その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はアバナード株式会社(編)の『 AIに任せる技術 業務別「共生」戦略 』です。
【はじめに】
2023年初頭から生成AIに関する様々なニュースや記事がメディアを賑わせ、テクノロジーの動向にそれほど詳しくない方であっても「生成AIとは何か」をおおまかに理解できるようになってきました。生成AIがビジネスやオペレーションにどのような影響を及ぼすのか、多くの企業が2023年半ばから検証を進めています。
マシンラーニング(機械学習)技術と生成AIを活用し、特定のユースケース(利用場面)における技術的な概念実証(PoC)は進んでいますが、生成AIが創り出すアウトプットの精度は十分とはいえない状況です。そのため、生成AIをベースとした技術が将来的に本流のビジネスにどう組み込まれるかの検討は未だに先が見えず、企業にとってチャレンジであるといえます。
また、PoCを通じていくつかの課題が分かってきました。第一にAIソリューションの精度向上が、第二に従業員のAIリテラシーの不足や、AI活用に適した柔軟かつ俊敏な基盤の構築が挙げられます。現在、企業はファインチューニング(既存のモデルの調整)やRAG(Retrieval Augmented Generation:検索機能を用いて回答の精度を高める)の導入を通じ、AIソリューションの精度向上を図るとともに、従業員のAIリテラシーの向上や基盤構築を進めています。
2024年5月14日にOpenAIGPT-4oが発表されました。4oのoとは「オムニ」を意味していて、音声、画像、動画、テキストなど様々な情報の組み合わせを一度にほぼリアルタイムで処理することを可能とし、生成AIができることを大幅に増加させました。今後、生成AIは単に作業を効率化する存在ではなく、ビジネスユーザーの選択の幅を広げビジネスユーザーに寄り添う伴走パートナーになっていくでしょう。
アバナードは、生成AIソリューションの拡張は四つのステージに沿って進むと考えています。
2024年以降、企業はEnterprise Chat導入(ステージ1)を卒業し、企業固有データとの連携(ステージ2)に移行しつつあります。先進企業では業務・ビジネスとの連携(ステージ3)に進んでいる企業もあります。ステージ1は従業員のAIに対する理解やリテラシーを高めるために必ず実施しなければいけないものですが、ステージ2とステージ3は、順番通りに進めていく必要はありません。両ステージを並行するケースは今後増えてくるでしょう。
これまでは「生成AIを導入すること」が目的とされてきました。今後は高いAIリテラシーを持ったビジネスユーザーが生成AIを活用して何を成し遂げられるか、そして最終的には個々の取り組みを包含・連携させ、企業のビジネスやオペレーションをどう変貌させるかを明確に打ち出し、生成AIを導入・活用していくことが求められます。
RPAやDXなどを一過性のバズワードとして扱ってしまった企業も多いようです。
生成AIを永続的な企業変革のイネーブラー(目的達成を可能にするための手段)とするためには、企業として中長期的に生成AIをどのようにビジネス、オペレーションで導入・活用していくかを明瞭かつ具体的に落とし込んだAI戦略を策定することが必要です。そしてその策定にあたっては、AIリテラシーを持ち、業務にも精通した管理職が果たす役割は大きくなるでしょう。
管理職が企業の中で生成AIをどう導入・活用していくか。特に何をAIに任せ、何を人が担うのかといった「共生」の指針や生成AIに関するプロジェクトの進め方と要諦を示すことで、企業が生成AIを使いこなし、ビジネスを成長させるための一助となることが本書の目的です。
【目次】









