その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は藤吉 豊さん、小川 真理子さんの 『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』 です。



【はじめに】

 本書は、話し方(会話術)の名著「100冊」のエッセンスを1冊にまとめたものです。
 「セミナー講師、ジャーナリスト、アナウンサー、コメンテーター、プレゼンの名手や名経営者といった一流の話し手が身につけている『話し方のノウハウ』を1冊にまとめてみよう」
 「あらゆるジャンルの話し方のプロが、『大切だ』と考えているコツを、重要なものから順に、身につけてもらおう」
 というコンセプトに従っています。

 「書き言葉」や「文章でのコミュニケーション」を扱った前著 『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』 に対して、「話し言葉」や「口頭・対面でのコミュニケーション」におけるプロが持つ共通のノウハウを洗い出し、ランキング化したのが本書です。

 本書の制作にあたって、筆者の藤吉豊(ふじよしゆたか)と小川真理子(おがわまりこ)は、話し方の名著100冊を精読しました。その結果わかったことは、独特な話術が印象的な名経営者も、多くの人に信頼され好感を持たれるビジネスパーソンも、わかりやすい解説で知られるジャーナリストも、人気を集めるYouTuberも、「話がうまい人が身につけている基本テクニックに大きな違いがない」ことです。
 本書では、その共通のノウハウを、みなさんが身につけやすい形で紹介していきます。

◆ランキングの決め方

 本書では、多くの会話のプロが「大切だ」と考えている共通のノウハウを集めるために、次のような手順を踏みました。

(1)「話し方」「伝え方」をテーマにした本を「100冊」購入
 日常会話、ビジネス会話、雑談、プレゼンテーション、コミュニケーションのベストセラー、ロングセラーなど。選定の基準は216ページに詳述。

(2)どの本に、どのようなノウハウが書かれているかを洗い出す
 本を読み込み、「これは大切」と紹介されているノウハウを見つける。

(3)共通のノウハウをリスト化する
 洗い出したノウハウを「似た内容」ごとにまとめる。そのノウハウが掲載されていた本の「冊数」を数える。たとえば、
●「会話中の視線の位置」について書いてあったのは、○冊
●「間(ま)の取り方」について書いてあったのは、○冊
●「雑談にふさわしいテーマ」について書いてあったのは、○冊
●「質問のしかた」について書いてあったのは、○冊……など。

(4)ノウハウをランキング化する
 ノウハウを「掲載されていた本の冊数」によって順位付けする。冊数が多いほど、重要度は高くなる。
 このような手順で作成したのが、次のページのランキングです。

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◆ランキングの活かし方と、本書の構成

 100冊から抽出した40項目を、本書では3つに分けました。

●1~7位(➡Part1へ)
 多くの著者が「大切」だと説く7つのノウハウ。相手との関係性を問わず、すべての人に必要な基本ルールが集まりました。
 7つのノウハウを意識するだけで、どんな場面でも、
 「自分の言いたいことをわかりやすく、正確に伝えられる」
 「相手の言いたいことを正確に理解できる」
 「話し相手といい関係を築ける」
 ようになります。

●8~20位(➡Part2へ)
 「1位から7位まで」を理解した上で、さらにスキルアップを図ったり、会話を洗練させていくために必要なノウハウ。

●21~40位(➡Part3へ)
 会話のプロでもつまずいたり、意見が分かれたりするノウハウ。「20位まで」をおさえた上で取り入れてみてください。

 筆者である藤吉と小川の主観は入れず、粛々と、淡々と、客観的に100冊に書かれてある共通のノウハウを抽出し、項目・要点ごとに整理して、「大事な順」に並べました。
 項目ごとに完結しているため、どこから読んでいただいてもかまいません。それぞれのポイントを体系的に理解できます。

◆キーワード「共通のノウハウ」とは?

 本書では前述の通り、「複数の本で紹介されている共通のノウハウやルール、コツ」に注目し、まとめ直すという作業を行いました。
 たとえば、「話をするときは、相手の目を見て話す」と複数の本に書かれていたら、それは、多くのプロが認めた「共通のノウハウ」です。

◉共通のノウハウ……会話のプロ、一流の話し手の多くが身につけているノウハウのこと。

 「複数の本に同じノウハウが書かれてある」のは、「それだけ大事だから」です。
 100冊の中に、「1回」しか紹介されていないノウハウは、著者独自のノウハウ、あるいは、「その本の著者は大事だと思っているけれど、ほかの著者は重要視していないノウハウ」である可能性があります。

 一方で、100冊中70冊に書かれてあるノウハウは、重要度が非常に高いことが明らかです。
 「1回しか紹介されていないノウハウよりも、多くの本に紹介されているノウハウを先に身につけたほうが、会話は上達しやすいはずである」
「センスや才能の有無にかかわらず、この共通のノウハウを意識すれば、誰もが話す力を磨くことができる」

 と、私たちは考えています。

◆本書のメリット

 本書のメリットは、おもに、次の9つです。

本書の9つのメリット(得られるスキル、効果)

 ①緊張せずに、自信を持って話せる。
 ②自分の言いたいことを正確に伝えられる。
 ③相手の言いたいことを正確に理解できる。
 ④相手を問わず、会話が弾む。
 ⑤聞き手を不快にさせない話し方ができる。
 ⑥「何を話したらいいかわからない」という悩みが解消される。
 ⑦聞き手の感情を動かすスピーチ、プレゼンができる。
 ⑧人に好かれる会話術が身につく。
 ⑨ポータブルスキルが身につく。

 ⑨の「ポータブルスキル」とは、直訳すると「持ち運び可能なスキル」のことです。業種・職種の垣根を越えて、どの職場でも活用できるスキルです。
 話す力は、すべてのビジネスパーソンに求められる「ポータブルスキル」です。時代や環境の変化に左右されにくく、いつ、どこで、どのような仕事をしていても役に立ちます。
 話す力を伸ばすことは、自分のキャリアを伸ばすことにもつながります。

◆本書の対象者

 本書は、職業・年齢・目的を限定せず、多くの人の会話力向上に役立つように構成しています。
 本書で紹介するノウハウは、再現性が高く、誰にでも使いやすい(真似しやすい)と思います。

●報告・連絡・相談・商談・プレゼンテーション・テレアポなど、業務上「話すこと」が必要なビジネスパーソン
●セミナー講師・学校教員・講演家・アナウンサー・司会者・解説者など、人前で話す職業の方
●友人・家族・親戚・同僚・上司や部下・取引先・ママ友・近所の人などとのコミュニケーションをより円滑にしたい方
●YouTubeなどの動画配信、Clubhouseなどの音声配信をしている(したい)方
●論文・レポートなどを口頭で発表する学生
●入学試験・就職試験の面接力を高めたい学生・就活生

 「話し方の本がたくさんあって、どれを読んでいいかわからない」
 「話し方の本を買ってみたけれど、著者の個性が強すぎて、自分には真似できない」
 「人前で話すのが苦手なので、会話術の基礎を学びたい」
 「人前で話すのは得意なほうだけれど、もう一度、基礎を振り返りたい」
 「自分の話し方は正しいのか、確認したい」

 本書が、こうした悩み、願い、思いを持つ方の助力となれば、これほど嬉しいことはありません。

株式会社文道 藤吉豊/小川真理子

【目次】

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