その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は長谷部智也さんの『 いたいコンサル すごいコンサル 究極の参謀を見抜く「10の質問」 』です。「文庫版まえがき」をお届けします。
【文庫版まえがき】
本書の親本である単行本『いたいコンサル すごいコンサル』(2016年、日本経済新聞出版社刊)の序章では、1980年代に米国から日本に上陸した戦略コンサルティングが、上陸後、約40年の時を経て、四つのステージとともに変化を遂げてきたことを述べた。
第一世代は、コンサルタントが「輸入者」として、米国流の分析技術、論理的思考法を、経営戦略を策定する手法として持ち込んだ時代。第二世代は、日本の大企業の社長に、「刺さる」サービスへと進化させ、日本市場でのローカライゼーションを進め、拡大させていった。アントレプレナー的な気概を持つ、コンサルタントが多かった時代でもある。
第三世代は、エスタブリッシュメント化が進展した時代。この時代には、優秀な学歴エリートがコンサル業界に集まり、彼らが得意とする、論理的な答えを、早く正確に出す力が、存分に発揮されるようになる。規模の拡大も進み、プロジェクトのテーマも戦略構築から、実行支援、オペレーションの最適化やコスト削減など、実務領域まで拡がり始めた時代でもある。
第四世代では、さらに市場が拡大するのと同時に、コンサルタントの「競技人口」が激増し、提供サービスの大衆化が進展する。コンサルタントの質のバラつきが大きくなり、有象無象(うぞうむぞう)のコンサルタントが存在する時代になる。
第四世代で気をつけなければならないのは、コンサルタントの個体差、提言の質のレベル差が拡大しているため、極論すれば誰に頼むかで、答えが変わってしまうことである。なので、しっかりとした腕をもつコンサルタントを、起用する側が、見極める眼を持つ必要性が高くなっている。そのための方法論を提供する、というのが、筆者の基本メッセージであった。
あれから8年が経ち、今回の文庫版刊行にあたり、序章に加筆し新たに最終章を設けた。序章では2024年現在のコンサルティング業界の状況を追加した。第四世代の大衆化はさらに進み、第五世代と呼ぶべき変化と言えるか否かは依然、見極めが必要だが、第四世代とは異なるサービスが台頭してきている。
最終章では、コンサルティング業界で伝統的に言われている、CEOのプライマリー・カウンセラーたる戦略コンサルタントの、あるべき自己規律について、筆者なりに具体例を示しつつ、10のポイントとしてまとめてみた。生成AIによって、ヒトの仕事が置き換えられることが謳われ始めている時代だからこそ、より人間らしい仕事が残り、その重要性が増すであろうとの思いからである。
テクノロジーが進化しても、CEOが悩み、他に意見を求める、という行為がなくなることはない。それに真っ先に応えることをミッションとする、戦略コンサルの仕事は、今後もなくならないと筆者は確信している。
文庫版刊行にあたっては、日経BPの堀口祐介氏、2016年以降の筆者の思考を深めてくれたアクセンチュア株式会社の上司、同僚、チームメンバーの各位、そして、休日の執筆活動を支援してくれた家族に感謝したい。
2024年5月
長谷部 智也
【目次】





