内容紹介
「秘密結社」から始まった中国共産党は潜在的に守りの意識や被害者意識が強く、常に内側に不安を抱えている。結党目的の共産主義の実現はすでに失われ、政権党として君臨することが自己目的化している。米国の「圧力」にさらされていると受けとめる共産党は軍事的統制を強め有事体制に移行しつつある。中国の隅々に張りめぐらされた党組織は硬直化し、自己改革できない「大企業病」に冒されているようだ。膨張の果てに戦前の日本と同じ道を歩むリスクさえ見え隠れするようになった。
外部から見た不可解な行動をとる中国共産党の原理とは何か。共産党の憲法といわれる「党規約」の読み解きを交えながら、有益な中国分析を提供する。「党規約」最新版の全訳も掲載。
目次
第1章 すべてがヴェールに――秘密結社として生まれた共産党おびえる共産党 もう一つの原点 結党の絵を描いたロシア人 幻だった「綱領」 党創設メンバーの処刑地から見えるもの 秘密の地下印刷所 入党の誓いの言葉 共産党は宗教なのか? 他国と同盟を結べない 生き残るために毛沢東本も発禁にする 密室で決まる最高指導部 習近平氏がすべて決めた
第2章 軍を握っているか――共産党トップの条件
思想集団から軍隊への転換 挫折に次ぐ挫折 優秀な軍略家だった毛沢東 共産党は日本とどう戦ったか 日本の「末路」を予見 戦争で権力を掌握 天安門事件でカリスマになった鄧小平 党官僚の弱点 台湾危機で問われた力量 軍と無縁だった胡錦濤氏 チベット鎮圧で頭角 党総書記後も軍掌握できず 退場劇の「真相」は 軍人だった習近平氏 「幻の尖閣危機」を経験 尖閣、「現状維持」で合意か 駆け引きの極意を学ぶ 福建省で仲間と出会う 党トップ内定も軍が決め手 中央委員の約2割が軍人 君子豹変す 最大の危機、香港デモ 軍投入も検討していた習近平氏 中央軍事委主席は手放さない 謎の人物、鐘紹軍
第3章 民意を問えない巨大集団――共産党の組織力
優秀な人材を囲い込み 共産党の「新卒採用」 女性の時代は来るか ジャッキー・チェン氏の「共産党に入りたい」 立ちはだかる4つの関門 両親が党員なら有利 党の末端組織、支部 企業が党委員会を置くメリットは 入党目的は公務員・国有企業 一度入ったら抜けられない 「純粋でまっすぐ」な人が多い 格差は固定 共産党が共産党でなくなったとき 最大勢力は「資本家」 利権集団への変貌 六本木に500平方メートルの邸宅 土を食べる人 相続税も固定資産税もゼロ
第4章 つきない水脈――共産党と米国
習近平氏の母校は元米国留学予備校 清華大にある秘密の学院 米中軸の金融ネットワーク構築が狙いか 米中裏パイプの「経済管理学院」 米国通を締めつける習近平氏 朱鎔基氏との関係悪化が影響か もう一つの100周年 ロックフェラーと周恩来が会談 JPモルガンが共産党に謝罪 優遇措置続々と 米民主党との関係意識か 米テスラが払った「入場料」 米中貿易戦争が追い風に 習近平氏腹心に食いこむ マスク氏に「永住権」 大統領候補に貸しづくり 真の米中関係をどう読み解くか
第5章 食と農――共産党のアキレス腱
共産党は「農民の党」 土地革命というプロパガンダ 党員の3~4人に1人が農民 民意の読めない怖さ 共産党が上げた悲鳴 農地の2割が汚染 中国全土の農地が硬化 食糧生産力に限界 輸入多様化で生き残り 共産党を揺さぶる豚肉価格 天安門事件の遠因との指摘も まれに見る備蓄制度 「ゼロコロナ」は豚から生まれた? 農学者の死が語るもの 有事に備え備蓄 党主導で食品流通網を整備 台湾有事にらみか
第6章 終わりの始まり?――共産党の死角
厳しさを増す取材規制 コロナの爪痕か 個人崇拝の芽生え 諸葛亮も「利用」 ゼロコロナから見る共産党 戦い抜いた党の末端組織 2枚の看板 一人っ子政策との共通点 末端組織の弱体化と疲弊 ゼロコロナの正体は 塾規制の異様 地方を知らない共産党幹部 戦前の日本に酷似か 共産党版「失敗の本質」 都合の悪い情報は上がらない 深刻なコミュニケーション不足 ウクライナに残された中国人7000人 ダイナミズムを欠く組織体質 公務員試験に殺到する若者 「科挙より難しい」との声も 希望が持てない「恐婚族」 党規約が破られるとき
おわりに
主要参考文献
中国共産党規約
