内容紹介
「ドルが信頼できる安定した強い通貨だった時代は恐らくピークを過ぎたのだろう。となれば、債務危機、インフレ危機、金融危機、通貨危機の発生頻度と深刻度は世界的に上昇しかねない。(本書「はじめに」)膨大なデータから各国のデフォルト(債務不履行)の歴史を描いた世界的なベストセラー『国家は破綻する 金融危機の800年』(カーメン・ラインハートとの共著。原題はThis Time is Different.)で知られる国際金融の権威でハーバード大学教授のケネス・ロゴフの最新作。
2001年から2003年まで国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストを務め、チェスのグランドマスターでもある著者が、国際金融のインサイダーとしての視点を交えて基軸通貨ドルの歴史を振り返り、第2次トランプ政権における関税戦争などを視野に、ドル覇権の時代が曲がり角を迎え、低金利時代が終わって金融危機のリスクが高まったと警告する。
ドル覇権への挑戦者として、かつての円、ユーロ、現在の人民元を取り上げ、ドルの代替通貨としてビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)と中央銀行デジタル通貨(CDBC)にも言及する。
円については、日本語版への序文で「決定的な分かれ道でちがう方向に進んでいたら、日本の地位はもっと高かったかもしれない。アメリカには競争相手国がうまくやることは許すが、うまくやりすぎることは許さないという長い伝統があるが、その好例となってしまったのが日本だった」と書いている。
目次
日本語版への序文
第1章序論 基軸通貨の誕生
第1部ドル覇権への過去の挑戦者たち
第2章ソビエトという強敵
第3章日本と円
第4章欧州単一通貨
第2部現在の挑戦者、中国
第5章今回は違う
第6章朱鎔基の予測
第7章中国人民銀行
第8章危険の予兆
第9章高度成長の終わり
第10章人民元とドルのデカップリング
第3部アメリカ以外の国の問題ーードルとの共存
第11章固定相場制の魔力
第12章ハイパーインフレ
第13章固定相場制はいつ賞味期限切れとなるか
第14章レバノンとアルゼンチンーー例外なのか、普通なのか
第15章 トーキョー・コンセンサス
第16章帰って来た固定相場
第4部代替通貨
第17章グローバル通貨
第18章暗号資産と貨幣の未来
第19章中央銀行デジタル通貨
第5部基軸通貨の優位性と不利益
第20章基軸通貨の優位性
第21章法外な特権、または代表なくして課税あり?
第22章ドル覇権に対処する世界の国々とアメリカの少しばかりの協力
第23章基軸通貨の不利益 第6部衰退に転じるドル覇権
第24章中央銀行の独立性 通貨覇権の砦
第25章債務大国 アメリカのアキレス腱
第26章永遠に続く低金利という誘惑
第27章ドルによる平和の終焉
