『 後継ぎ経営者のための70点経営 地味な積み重ねが、人と利益を引き寄せる 』の読みどころを、著者の日経トップリーダー副編集長・神農将史が解説します。

【動画】『後継ぎ経営者のための70点経営』を著者が解説

映像制作:荻本貴史(ドリームムービー)
 私がこれまで取材してきた経営者の中に、こんな方がいます。
「年に5000時間働かないなら、社長をする資格はない」
「1000人いるパートさんを含む従業員の顔と名前、最後にいつどんな話をしたのか覚えられないなら経営者の資格はない」

 彼らが特別な能力と熱意を兼ね備えていた経営者であることは論を待ちません。大事なことは、彼らが「特別である」ということ。つまり、全員がこういった人たちではない、ということです。

 私たちメディアが普段紹介している経営者は「特別」な人です。しかし、このような突き抜けたことをせずとも、自身も従業員も幸せにできる経営者になれる、という信念から本書をつくり、『後継ぎ経営者のための70点経営』というタイトルにしました。

 真面目で責任感のある後継ぎほど、先ほど紹介したような経営者の本を読んだり講演を聴いたり、もしくは自身の会社の創業者や先代の武勇伝を聞いたりする中で、「自分にはとても同じことはできない」と元気をなくしてしまいます。そんなことはないんです。そういう人にこそ読んでほしいと思っています。

 経営のあれこれの大半は、型に落とし込むことができます。伝統芸能やスポーツの「型」と同じようなものだと思ってください。
 営業も製造も、採用も資金繰りにもあります。そういう「完璧ではないけれど、70点くらいでも再現できれば十分な成果が見込める」事例を集めて紹介しています。最終的に自身や自社に合った形に落ち着けばいいのです。

 本書の中で、アックスヤマザキという大阪のミシンメーカーを紹介しています。創業者の孫が3代目として会社を引っ張っています。テレビにも何回も出ている、実力もあり知名度もある社長さんです。
 この方がやっていることは、自社の課題に向き合い、「できればやりたくないけど、やらないといけないこと」に向き合い続けることです。どうにも収支の合わない海外工場の閉鎖とか、先代時代につくった商品の中で、採算の合わないものを整理するとか。そういう話です。逆転の発想でもなんでもありません。順張り中の順張りのような話ばかりです。

 ほかにも、事業承継の話が中小企業経営では永遠の課題としてあります。誰にどう継がせるか、という話です。

 このテーマでは、ロマンライフという京都の会社を紹介しています。「茶の菓」という抹茶を使ったお菓子と言えば、京都に旅行や出張で行ったことがある人はピンとくるかもしれません。
 ロマンライフでは2代目が、自身の苦労を繰り返すまいと、15年の承継計画をつくって引き継ぎをしています。家族も社員も巻き込んだ壮大なものであると同時に、銀行印はどのタイミングで3代目に渡すか、そういった細かな約束事の積み重ねでもあります。いくらでも真似できますよね。

 どちらも、経営者・会社として100点満点です。120点かもしれない。少なくとも私に、完全再現しろと言われてもできないな、すごいなと感じながら取材をしていました。「わずかでもやり損ねたら無意味」と言われたら、私は絶対に手を出そうとはしないでしょう。

 でも、これをもし「七掛けでも効果が十分ある」と言われたらやってみる価値があるなと。そう思っています。

 ほかにも採用や月次決算など、どんな規模・業種でも参考になる事例をたくさん詰め込んでいます。既に経営者をしている方も、これから継ぐ予定の方も。そして、家業はないけど、起業したり、誰かの経営を手伝う人生もありかなと思ったりしている人すべてに、手に取っていただけると、筆者としてこれ以上の幸せはありません。

<内容紹介>
『後継ぎ経営者のための70点経営 地味な積み重ねが、人と利益を引き寄せる』

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