その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は前田昌孝さんの『 株式投資2026 不確実な時代に最高値の日経平均を緊急点検(日経プレミアシリーズ) 』です。
【はじめに】
日経平均株価が2025年10月27日、初めて5万円台に乗せた。高市早苗新首相が主導する経済政策「サナエノミクス」は絶好のタイミングで始動する。東京株式市場がここ数年で様変わりしているからだ。株価指数が過去最高値に進んだだけでなく、若年層の大量の投資デビューで投資家の平均年齢が若返ったり、上場企業が生き残りをかけてM&A(合併・買収)に動いたりと、従来にない動きがみられるのである。
これが何を意味しているのかは、さまざまな見方がある。日本経済が「失われた三十数年」を経ていよいよ復活に向かうことの表れだという観測もあるし、インフレ、つまり円の通貨としての価値が低下しているから資産保全のために株式が買われているだけとの指摘もある。
高市首相の手腕は未知数だ。サナエノミクスの旗印は積極財政だが、財政規律とのバランスをどうとるかは課題だろう。それでも株式相場が大きく上昇したのは日本初の女性首相に就いた高市氏が日本経済に変化をもたらすのではないかとの期待の表れのように思われた。ますます株式相場の動向からは目を離せなくなっている。
本書のシリーズは『株式投資2022』から始まって5冊目に当たる。株式相場の先行きを予想するような本ではなく、株式市場で何が起きているのかを中心に、投資家の変化、企業の変化、市場制度の変化などをわかりやすく伝えることを目的にしている。毎回、前年版の焼き直しではなく、構成から内容まで一新させていることが特徴だ。
2026年版では第1章で2025年の株式市場での出来事を概観し、第2章では本格的に始まったM&A相場の姿を描いた。第3章では株式市場で存在感が高まっているアクティビスト(物言う株主)の活動と市場への影響について、第4章では株主の若返りに取り組む企業の最新状況を説明した。
第5章は米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が2025年中に第一線を引退することになったため、投資家としてのバフェット氏や、企業経営者としてのバフェット氏の実像を、さまざまなデータを駆使しながら描き出した。
第6章では「金利がある時代」を迎え、個人が資産形成に取り組むうえで、どんなことを考慮に入れる必要があるのかを検討してみた。第7章では第6章までに書ききれなかった日本経済や株式市場の課題をあげるとともに、サナエノミクスで期待できる変化を考えてみた。
筆者は2022年1月末に日本経済新聞社を嘱託定年で退職してから、証券ジャーナリストとして独立し、毎週、ウェブ上で「今週のマーケットエッセンシャル」と題するニューズレターを発行している。私が知ることがすべてではないが、株式市場で何が起き、どう変わろうとしているのかについては、幅広く追いかけているつもりだ。
筆者は経済や相場の先行きは誰にも予想できないという立場だから、本書でも先行きを考えるうえでの検討材料はいろいろ書いたが、それで相場がどうなるのかまでは予想していない。それは読者の皆様が一人ひとりお考えになることだと思っている。
株式相場も日本経済も世界情勢も激しく動いている。何があっても最後は家計がリスクを背負わなければならない。株式投資で利益が上がるかどうかといったことだけではなく、多様なリスクに備え、家計の資産分散をどうすべきかといった観点からも、2026年版の本書の記述が何らかのお役に立つことができれば、幸いである。
【目次】








