その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は清水久三子さんの 『ビジュアル 資料作成ハンドブック(新装版)』(日経文庫) 。「まえがき」をお届けします。

【まえがき】

 ビジネスにおける資料には、アイディアが詰まった企画や提案、実際に起きた事実の報告や伝達など、さまざまな種類が存在します。斬新なアイディアを伝えるにしろ、調査をして報告をするにしろ、知的生産をおこなう上で目に見えるアウトプットとして資料が重要であることは皆さんご承知の通りです。資料作成スキルの重要性が増してきている理由としては2つあります。
 1つは、現代のビジネスパーソンは「情報の洪水」の中で仕事をしていることです。平成26年版『情報通信白書』によると、企業のデータ流通量は2005年から2013年の8年間で 約8.7倍に増加しています。自分が仕事で扱う膨大なデータをいかに分かりやすく加工できるか、また、それを忙しい相手にも響く強いメッセージとして届けられるかは、以前にも増して難しくなってきているのです。
 2つ目の理由は、相手が情報の洪水の中にいながら、多くの「やらなければいけないこと」を抱えていることです。忙しい方々に、他のやらなければいけないことよりも自分が進めるアクションへの優先順位を上げてもらうことが、以前にも増して難しくなってきています。優先順位を上げてもらうには、パッと見て感覚的に理解でき、納得して動いてもらえる訴求力が求められます。グラフや図の作り方、カラーリングまで、さまざまな要素でテクニックが必要になるのです。
 一目で理解できる分かりやすい資料を作成できるスキルがないと、せっかくの良い内容が伝わりきれずに相手が動かず、結果、仕事が進まず、自分の価値の低下にもつながりかねません。
 このように資料作成スキルはますます重要になり、求められるレベルも高くなっているにもかかわらず、体系的に学ぶ機会はまだまだ少ないのではないでしょうか?
 本書は、ビジネス文書タイプ別の構成のサンプルから始まり、資料の目的と構成の仕方、そして文字・文章、表、グラフ、図解など表現タイプ別の作り方や視覚効果について、見開き2ページでコンパクトにノウハウをまとめたハンドブックです。ぜひ、デスクの上やカバンの中にしのばせておいて、活用してください。
 資料作成に慣れていないという方は、頭から順に、第Ⅰ章で資料に書くべき要件を理解し、第Ⅱ章で目的・構成の設定を把握することをお勧めします。その上で第Ⅲ章以降の各表現を見ていくとよいでしょう。
 資料作成に慣れている方は、表、グラフ、図解などの各章を資料作成で表現に悩んだ時などにパラパラっと見て、使える表現を探してみてください。資料作成に正解はありませんが、本書で色々なパターンを見て実際に活用してみることで、より分かりやすい資料にすることができます。
 本書が、皆さんの素晴らしいアイディアを形にする一助となれば幸いです。

 2016年1月

清水 久三子

【目次】

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