その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は檀上京之介さんの『 創って学ぶCPUの基本 3bitプロセッサを設計しながらゼロから仕組みを理解する 』です。

【はじめに】

CPUを創る意味

 1番大事なことを最初にお伝えします。本書の内容すべてを一気に理解する必要はありません。読み終えたあと、CPU(シーピーユー)について何となく分かったような気がする――まずはそれで十分です。

 コンピュータが身近になって久しいです。誰もがスマートフォンを日々使いこなす時代になりました。2025年度の大学入学共通テストから「情報I」が加わりました。これまで専門技術だった情報工学はどんどん一般化してきており、生成AIの普及も相まって、プログラミングができることは当たり前になってきています。
 ここで注意しなければならないことがあります。それは、「当たり前」になっていくのはあくまでも「道具の使い方」であるという点です。プログラミングとは、プログラムという道具を使った技術です。プログラムという「道具を創っている」わけではありません。道具を創るのは使うことに比べて格段に難しいのです。ちょっと飛躍するかもしれませんが、人類が火という道具を発明するのに何年かかったのか、に近いでしょう。

 本書はCPUという道具の「使い方」ではなく、「創り方」のお話です。それはとても難しいのです。だからすぐにすべてを理解しようとするなんて無謀です。無理です。不可能です。あなたはCPUについて勉強しようと思いたち本書を開いたはずです。きっと分からないことばかりだと思います。それが当たり前です。少しずつ理解していければよいのです。

 かくいう私も世の中のCPUについて何も分かりません。複雑すぎて理解するのは不可能です。けれども、CPUについて自信を持って「分かる」といえることがあります。それは、動作原理です。複雑な道具でも動作原理は意外と単純だったりします。そして、動作原理さえ理解することができれば、応用して自分で道具を創ることができるようになるのです。

 目指すべきところは、CPUの動作原理についての理解です。本書のためにTTM3(ティティエムスリー)というCPUを設計しました。TTM3は動作原理を理解するために創ったCPUです。だから複雑な構造になっていません。とてもシンプルで分かりやすいCPUです。そして、まったくブラックボックスがありません。ON/OFFを切り替えられるスイッチをたくさん用意すれば、TTM3を複写できるでしょう。本書ではTTM3の設計の流れを追いながら、その動作原理について理解を深めていきます。
 理解をより深めるには、手を動かすことも大切です。そこで、TTM3を実際に作れる「自作CPU組み立てキット」(別売)も用意しています。TTM3を手に取って動作確認ができれば、本書の内容をいっそう理解できるでしょう。

設計するCPUの内容

 本書では、実際にCPUを設計していきます。ゴールイメージ(最終目標)を最初に共有しましょう。設計していくCPUは、3bit(ビット)のCPUで、3bit同士の論理演算ができます。出力はRGB-LEDです。3bitそれぞれに赤、緑、青が割り当てられているので、7色の発光を自由にプログラミングできます。
 ここまで専門用語が連続したので、何が何やら分からなかった方もいるかもしれません。簡単に説明すると、「赤、緑、青、橙、水、紫、白の7色の発光を自由にコントロールできるCPUを設計します」ということです。CPUのスペック(仕様)と外観は次の通りです。スペックの意味は、今は分からなくて大丈夫です。本書を読みながら少しずつ理解していきましょう。

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【目次】

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