その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は鈴木亮さんの『 日本株 黄金の時代が始まる 』です。
【はじめに】
日本の株式市場に革命と言っても良いくらいの、大きな変革が起きている。2024年2月22日、日経平均株価は1989年12月の大納会で付けた過去最高値、3万8915円を34年ぶりに上回った。その後も上昇の勢いは止まらず、3月4日には初めて4万円の大台に乗せた。
筆者が日本経済新聞社に在籍している間に見ることはないだろうと思っていた過去最高値の更新。その背景には、これまでの常識では考えられないような大きな変革が起きていた。期初は微減益予想だが、最終的な着地では、4期連続で最高益をうかがう企業業績、33年ぶりの大幅な賃上げ、17年ぶりとなる日銀の利上げ、東京証券取引所の企業への改革要請、新しい少額投資非課税制度(新NISA)の導入、相次ぐ大型のM&Aなど、これほどの大きな変革がいっぺんに起きた。ドル円相場も24年4月に1ドル160円台と34年ぶりの円安になった。円安は日本株相場にとってマイナス面もあるが、企業業績にとっては追い風になる。日本の長期金利が11年ぶりに1%台となったのは、日本経済回復の足取りを示している。歴史的な変化の波が一気に押し寄せた結果が日経平均の過去最高値更新、初の4万円乗せだ。
今までなら考えられなかったような、大きな前向きな変化が次々に起きているのだから、歴史的な上げ相場は驚くべきことでもないし、ここで天井を迎えるわけでもない。1999年、日本がデフレ経済の入口で苦悩していたころ、大ヒットした曲があった。モーニング娘。が歌った「LOVEマシーン」という曲だ。そのサビの部分、「日本の未来は(Wow×4)、世界がうらやむ(Yeah×4)」、当時はそんな状況はあり得ないと思っていた。今まさに世界が日本に注目し、日本に投資する時代がやってきた。外国人投資家は24年の1月から、日本株への投資を再開し、5月までに5兆円近く買い越した。株式への間接投資だけではない。世界の有力半導体企業が日本に次々と工場を建設、直接投資の盛り上がりも、目を見張るばかりだ。
筆者が日本経済新聞に入社した1985年4月、当時はまだ日経ダウ平均と呼ばれていた株価指数は、1万2000円台だった。プラザ合意、ブラックマンデーなどの逆風に耐え、その後のバブル経済を謳歌した日本株だったが、1990年以降はデフレの波にのみ込まれた。リーマン・ショックを経て、2009年には7000円割れ寸前まで追い込まれた。そこからの反転、進撃の4万円超えだ。感慨深い。
デフレの時代に染みついた慎重な発想、後ろ向きの考え方では到底、理解できない大きな転換が今、日本の会社に、日本の個人投資家に、日本の株式市場に起きている。そしてその変革を素直に評価し、真っ先に動いたのは、今回もまた海外の投資家だった。
日本株市場に今起きている「革命」は始まったばかりだ。簡単には終わらない。ここから30年くらいかけて、日本株は現在の位置からは想像もつかないような高い次元へと、緩やかに登っていくと期待している。バブル崩壊から34年、長い暗い時代は終わった。ここからは日本株の黄金の時代が始まると信じたい。筆者は記者生活の大半をマーケット取材に費やしてきた。これまで見たもの、聞いたもの、感じたことを踏まえて、ここから先の明るい日本株市場を展望したい。
2024年5月 日本経済新聞 編集委員 鈴木亮
【目次】




