内容紹介

格差にあえぐ貧しい民衆が立ち上がり、「21世紀の社会主義」という旗印を掲げ、約20年にわたりポピュリズム(大衆迎合主義)を推進してきた南米大陸がいま、大きく揺らいでいる。

いったい、何が起こっているのか。
日本では報道される機会の少ない南米の現状とこれからについて、日経元サンパウロ特派員が描く。


天然資源の売却などで得た富を貧しい層に分配するという政策で世界中から称賛を浴びたベネズエラは、ハイパーインフレで経済が破綻し、人々が飢えに苦しむ。

経済開放路線で躓き、政権交代に失敗したアルゼンチンは、再び左派ポピュリズムを選択し、没落を続けている。

新興国の雄・大国ブラジルでは「コロナは風邪」と呼び、過去の軍事政権の拷問を正当化する極右の大統領が、分断を深めた。

「南米の優等生」と呼ばれてきたチリですら、格差是正を目指す大規模な暴動が発生し国際会議が中止となった。

――南米大陸を覆う黒い影は晴れない。

経済的に決して無視できる存在ではないにもかかわらず、地政学的リスクが非常に高い南米は、多くのグローバル企業にとって悩みの種である。

本書は、国際政治に関心のある層やビジネスで関わる読者にとって、「なぜそうなったのか」という問題の本質を現地視点で詳述。
意思決定にあたってヒントになる情報を提供する。

目次

序章
第1章 ベネズエラ 「21世紀の社会主義」の崩壊
第2章 アルゼンチン 落日の大国を覆う投票の呪縛
第3章 ブラジル 怒りが揺らす社会秩序
第4章 チリ、コロンビア、ペルー、ボリビア 格差が招く終わりなき混乱
第5章 ポピュリズム大陸から日本への警告