その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は榊原陽子さんの『 覆面調査員は見た!医療現場のマナー事件簿 』です。
【はじめに】
現在の医療機関を取り巻く経営環境は、少子高齢化の進行により、ますます厳しさを増しています。診療報酬の抑制や医療従事者の不足、それに伴う採用コストの上昇など、様々な課題に直面しています。さらに近年では、患者が医療機関を選ぶ際、インターネットのクチコミサイトなどを参考にするケースが増えており、医療行為の質だけでなく、「感じの良さ」や「信頼感」も重要な評価基準となっています。
こうした時代において、選ばれる医療機関になるためには、患者との信頼関係を築くことはもちろん、スタッフ同士の良好な関係づくりも欠かせません。その土台となるのが、「ホスピタリティー」、すなわち思いやりやおもてなしの心です。
私がこれまで研修やコンサルティングの現場でお会いしてきた医療従事者の方々の多くは、非常に真面目で、「患者のために」と日々一生懸命働いていらっしゃいます。「患者への挨拶は不要」「丁寧に接しなくてもよい」といったホスピタリティーを欠いた考えを持つ方はほとんどいません。
しかしながら、忙しい日常業務の中で、時間に追われるあまり、無意識のうちに患者に素っ気ない印象を与えてしまうことがあります。本来の思いやりの気持ちが伝わらず、誤解されてしまうのは非常にもったいないことです。
本書では、皆さんのホスピタリティーの気持ちをきちんと患者に届けるための接遇のポイントを、分かりやすく紹介します。「今この瞬間」に意識を向けるマインドフルな接遇術も取り上げています。ご自身の心のゆとり(ウェルビーイング)も大切にしつつ、日々の業務に役立てていただければ幸いです。
榊原陽子
本書で取り上げる「事件」は、実際の事例をベースに、個人のプライバシーに配慮して一部内容を変更しています。【目次】


