その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は佐藤智樹さんの『 AI駆動開発入門 』です。

【はじめに】

 本書を手にとっていただき、ありがとうございます。

 生成AIの進化により、ソフトウェア開発のあり方が大きく変わろうとしています。本書では、AIコーディングエージェントの台頭によって実現するAI駆動開発の全体像を紹介します。AI駆動開発は開発スピードを何倍にも高め、従来のチームの在り方さえ変わりつつあります。今回はAI駆動開発で扱われる主要なサービスの紹介や現場での活用シーン、変化する開発スタイルを体系的に解説します。本書を読むことで、最新のAIサービスをただ知っている状況から、日々の業務で実際に活かせる状態を目指します。

 筆者は、2025年1月ごろから1年間、AI駆動開発という分野に取り組んでおり、日々の業務利用やブログ執筆/イベント登壇も行っています。本書ではAI駆動開発を、システム開発の要件定義、設計、実装、テスト、運用などさまざま工程に対して、生成AIのツールや技術を組み込んで、開発のスピードや品質を飛躍的に高める手法と定義します。単純なAIコーディングエージェントによるタブの補完だけでなく、たとえばAIコーディングエージェントに対してタスクを依頼し、人間は生成されたドキュメントやコードをレビューするような振る舞いを指します。まだ生まれたばかりの概念ですので、本書ではこのような定義とします。

 まだ定義もあいまいなAI駆動開発ですが、一部のエンジニアは圧倒的な生産性の向上を感じて、日々多くの方が毎週のように移り変わるAIコーディングエージェントや周辺ツールの移り変わりに心を踊らせています。特定のツールが世に出て、勉強会を行えば国内だけでも毎回数百人や数千人が参加するほどの盛り上がりを見せています。LLMやサービスの進化に合わせて急速に変化する分野だからこそ、整理された知見が必要と考えます。

 本書ではAI駆動開発の変遷に触れながら、開発に取り入れる中で体感した、現場で本当に役立った使い方や考え方をメインにお伝えします。ただ、確かな情報だけでは開発スタイルの抜本的な改革が起きる未来を見通すことは難しいため、一定の確証を得られる情報も合わせて取り上げます。

 本書を読むことで、日々の改善にAIコーディングエージェントを活かし、次の時代の開発スタイルを理解いただければ幸いです。

対象読者

 本書は次のような読者の方たちを想定しています。

1. AI駆動開発を始めたいと考えているエンジニアの方
2. 社内でAI駆動開発を推進していく企業の担当者の方
3. 自社でソフトウェアを持つ企業の経営者やマネージャー層の方

 想定読者の1、2番の方々には本書全般を読むことを推奨します。背景を押さえつつ、実際に使われるツールや応用例を紹介していきます。本書を読むことで、エンジニアの方は日常の開発にAIを組込み、生産性を高める実践的な知識を得ることができます。推進担当者の場合は、社内に導入する際の判断材料や成功のヒントを得られます。
 本書では、AI駆動開発に今後取り組んでいくために、直近あった技術革新やツールの変遷を押さえていきます。第2章、第3章の技術者向けの内容は、特定の言語に依存しないように記載していますが、以下の内容を理解していることを前提とします。

● if/for文などプログラミングの基本的な構文
● シェルやCLIの基本的な構文
● Git/GitHubに関する基礎的な知識(Commit/Merge/Issue/Pull Requestなど)の理解

 想定読者の3番の方で特にソフトウェアエンジニアの経験がない方は、第1章、第4章、第5章を読むことを推奨します。AI駆動開発の背景を押さえつつ、エンジニアリングの詳細部分以外にも組織設計や事業戦略を立てるうえで重要な情報を紹介しています。一部ではエンジニアの採用を減らす方向もありますが、それが本当によいのか。どんな影響が今後起きるのかを、後半の章で紹介しています。こちらを押さえることで、投資判断や組織の方針策定を正しい方向に導く材料として利用してください。

本書の構成

 本書は以下の章で構成されています。

第1章 AI駆動開発の概要 - AI駆動開発とは何か、期待されることや現状を紹介
第2章 AI駆動開発で使われるサービス - AI駆動開発にてよく利用されるサービスを紹介
第3章 AI駆動開発で変わる開発フェーズ - 開発のどのフェーズでどんな使い方ができるか、AIを中心にした開発手法も紹介
第4章 AI駆動開発で変わること/変わらないこと - 現状の整理と今後の潮流の変化を紹介
第5章 今後起きる問題 - AIエージェントを利用したシステム構築で起きる問題を紹介
付録A Claude Codeワークショップ - AIコーディングエージェントを実際に試す

 まずAI駆動開発の概要をつかみ、注目されている理由を学んでいきます。関連するサービスが無数に存在するので、それらのサービスにどんなメリットがあったのか、時系列に沿って紹介します。その後、実際にどんなところで活用しやすいのか、今後開発のスタイルがどのように移り変わっていくのか。今後私達は何をしていくべきなのかを考察します。もしAIコーディングエージェントを使った経験がなければ、付録Aを試してください。


【目次】

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