その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は堀切俊雄さんの『 利益を最大にする実践的手法 トヨタ流原価マネジメント 』です。

【はじめに】

─企業が儲かるマネジメント─

 本書は、トヨタ流原価マネジメントの指南書です。トヨタ自動車が行っている優れた原価マネジメントを基に、多くの企業が実践できるように体系化しました。

 会社の経営とはQ(品質)、C(コスト)、D(納期・リードタイム)を追求する会社全体の活動をマネジメントすることです。このうちのC(コスト)に当たる原価(または利益)に関するマネジメントが原価マネジメントとなります。

 「原価マネジメント」は、一般には聞き慣れない言葉かもしれません。原価マネジメントを端的に言えば、企業が利益を生み出すためのマネジメント、すなわち、企業が儲(もう)かるためのマネジメントです。

 「原価」と聞くと、経営者や経理の仕事というイメージを持つ人が多いと思います。企業が存続・発展するためには利益を創出することが非常に重要であり、それは経営者の役割です。経理部門から定期的に会社の業績の報告書(決算書)が渡されます。この決算書である財務諸表などを理解して分析すれば、企業の利益が向上すると一般には思われています。

 しかしながら、この報告書(決算書)は企業の過去の活動(業務)の結果の集計であり、過去に遡って会社の業績を良くすることは不可能です。加えて、経理部門だけではなく、営業部門や設計部門、製造部門、人事部門、物流部門など、多くの部門の業務が原価を発生させたり、利益を生み出したりしています。

 現在行っている業務と原価(または利益)は対になっています。現在の業務と原価(利益)はリアルタイムで直結しているのです。経営者や経理部門も含めて、社員全員が現在行っている業務が会社の業績を左右しています。

 原価マネジメントとは、全員が各業務と原価をリンクさせ、各業務の付加価値(原価の低減・利益の創造)を増大させるマネジメントなのです。社員全員の業務が利益に関与しているため、原価(または利益)を創造する業務に改善する必要があります。そのためには、全社員に対して原価について教育し、原価に対する意識を変えて、現在の仕事を改善する人材に育成することが必要なのです。

 注意しなければならないのは、原価マネジメントは財務会計とは異なることです。

財務会計…会社の業績を集計する
原価マネジメント…会社の業績を向上させる活動

 財務会計については会計士や税理士といった国家資格があり、会社では主に経理部門や財務部門が担当します。このように、財務会計は確立されています。ところが、原価マネジメントについてはあまり認知されていません。

 企業の経営トップと経理部門は財務会計(主に集計・分析)の業務だけではなく、原価マネジメント(価値・利益の創出)の業務にも力を入れるべきです。経営トップおよび管理者に原価マネジメントの重要性を認識してもらい、会社の経営に原価マネジメントを役立てもらいたい。また、会社の全員に原価マネジメントを知ってもらい、業績を高める活動を活発に行って会社の業績を向上させてほしい。そうした思いで本書を執筆しました。

 本書は、企業における各業務と原価との関係を明確にし、それぞれの業務の付加価値を高める方法を解説しました。また、理解しやすくするために、その事例をできる限り多く取り入れています。

 第1章では、原価マネジメントとは何かについて述べ、さらに原価マネジメントの取り組みや効果について簡潔に説明しています。

 第2章から第4章では、一般的な原価の定義や捉え方について、トヨタ自動車における実例や演習問題を通して説明しています。

 第5章から第8章では、トヨタ自動車における原価マネジメントの取り組みについて、商品企画から量産開始後に至るプロセスに沿って時系列で整理しています。

 第9章では、トヨタ生産方式(TPS)を用いた原価改善活動について、生産工程での実例を見ながら解説しています。

 第10章では、原価マネジメント活動を支える人材育成について説明。第11章では、原価マネジメントを進める上で必要な企業の改善力の評価「GBM(グローバルベンチマーク)」評価について解説しています。

 ぜひ本書で原価マネジメントを学び取り、貴社の利益向上に役立ててください。

堀切 俊雄

【目次】

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