その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はナムグン・ヨンフン(著)、松原佳澄(訳)の『 みんなが読みたがる文章 』。「プロローグ」をお届けします。
【プロローグ】
文章を書くことはいつでも共にある
人生のタイムラインに沿って説明しましょう。
小学校の夏休みや、冬休みの宿題では読書感想文を書きます。うまく書ければ先生に認めてもらえます。
賞賛で自身の価値を高めた子どもは、承認されたいために学習意欲が高まります。
文章を書く実力だけでなく、「読む」能力も向上します。これは、親であれば誰もが望む自己主導型の学習を始めるきっかけを提供してくれます。
中学生になると記述式試験が増えます。
理路整然とした文章はいい点数をもらえます。
高校生になると、グループ研究の報告書や読書活動で感想文を提出する試験があります。これは、大学の推薦をもらうための作文です。修学能力試験〈日本の大学入学共通テストにあたる〉の非文学問題〈文学関連の問題以外のこと〉では、文章を書く足がかりとなる読書能力、読解力や語彙(ごい)力をテストします。当然、文章を書くのがうまければ、試験でも高得点が取れるでしょう。
大学ではレポートを、大学院では論文を提出しなければなりません。
卒業し就職するときには自己紹介書が合否を左右し、人生の行く末を決定します。
就職後はどうでしょうか? もううんざりするような作文はなくなるでしょうか?
いいえ。ここから本格的な生存のための文章づくりが始まるのです。
出勤前からメッセージでの連絡や指示、業務の報告や指示をするメールの作成、業務報告書、顧客への投資計画書や提案書など、小さなものから大きなものまであります。もちろん、文章をうまく書ける人は昇進も早く、たくさん稼げる可能性が高いです。
はたして、そこで終わりでしょうか?
仕事をしながら副業を見つけたり、事業を始めたり、退職して農家になったりと、第2の人生を準備するときは、政府支援事業計画書を作成します。
人生において、文章を書くことはいつでも共にあり、とても大きな影響を及ぼすのです。まさに、生きるための文章です。学生のときは作文を避けたり、書くのが得意な友人に頼んだりしていても、卒業後は自分の手で責任を負わなくてはなりません。
先輩たちは「私たちのときは、文章が上手ではなくてもどうにかやっていたよ」と言います。その通りです。しかし、それは第三次産業革命の時代でした。先進国についていくファースト・フォロウ(first follow)の時代、断片的な知識だけを要求されていた社会でした。
しかし、人工知能に代表される第四次産業革命時代の今は、先進国と同等に新たなコンテンツ内容を競争する時代です。文章を書くことで、ストーリーテリングが要求される社会なのです。
もうおわかりですよね?
文章を書かなければ、あなたに与えられた機会を手にする確率が低くなります。
機会を逃したらどうなるでしょうか?
最近発表された国際レポートをゆっくり読んでお考えください。
国際成人力調査(PIAAC、16~65歳の成人が対象)の読解力に伴う経済力レポートによると、「読解力の高い人(上位11.8%)が読解力の低い人(下位3.3%)よりも平均時給が60%以上高く、読解力の低い人は失業者になる確率が2倍以上高い」そうです。
読解力は読書の条件であり、文章を書くうえでの必須要素です。
拡大すれば、これからは文章を書けるか書けないかという小さな差が、富の獲得格差へつながっていくという意味でもあります。ですから私たちは書かなければならないのです。それも、読者が没入し、時間が経つのも忘れて読むくらいに、ものすごくおもしろく書かなければなりません。とことん読者に合わせた文章を書くのです。
文章を書かなければならない理由はわかった。
けれどどうやって始めたらいいかわからない?
まずは本書を読んで、一行書くことから始めましょう。
少しでいいのです。パソコンのモニターに「文章を書きはじめます。」と、たった一文書けばいいだけです。
これがあなたの人生を変えるポイントになります。すぐに富を築くことはできませんが、昨日とは違う自分を発見できるはずです。
文章が、作文の人工知能であるチャットGPTと出会ったらどうなるでしょうか?
チャットGPTのせいで、もう書く仕事はなくなった、と言う人がいます。
はたしてそうでしょうか?
文章は考えを込める器、一方チャットGPTは知識といえます。チャットGPTの知識を文章という器に入れたとすると、何が起こるでしょうか?
化学反応が起こります。
まずインスピレーションが浮かんで、連鎖反応を起こし、立て続けに創造的なアイディアや深い洞察をつくり出します。
すなわち、作文とチャットGPTの出合いは、中世の錬金術師が得られなかった、金をつくる化学公式です。人間は洞察と創造という金をつくる化学公式を、人工知能を通じて初めて手にしたのです。
一行の文章を書くことから始め、チャットGPTと、小説、ウェブ小説、童話、人文書を書くことまで挑戦すれば、あなたもインスピレーションから創造力と洞察力を手に入れられるかもしれません。
それでは、始めましょうか。
【目次】






