その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は安部征哉さん、財津俊行さんの『 スイッチング電源制御設計 AIやEV時代の電源システム安定化を徹底解説 』です。

【はじめに】

 本書は、2015年3月に発行した「スイッチング電源制御設計の基礎」の増補改訂版です。デザインを刷新し、新章(7章)も追加し、ページ数を2015年発行時の約160ページから224ページに増やすなど、内容をさらに充実させました。そこで、タイトルも「スイッチング電源制御設計」と改めて、新たな書籍として再スタートを切った次第です。

 本書は電源などのパワーエレクトロニクスを学ぶ学生や企業の技術者を対象にした専門書です。数式を使って理論的に解説しつつ、理解が深まるように図も多用しています。

 前書を発行してから約10年が経過し、スイッチング電源は活躍の場を広げています。その代表例が、2020年代から普及している電気自動車(EV)とAI(人工知能)データセンターです。いずれの用途でも、スイッチング電源が省エネの切り札として重要な役割を担っています。

 一方で、電源系は複雑になり、安定性を確保するのが難しくなっています。万が一、スイッチング電源の不具合によってEVで事故が生じると、けがをするだけでなく、最悪、人命を落としかねません。

 AIデータセンターも、AIの学習や推論処理に不可欠なインフラです。スイッチング電源の障害で万が一、データが消えたり、停止したりすると、多額の損失が生じます。ですから、EVやAIデータセンターの電源系の安定が一層、重要視されています。

 そこで本書では、新たに7章として、電源系の安定化に関する解説を追加しました。「インピーダンス法」と呼ばれる方法です。理解が深まるように、代表的な3つの事例に基づいて、対策などを論じています。

 前書で掲載していた、既存の1章から6章に関してもデザインを刷新しました。1章ではスイッチング電源とその制御の歴史を紹介し、2章以降、スイッチング電源の基礎から設計までを数式と図を使いながら、解説していきます。

 具体的には、2章でスイッチング電源回路の基本トポロジーを、3章で「状態平均化法」を利用したDC-DCコンバータの解析について説明します。4章ではスイッチング電源の制御機構、5章では降圧型コンバータの制御系設計、6章では昇圧型コンバータの制御系設計を詳説しています。

 読者のみなさまの技術力向上のみならず、パワーエレクトロニクス業界の発展にもつながれば幸いです。

【目次】

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