その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は杉田浩章さんの『 スタートアップの技法 新規ビジネスをスケールさせる「7つの視点」 』です。

【はじめに】

 新規事業がうまくいかない。起業したはよいが、うまくビジネスが拡大しない──こうした失敗の原因には「新規事業や起業は特別なアイディアやイノベーションが重要で、やってみないとわからない」という思い込みがあるのではないだろうか。

 確かにそうした「アート」的な側面があることは否定しない。だが、失敗の本質は新規事業の立ち上げや成長を加速させスケーラブルなビジネスにするための、きちんとすべき分析の視点や、それを再現性のある形に落とし込む「サイエンス」「技法」が欠けていることにあるのではないか、と私は考えている。

 そもそもそれほど拡大が期待できる潜在市場ではなかった。儲けの生み出し方のロジックが甘い。参入障壁をどう築き続けるかを考えきれていなかった──本書は、ボストン コンサルティング グループ(BCG)で数多くの事業立ち上げの支援を行い、個人としてもスタートアップに数々のアドバイスを実践し、そして早稲田大学ビジネススクールで新規事業開発について教えている著者が、よくある失敗とさまざまな成功事例を分析。そのエッセンスを再現性のあるフレームワークとしてまとめ上げ提唱するものである。

 本書は、第1章でまず典型的な「15の落とし穴」を取り上げる。その上で、第2章でNOT A HOTEL、ウェルスナビ、chocoZAP、スタディサプリ、ファームノートという5つの成功事例を分析し、その要点についてくわしく紹介する。

 これらを踏まえて第3章では「勝てるポジショニング」「儲けのメカニズム」「持続的成長のシナリオ」という3つのカテゴリーにおける、成功の要諦として導き出された7つの視点についてくわしく解説する。いずれも、直接経営者のみなさんと議論した中で生まれてきたものであり、成功も失敗も、他者が学べる形に落とし込んでいるのが特徴だ。むやみに新規事業(とその残骸)を積み重ねるのではなく、効果的にスタートさせるのみならず、きちんとスケールさせていく方法を明らかにしていく。

 さらに、第4章では今自社がどこにいるのかのステージの見立て方と各ステージにおいて押さえるべきポイント、第5章では事業を軌道に乗せるパートナーシップのあり方、第6章では経営チームに必要な能力について解説する。

 本書は、起業、スタートアップの立ち上げや、さらなるスケールアップを志す読者はもちろんのこと、大企業において新規事業を始めたいと考える皆さんのお役にも立つはずだ。さらに、次の柱となる事業を真剣に考える経営層や、スタートアップを支援したいと考える方々にとっても新たな気づきが得られると信じている。

 本書が新しいビジネスを創出し、日本経済を活気づけるための一助となれば幸いだ。


【目次】

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