その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は横田伊佐男さんの『 マーケティングコーチ横田伊佐男の特濃会議学 』です。
【はじめに】
なぜ、「タイパ」を求めるのか?
「タイパ」というコトバを耳にするようになった※1。
「コスパ(コストパフォーマンス)」になぞらえ、
「タイパ(タイムパフォーマンス)」と呼ぶことで
費やした時間に対する満足度を示すコトバだ。
確かに、これだけ色々なコンテンツや
SNSによる情報発信が多くなると
「早送り」し、短い時で効率よく情報入手する
必要性が出てきた。
では「タイパ」前、人は「時間」で悩んでいなかったのか?
いや、そんなことはない。
いつだって、とにかく時間が足りないのだ。
よく言われることだが、貧富や運の格差がつきやすい世の中で、
たった1つだけ等しく与えられているのが「時間」である。
その「時間」は2つに大別できる。
1つは「自分時間」。
こちらは早回ししやすく、コントローラブル(制御可能)だ。
問題なのが、2つ目の「時間」だ。一体どんな時間なのか?
知らなきゃ損する「時間」の使い方
2つ目の「時間」、それは「他人と一緒の時間」である。
こちらは、早回ししにくくアンコントローラブル(制御不能)だ。
代表的なものは「会議」である。
1人でまくしたてても終わりが早まることはない。
一体、会議に費やされる時間はどれだけ多いことだろう。
もし、あなたが会議を牽(けん)引するリーダーであれば、
率いるメンバーの時間、もっと言えば人生そのものを
変えてしまう方法がある。
それが、「ファシリテーション・スキル※2」である。
リーダーのコトバで、メンバーの力を最大限に引き出し、
最短時間でゴールに着地させる「ファシリテーション・スキル」は、
まさに一生物のスキルだと言える。
ところが、これだけ会議が多く、
会議時間が長いにもかかわらず、
このファシリテーション・スキルを習う機会って
今まであっただろうか?
ほとんど、なかったのではないだろうか。
(会議のように)直面する機会が多く、
(ファシリテーションのように)習う機会がない。
この状態を何と言うだろうか。
悲観するなかれ。答えは「のびしろ」である。
でも、「のびしろ」はあっても学ぶ価値はあるのだろうか?
※2 本書の中では「ファシリテーション」を適宜、「ファシリ」「ファシリする」「ファシる」と表現する。
「のびしろ」の先の「ベネフィット」
「のびしろ」が大きければ、
それだけ、享受できる恩恵(ベネフィット)も大きい。
会議で費やされる時間が
「ダラダラ意味のない時間」から「短く濃い時間」になったら、
どんな恩恵があるだろうか。
それは、筆者より実践者の声の方が、説得力があるだろう。
筆者はプロフェッショナル・マーケティングコーチとして、
年間300回を超える研修講座を行っている。
対象は、大学生、ビジネスパーソン、経営者と多岐にわたり、
講座内容も課題も千差万別だが、制約の中で描いたゴールに
必ず着地させるファシリテーション・スキルを駆使している。
研修の後、参加した受講者たちからは
・会議時間が半分になった
・短時間でゴールに辿(たど)り着いた
・リーダーとしてのコトバが届きやすくなった
などの声が聞こえてくる。
それらの声が異口同音に語っているのは会議に費やす時間が「短く濃くなった」ということだ。
その意味を反映して、本書のタイトルを
「特濃会議学」とした。
「一生の財産」となるこのスキルは、しかしながら、弱点がある。
「一生の財産」を「一朝一夕」で
「一生の財産」となるスキルの弱点。
それは「一朝一夕」には身に付かないことだ。
膨大な数の講義や会議をこなしてきた筆者が、
数多くの受講者に、そのスキルを教え込んでいく中で、
簡単には手に入らない難しさを嫌というほど体感してきた。
でも、読者が欲しいのはこんなことではないだろうか。
■より学ぶ労力を少なく
■より学ぶ時間を短く
■より得られる成果を大きく
これらのため、本書は以下2つの点に注力した。
1 スキルの体系化
「4つのダメ」「9ステップ」で再現性を高めた。
2 AI(人工知能)の活用
会議でAIを活用する最新・最短の方法を公開
我々の「時間」は流れ続ける。
その時間を「特濃」にすべく、
ぜひ、本書でファシリテーション・スキルを学び、
実践に生かしてほしい。
マーケティングコーチ
横田伊佐男
特濃会議の考え方
“4つのダメ”と“9ステップ”
本書は以下の2つの考え方をストーリー形式で紹介しています。
本書の読み方
本書は、商社に勤める主人公・三島のストーリーを中心に展開します。
三島は仕事の実績を買われて、55歳で役員に選出されます。
しかし、その10年前、
三島は課長としてチームをまとめるには、
自らの手腕が足りないことを自覚する、
一人の“迷えるリーダー”でした。
その三島は、同期であり、
ファシリテーションの達人である四谷の会議に出たことをきっかけに、
短く濃い「特濃」会議を学び、体得していきます。
時を同じくして、世の中で広がっていった技術が、
人工知能(AI)を活用した、生成AIという技術です。
世界のネットワークに広がる知見をもとに、
こちらの問いにアイデアをくれる生成AI、
そのデジタル技術を使いこなすのが、三島の部下の若手メンバーです。
三島と彼のチームメンバーは、
ファシリテーションとAI活用という武器を手にしたことで、
変わっていきます。本書を読み進めていただければ、
彼らと共に学べる形式になっています。
各章の冒頭に、特濃会議を学ぶための「問い」、
さらに各章の終わりには「まとめ」を載せています。
ぜひ参考にしてください。
【目次】
