その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は日本経済新聞社(編)の『 日経経済知力テスト公式テキスト&問題集 2026-27年版 』です。「まえがき」をお届けします。

【まえがき】

 日経経済知力テスト(日経TEST)とは、日本経済新聞社が実施している、ビジネスに必要な経済知識と、それを仕事に応用して考える力(総合して経済知力)を客観的に測り、スコアで示すテストです。

 経済はめまぐるしく変化しています。多くのビジネスパーソンの皆さんは、日々、日本経済新聞などを通じて経済情報の吸収に努められていると思いますが、周囲に比べ「どこまで」身についているか、過去の自分と比べ「どれだけ」成長しているかは、客観的に評価しにくいものです。これから取り組まれる方や、就職を控えた学生の皆さんにとっては、「どこから」手をつければよいか、見当がつきにくいと思います。

 そうした皆さんに、「自分の経済知力がビジネス社会でどのレベルにあるか」を数値化して示すのが、日経TESTです。受験結果は英語能力のテストなどと同様、項目反応理論(IRT)に基づく統計処理を行った1000点満点の「経済知力スコア」で示します。業種、役職、就業年数によりどの程度のスコアが求められるのかの目安も設けています。

 スコアで実力が分かり、「どこまで」という目標が設定できるので、レベルアップの必要を痛感されている方、これから学ぼうという方には特に適しています。問題形式はすべて四肢択一式で出題数は100問、時間は80分。受験者ごとの得意分野・不得意分野も分かります。

 出題ジャンルは経済・金融・産業から、消費、科学技術、国際情勢まで幅広く、皆さんのそれぞれの仕事を掘り下げるうえで必要な分野をカバーしています。知識に基づき、考える力も測るのが特長で、独自の「5つの評価軸」を設けて測定しています。このように幅広い分野を対象に、知識だけでなく仕事に応用して考える力も客観的に測るテストは、日経TEST以外にありません。

 出題の材料は「生きた経済」です。経済・ビジネスの最新の動きを題材に問題を更新しているので、経済ニュースへの感度を高め、そのつど考える習慣をつけておくことが、経済知力のアップに有効です。そのため本書も毎年、改訂版を発行し、最新の経済動向を盛り込んだ解説と練習問題を収録してきました。

 2025-26年版発行から1年、世界の経済・ビジネス環境は第2次トランプ政権が打ち出した「トランプ関税」などで激変しました。日本ではデフレからインフレへの流れが定着して「金利ある世界」が復活、企業経営では生成AI(人工知能)の活用が注目され、AIエージェントやフィジカルAIが今後の成長のキーワードになりつつあります。これらを受けて本書は、解説内容を大幅に改訂、練習問題100問も全面更新したほか、実践知識の解説に新たに素材・エネルギー、医薬・食品、建設・不動産などの業界を加えて内容をさらに拡充しました。巻末の「学習のコツ」のコーナーも受験対策としてより役立つ内容にリニューアルしました。

 日経TESTはいわゆる資格試験や検定試験と異なり、このテキスト一冊をマスターすれば合格、というテストではありません。しかし、本書を読み通すことで、複雑さを増すように見える世界経済・日本経済の全体像がつかめ、難しいと感じていた日々の経済ニュースが頭に入りやすくなり、測定対象とする経済知力のアップにつながるはずです。

 昨年版までと同様、練習問題とその解説も含め、新しい知識を吸収しながら楽しく読み進めることができる構成にしています。日経TESTを当面、受験する予定のない方にとっても、最新の世界経済・日本経済のポイントをまとめてつかめる一冊として、活用できます。

 なお、日経TESTには個人でも法人単位でも受験できるテストセンター試験と、年2回の全国一斉試験、法人単位で随時受験できる企業・団体試験があります。社内教育・研修に導入いただく企業も引き続き増えており、大きく変わる経済・ビジネス環境に対応したリスキリング(学び直し)のメニューの1つとしても役立つはずです。

 2026年3月

日本経済新聞社 人財・教育事業ユニット アセスメント事業グループ

【目次】

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