その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は井出真吾さんの『 井出真吾の投資相談室 63のQ&Aでわかる安心運用 』です。
【はじめに】◎データが武器! 「安心運用」でインフレ時代を賢く生きる
2024年1月にスタートした新NISA制度によって、口座数・投資額ともに旧NISA時代から大きく増えました。
年間360万円の非課税投資枠をフル活用している人がいる一方、「なんとなく毎月数万円で投資を始めたけれど、正直よくわかっていない」という人も多いのではないでしょうか。「NISA口座は開設したものの、まだ投資はしていない」という人も少なくないようです。
旧NISA時代から投資をしている人も、
「本当に今の方法でいいのだろうか?」
「株価は本当に上がるのか?」
「今の投資額で老後資金は十分につくれるのか?」
「シニアによい投資法は?」
などの不安や疑問はたくさんあると思います。
このような投資経験が浅い人や、以前から投資をしているけれど一度きちんと勉強したい、もっと深く正しく投資を知りたいという人の強い味方となるのが本書です。
●「データ」は投資の強い武器
私は株式ストラテジストとして20年以上、機関投資家や個人投資家向けに情報提供を続けてきました。なかでもデータ分析を駆使した戦略立案を得意としています。
データは客観的で誰にでも共通です。
データは投資に関する都市伝説やモヤモヤを一発で解消してくれる、あなたの武器となります。
● 都市伝説1「投資は怖い」→リスクとのつき合い方を知れば怖くない
たとえば、「投資は怖い」という言葉をよく耳にします。「投資をしているとメンタルが削られる」と表現する人もいます。
資産が増えたり減ったりで落ち着かないのだと思いますが、そもそも投資は手っ取り早く儲けるもの(=投機)ではない、と私は考えています。投資とは本来「長期投資」を指します。投機で儲けるのは非常に難しいことですが、投資(長期投資)ならインフレに負けず実質的に資産を育てることは難しくありません。
カギはリスクとの上手なつき合い方です。投資につきもののリスクについて正しく理解し、リスクとリターンの本当の関係を知れば、なぜ私が長期投資をおすすめするのかおわかりいただけると思いますし、投資は決して怖くないのだと感じてもらえるはずです。
これは本書でもっとも伝えたいことの1つなので、第1章「実は知らない! 投資の真実」の冒頭で説明しています。
● 都市伝説2「急落したら?」→過去40年のデータが実証
投資を続けていると株価や為替の急落に見舞われることがあります。
近年でも2024年8月5日に日経平均株価が1日で4400円以上も下落して「令和のブラックマンデー」と呼ばれました。今後も株価が急落することはあるでしょう。
そんなとき、「投資を続けることが大事と頭ではわかっていても、売らずに我慢できるかどうか自信がない」と訴える人もいます。
実は、下落時にも忍耐や我慢はまったく必要ありません。
第3章「データで読み解く安心運用~実践編」で過去40年近くの検証結果を紹介しています。このデータをご覧いただければ、短期で売ったり買ったりした場合と長期で保有し続けた場合の違いをご理解いただくことができ、急落があっても冷静に構えていられるはずです。
● 都市伝説3「つみたて投資こそ最強」→一括投資のほうが安全
よく「一括投資は危ない」とか「つみたて投資のほうが安心」などといわれます。一括投資は直後に株価が下落して大損するかもしれないから危ない、ということでしょう。
それはそれで正しいのですが、まとまった資金を一括投資せずに預貯金で置いておいた場合に、株価が上昇して儲けるチャンスを逃すリスクや、インフレで実質目減りするリスクを見落としています。
さらにいえば、投資開始から一定期間後の元本割れ確率は、つみたて投資よりも一括投資のほうが低くなります。明らかに一括投資のほうが安全なのです。
「つみたて投資が最強」は都市伝説に過ぎません。なぜそうなのか、本書ではデータで詳しく解説します。
●「つまずかずに、じっくり資産を増やす」知恵
ほかにも、
・年金以外に老後資金はどのくらい必要か
・そのために毎月何万円つみたて投資すればよいか
・いつ投資を始めるのがベストか
・資産は「使い切る」のが賢いのか
・子や孫の将来を見据えた究極の投資とは
など、豊富なデータ分析の裏づけとともに、皆さんご自身のマネープランづくりに役立てていただける内容が盛りだくさんです。
「つまずかずに、じっくり資産を増やす」知恵も学べる本と自負しています。
●インフレ時代を賢く生きるために
本書はひとりでも多くの人が資産形成に取り組み、インフレ時代を賢く乗り越え、豊かな老後生活を過ごせることを願って執筆しました。そのためあえて第2章に「データで読み解く安心運用~基本編」という入門的な内容の章を設けたり、少額でも分散投資できる投資信託を前提に論を展開したりしています。
より多くの方に読んでもらえるよう、これまでの拙著よりも目線を少し下げたつもりです。Q&Aの形式でコンパクトにまとめており、ショート動画を楽しむ感覚でまずは気になる項目を読んでいただくこともできます。
一度読んでスッと理解できなくてもまったく問題ありません。本書の内容は賞味期限が長いので、長い投資人生で迷ったり困ったりしたときに読み返せるよう、書棚の隅に置いていただけたら幸いです。
皆さまの実りある資産形成を祈念して。
2025年3月
ニッセイ基礎研究所 主席研究員 チーフ株式ストラテジスト
井出真吾
【目次】




