その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は日経クロステック、日経アーキテクチュア、日経コンストラクション共同編集の『 検証 能登半島地震 首都直下・南海トラフ 巨大地震が今起こったら 』です。
【はじめに】
2024年1月1日に発生した最大震度7の「能登半島地震」は、石川・富山・新潟の3県を中心に甚大な被害を引き起こしました。亡くなられた方は2月末時点で241人。判明した住宅の被害棟数は石川県内だけで7万5000棟超に及びます。多くの犠牲者に心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々がいち早く日常生活を取り戻すことができますように日夜祈り願っています。
本書は、日経BPの技術系デジタルメディア「日経クロステック」、建築専門誌「日経アーキテクチュア」、土木専門誌「日経コンストラクション」の専門記者約30人が、能登半島地震を徹底取材し、報じてきた記事を1冊にまとめ、緊急出版するものです。地震発生直後に現地で撮影した被害写真を多数掲載。専門家や施設関係者への取材から見えてきた建築・土木の被災メカニズム、生産設備・通信インフラ回復を阻んだ障壁など、建築・土木、IT(情報技術)、自動車・電機といった様々な視点から解説しています。
地震、火災、津波、土砂災害の複合災害となった能登半島地震は、建築・都市がいつ襲われるかもしれない無数のリスクに取り囲まれている現実を改めて浮き彫りにしました。高齢化、人口減少が進む地域での震災は、時間が経過するにつれ、復旧・復興へ向けたさらなる難題を突き付けています。
能登半島地震を巡っては、各分野の研究者たちが被災地を調査し、被害の発生原因などの分析を進めています。ただ、それらの正式な調査報告がまとまるのには時間がかかります。本書では、今後の復旧・復興や防災対策の一助になるよう、被害の実像、背景や課題をいち早く伝えることを目指しました。
地震国日本では、首都直下地震や南海トラフ巨大地震など巨大地震の発生も懸念されています。過去の震災から教訓を導き出し、対策につなげていく不断の努力が欠かせません。建築は衣食住の1つであり、人が生きていくための器です。インフラはその生活を支える基盤です。地震被害を減らしていくには、これらが壊れないようにすることが最も重要です。
本書の後半では、東日本大震災10年の検証記事など、近年報じた記事を加えました。ここで紹介した取り組みには、災害に強い建築・都市づくりへ向けたヒントが数多く詰め込まれているからです。
明日起こるかもしれない大地震にどう備えるか。本書をきっかけに、1人でも多くの方が意識を高めていただけることを願っています。
日経BP 日経クロステック建設編集長 佐々木 大輔
【目次】

