を借りれば、面倒な作業やデータ処理を自動化するプログラムを作成できます。そんなノウハウを紹介しているのが、この『ド素人でも100倍速! ChatGPT×Excel 時短技大全』。Excel VBAを使ったマクロを、ChatGPTに丸投げして実現する一冊です。

会話して丸投げでマクロが完成 これぞ生成AIの真骨頂

4. 『ド素人でも100倍速! ChatGPT×Excel 時短技大全』

『ド素人でも100倍速! ChatGPT×Excel 時短技大全』/画像クリックでAmazonページへ
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田村 自分では一切コードを入力することなく、さまざまな自動化マクロを作成できます。特に試していただきたいのは、年と月を入力するだけでカレンダーを自動作成できるマクロです。祝日の表示にも対応していて、「こんな自動作成マクロをChatGPTと会話するだけで完成できるの?!」と本当に驚き、感動しました。

年と月を指定するだけでカレンダーを自動作成
年と月を指定するだけでカレンダーを自動作成
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 こちらの『ChatGPTとPythonで知識ゼロ! 自動化アプリ作成』も同様で、こちらはプログラミング言語「Python」を使ったアプリの作成を、ChatGPTを使って行います。

コード入力なしにPythonでアプリを作れる

5. 『ChatGPTとPythonで知識ゼロ! 自動化アプリ作成』太田和樹著

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田村 いずれも、目的のプログラムを生成させるためのプロンプトのコツや対話の仕方を解説する本で、コードの解説は二の次。プログラミングの経験がなくても大丈夫です。

安東 そういえば、Microsoft 365版のExcelでは、生成AIの「Copilot」がExcelの中で使えるんですよ。この『Microsoft Copilot for Microsoft 365活用大全』は、Excelをはじめ、WordやPowerPoint、Teamsなどに搭載されたCopilotの活用法をいち早く解説した定番書です。

アクセンチュアで実践されている100個のテクニック

6. 『Microsoft Copilot for Microsoft 365活用大全』アクセンチュア データ&AIグループ著

『Microsoft Copilot for Microsoft 365活用大全』アクセンチュア データ&AIグループ著/画像クリックでAmazonページへ
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安東 著者のアクセンチュアが社内で実践している100個ものテクニックを丁寧に解説しています。例えば、メールやチャット、会議などを要約するだけでなく、課題やTO DOの抽出にも使えば、一段上の効率化が図れそう! この1冊でTeams、Outlook、PowerPoint、Word、Excel、OneNote、Whiteboard、Power Automateといったアプリケーションのそれぞれについて、網羅的にテクニックが紹介されているので、とても使いやすいと思います。こちらも1万5000部を超えて、たくさんの読者から評価をいただいています。

田村 いちいちChatGPTを立ち上げなくても、Officeアプリの中でCopilotを使えるのは、手っ取り早くて便利ですよね。ExcelのCopilotについては、『Excel×Copilot AI仕事術』でも詳しく解説しています。

人気YouTuber・エクセル兄さんが分かりやすく解説

7. 『Excel×Copilot AI仕事術』たてばやし淳著

『Excel×Copilot AI仕事術』たてばやし淳著/画像クリックでAmazonページへ
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田村 著者は、YouTubeやUdemyでExcelを教えている人気講師の「エクセル兄さん」こと、たてばやし淳さん。できること、できないこと、どのように使うのがお薦めなのか、などを丁寧に紹介しています。

安東 2025年春には、CopilotとExcel、Pythonが融合した「Copilot in Excel with Python」が日本語版で使えるようになりました。これにより、プロンプトに指示を書き込むだけで、従来のExcelではできなかった高度な分析とグラフの作成ができます。そんな最新機能を解説しているのが、こちらの『Copilot×Excel×Python最速仕事術』です。生成AIとPythonの力で生まれ変わる“Excel新時代”を体感できる一冊です。

“Excel新時代”を体感 データ分析が変わる!

8. 『Copilot×Excel×Python最速仕事術』金宏和實著

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安東 本当に簡単なプロンプトを入力するだけで、MatplotlibやseabornといったPythonの定番ライブラリを使って複雑なグラフをExcel上でぱっと表示することができます。出てくるコードはだいたい数行なので、慣れてくれば自分でもカスタマイズできそうです。

コードが数行程度なのもうれしい
コードが数行程度なのもうれしい
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田村 Pythonはデータ分析や視覚化に便利ですが、「プログラミングはハードルが高くて無理」という声をよく耳にします。それが生成AIの力で身近に使えるようになったのは、すごくありがたいですね。

安東 さらにPythonを使ったデータ分析をしっかり学びたい人には、この『ChatGPTで儲かるデータ分析』がお薦めですね。PythonプログラミングはChatGPTに任せつつ、より高度なデータ分析を行うための知識、ノウハウを詳しく解説しています。

Pythonが書けなくてもデータ分析が楽々できる

9. 『ChatGPTで儲かるデータ分析』赤石雅典著

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安東 契約が見込める営業先の選定、商品の販売量予測、お薦め商品の提案など、現場ですぐ使えそうなデータ分析を、プロンプトの入力だけで進められるので、本当に時代が変わったなぁと感じました。Pythonは書けないけど、なんとなく読めるという人なら問題なく読み進められると思います。

正解データと予測結果をグラフにして確認することもできる
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田村 プログラミングやデータ分析など、従来はハードルが高かったさまざまな業務を“民主化”してくれるのも生成AIの大きなメリットです。目の前にある課題を解決したり、仕事を効率化したりするだけでなく、新しい一歩を踏み出す際の相棒として、生成AIを賢く活用していきたいですね。

文/田村規雄(技術プロダクツユニット クロスメディア編集部長)、安東一真(日経BOOKSユニット第2編集部長) 構成・写真/長野洋子(日経BOOKプラス編集)