その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は佐藤章憲さんの 『決算書で読む新しい成長戦略[入門] ビジネスと投資の基礎知識としての会計&ファイナンス』 です。
【はじめに】
この本は、ビジネスや株式投資の基礎知識となる会計とファイナンスの基本を1冊にまとめた入門書です。
最近話題の企業やビジネスモデルを取り上げて、会計とファイナンスの視点から「新しい成長戦略」のポイントを解説していきます。
対話形式でわかりやすく解説し、読み進むうちに重要なポイントが頭に入る本を目指しました。
登場人物は、「元敏腕CFOで現在はカフェ経営者」のアキと、「いずれ中小企業の後継ぎ社長になる営業マン」の健太です。
会計やファイナンスの話題が気になるけれど、その意味がよくわかっていない健太の質問に対して、アキがやさしく教えていきます。
企業の成長戦略は、世の中の動きと共に大きく変化しています。
例えば、サブスク化(サブスクリプション・モデルの導入)はその典型です。サブスクの成功例としてアマゾンプライムやネットフリックスなどがよく知られていますが、収益モデルを「売り切り」から「サブスク」にシフトさせる動きは幅広い業種に広がっています。そしてサブスクにシフトする際には、キャッシュフローや管理上の観点からの十分な検討が欠かせません。
事業ポートフォリオマネジメントの重要性も高まっています。かつては事業の「選択と集中」が注目されましたが、最近は事業ポートフォリオの組み立てにいろいろな考え方が採用されるようになっています。
また、ESGやSDGsへの取り組みが求められるようになっており、それに伴って企業の情報開示の在り方も変わってきています。
こうした変化が加速している理由は、「企業価値の向上」が重要な課題になってきたことです。
一昔前と違って、企業価値の向上とは、単純に売上や利益を増やすことだけでは実現できません。いかに資本を効率よく使ってリターンを上げるかを考慮するとともに、非常事態などに見舞われても持続的な成長を実現できるか、顧客や従業員、投資家はもちろん、地元や世界などの社会から支持される会社になれるか……などなど、いくつものハードルを越える必要があります。
新しい成長戦略や企業価値の向上方法について理解する上で、会計やファイナンスは必修科目です。多くのビジネスパーソンにとって、会計やファイナンスの知識が欠かせない時代になっているのです。同時に、個人の資産形成に向けて株式投資をするための土台として、会計やファイナンスの知識が求められています。
会計やファイナンスには多数の専門書がありますが、それを解読していくには、かなりの時間と労力がかかるでしょう。そこで本書は、短時間でエッセンスを学べるように、ポイントを絞って解説していきます。新しい成長戦略や企業価値について本格的に学びたい方は、各専門書と一緒にお読みいただくことをお薦めします。
それでは早速、アキと健太がいるカフェに入ってみましょう。
【目次】