その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は堀口セイトさんの『 現役エンジニア&インフルエンサー セイト先生が教えるプログラミング入門 』です。

【はじめに】

令和の今こそプログラミングを学習しよう

 本書を手にとっていただき、ありがとうございます。このタイミングで本書を執筆できたことを私自身大変うれしく思います。実は、現代はプログラミングを学習するのに最も最適な時代だと私は思っています。理由は2つで、最良の学習環境と仕事に繋がりやすい市場が揃ったからです。

 私がプログラミングを学習し始めたのは2000年頃、またエンジニアとしての仕事を開始したのは2012年頃ですが、思い返すといずれも初学者にとってはハードな環境でした。学習に使える手段が少なく、またプログラミングを活用した仕事の価値は決して高いとはいえない状況だったため、プログラミングを学ぶモチベーションは少ない状況下でした。

 ところが現在においては真逆の状況に転じています!

 まず、学習に使えるリソースが豊富にあります。書籍以外にも動画やE-learningサービスのようなタイプが増え、有料・無料問わず良質な教材が豊富にあります。プログラミング言語やその関連ツールにおいては、より簡単に扱えるものが増え、今や小学生でも扱える言語があるくらいです。またChatGPTのようなAI技術が発達したことも、プログラミング学習環境を飛躍的に向上させました。

 さらに、2019年の働き方改革以降、エンジニアの仕事の多くは職場環境が改善され、むしろ他職種よりも平均給与が高く、リモートワークやフレックスタイム制など働きやすい制度が多い職種となりました。非エンジニアであってもITスキルが求められるようになっています。世界経済フォーラムの調査によれば、2023年以降のビジネスパーソンにとって急激にニーズが上がっているスキルとして、ITリテラシーは3位、プログラミングは20位にランクインしています(世界経済フォーラム、2023)。国内においても、2018年に経済産業省が「DXを推進するためのガイドライン」を策定したことを機に様々な業界でDX化が推進されるようになり、IT人材の需要が高まりました。

 とくに本書では下記のような読者対象とゴールを設定しています。あてはまると感じた方はぜひ本書で学習してみていただきたく思います。

【対象としている読者】
・IT人材としてキャリアアップしたい社会人
・将来IT業界で働きたい学生
・ITエンジニアに転職したい人
・Webアプリケーションを作ってみたい人
 ※いずれもプログラミング初心者を想定しています。

【ゴール】
・プログラミングはもちろん、関連するソフトウェア開発全般の知識を身につける
・基本的なWebアプリケーションを実際に開発する

【主に扱う内容】
・コンピュータサイエンス(コンピュータやソフトウェアの仕組み、アルゴリズムなど)
・プログラミング(JavaScript)
・マークアップ(HTML、CSS)
・Firebaseを用いたバックエンド開発
・WebアプリケーションやWebサイトを開発し公開する方法

 本書では主なプログラミング言語にJavaScriptを選び、それを中心にアプリケーション開発に必要な周辺技術やノウハウを解説しています。JavaScriptはここ10年以上世界で最も使われている言語です(GitHub、2023)。また開発できる範囲が広く、学習を開始するための敷居が低い特徴があることから、本書の対象読者にとって最適な言語と考えています。またGoogleが運営するFirebaseというクラウドコンピューティングサービスを用いることで、包括的にWebアプリケーション開発を学ぶことができるよう構成しています。

プログラミングは誰にでも獲得可能なスキル

 というわけで、この本を手に取っていただいた読者の皆さんにはぜひとも本書を皮切りにプログラミングスキルを習得いただきたいと思っています。プログラミングには難しいイメージがあるかと思いますが、一部の才能ある人だけが習得できるスキルではありません。ネット上ではよく「プログラミングにはセンスが必要」「◯◯な人には向いていない」などという意見を見かけることがありますが、こうした話はいずれも論理的な根拠がありません。プログラミングも語学や資格勉強などと同じで、勉強の積み重ねで誰もが習得できる可能性があります。

 ただし、プログラミング学習には2つ気をつけなければいけない点があります。

 1つは「プログラミングの最適な学習方法を知る」ということです。実はプログラミング学習者のうち、正しく学習できる人はほとんどいません。なにか新しいことを勉強をしようしたとき、おそらく皆さんは学校や塾での学習体験をベースに、成功パターンや失敗パターンを思い出しながら取り組むのではないかと思います。しかしながら、プログラミング分野においてはお作法が大きく異なります。そのため、こうした過去の学習経験と同じように取り組んでも効果が出づらい場面が多々あります。

 もう1つは、「必要な分野のみを順序立てて学習する」ということです。プログラミング学習を始めてみると、実に多くの情報があることに気づきます。言語の種類がいくつもあったり、その他にも必要なソフトウェアやコンピューターの知識など、実に多くの知識が求められているかのように見えます。それゆえに、何をどれだけ学んだらいいのか迷子になってしまう方は少なくありません。そんなわけで、プログラミング学習においてはいかに順序立てて必要なものを学ぶか、またいかに学ばないことを決めて捨てるかが重要です。

 そうした問題意識から、本書では初学者の方が最適な学習方法で、必要な分野だけを学び、最短ルートでプログラミングおよびそれに紐づく関連スキルを習得し、読了後に自身のキャリアに活かせるようになることをコンセプトに執筆いたしました。

 初歩的なIT知識の座学に始まり、最後の章ではWebで動作するおみくじや日報管理のアプリケーションを開発してネット上に公開するまでを含む、実践的な内容となっています。プログラミングの知識はもちろん、効果的な学習方法とともに楽しく学べることを目指していますので、共感いただける方にはぜひ本書を最大限活用していただきたく思います。


【目次】

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