その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は古明地正俊さん、長谷佳明さんの『 AI(人工知能)まるわかり(日経文庫) 』です。

【はじめに】

 人工知能(AI:Artificial Intelligence)という言葉を、テレビのニュースや新聞記事などで頻繁に見かけるようになりました。AIとは、その名の通り人間の有しているような知性・知能を人工的に実現する技術ですが、近年、その使われ方や利用している技術が、急速に変化しています。そのため、AIのとらえ方や理解には、人によって大きな隔たりがあります。

 そこで本書は、過去のAIブームから、最近注目を集めている深層学習 (ディーブラーニング)までのAI研究の流れを俯瞰し、なぜAIが再び注目されているのかを理解できるようにしました。また、アマゾン・エコーや自動走行車など、音声認識や画像認識などの最新技術を活用した事例を取り上げ、AIでどのようなことが実現しているのかを紹介します。

 AIはビジネスの現場にも、大きな影響を与えようとしています。製造業や医療、金融などへのインパクトについても最新の動向を中心に紹介しました。最後に、2030年、2045年を見据えたAI活用、雇用や経済への影響、日本の勝機はどこにあるのか、などについても紹介します。

 AIが、われわれの生活を豊かにする原動力となり得ることは間違いありません。ただ、その使い方を間違えば、人間や社会に対して大きな不利益を与える可能性もあります。将来的には、AIが人間を凌駕する「シンギュラリティ」が到来するという予想もありますが、それまでには数十年という長い時間がかかります。

 我々が今取り組むべきことは、ヒューマンインタフェース技術などAI以外の技術も活用し、「AIと人間」が互いの能力を補完し、共生する仕組みを構築することだと筆者は考えます。重要なことは、人間がAIをきちんと使いこなすための、技術面や制度面の課題を着実に解決していくことなのです。とくに、制度面の議論にはAIによるメリットとデメリットのバランスを必要とする問題も多く、専門家以外の人々も議論に加わるべきでしょう。そのためにも、AIの現状と将来に対して、多くの人たちが正しい理解をすることが大切だと考えています。

 本書は、専門知識を持たない人でも理解できるように、できるだけ平易な表現での記述を心がけました。また、欧米や日本の企業訪問や学会参加を通じて、現地で見聞きしたオリジナルの情報を盛り込むようにしました。本書を通じてAIに関する理解を深め、ビジネスパーソンや未来を担う若い人たちが、これからの仕事や社会のあり方を考える第一歩になればと思っています。

2017年3月
古明地 正俊
長谷 佳明


【目次】

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