不確実性の高まる世界情勢、高市新政権への期待、労働人口の減少、AI(人工知能)のさらなる進化……どの業界に飛躍のチャンスがあり、企業はどう備えるべきなのか。幅広いシーンで活用されている『日経業界地図 2026年版』から、要注目分野の「業界地図」を紹介する。今回は脱炭素の動きと深いかかわりを持つ「リチウムイオン電池」業界をとりあげる。
リチウムイオン電池は充電できる二次電池の1つで、高出力、大容量が特徴だ。リチウムイオンが正極と負極の間を動くことで充放電する。1991年にソニーが初めて商品化した。角形、円筒型、ラミネート型などの形状がある。
スマートフォンやノートパソコンなどの充電が必要な電子機器のほか、エネルギー密度の高さから電気自動車(EV)向けでも引き合いが強い。
最近の動向
世界の潮流が脱炭素に向かうなか、EVに使う車載向けが電池業界をけん引する。車載電池市場のうち上位は中韓メーカーだ。パナソニックエナジーを除くと日本勢の存在感は薄く、部材でもシェアを落とす。
欧米を中心にEV需要が鈍化し、車載向けは伸び悩む。韓国LGエネルギーソリューションの2024年12月期は減収減益だった。
小型リチウムイオン電池では生成AI(人工知能)の需要が拡大し、データセンター向けで定置用蓄電池の引き合いが強い。スマートフォン向け需要も底堅い。
米国の関税措置で自動車などの需要が減り、リチウムイオン電池にも影響する可能性がある。
業界規模
車載用リチウムイオン電池世界出荷量:833ギガワット時(2024年推計、テクノ・システム・リサーチ)
キーワード
【全固体電池】
電解質を固体にした電池。発火リスクが小さい特長があり大きな期待を集める。小型電池が先行するが、EVの航続距離を延ばすため自動車各社などが車載向けでも実用化を急いでいる。トヨタ自動車は2027年にも全固体電池を搭載したEVを投入する方針だ。
業界団体等
電池工業会:東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館内 https://www.baj.or.jp/
経済産業省:東京都千代田区霞が関1-3-1 https://www.meti.go.jp/
[日経クロステック 2025年12月26日付の記事を転載]
日本経済新聞社編/日本経済新聞出版/1980円(税込み)

日本経済新聞出版編/日本経済新聞出版/1760円(税込み)



