数々の著名エグゼクティブのコーチを務め、世界有数のリーダーシップ思想家ともいわれるマーシャル・ゴールドスミス氏の世界的ベストセラー、『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』と『トリガー 6つの質問で理想の行動習慣をつくる』が、2024年2月、同時に文庫化。編集を担当した三田真美さんを迎え、ゴールドスミス氏の言葉やその人となりについてお話を伺いました。今回は2回目。(聞き手は、「日経の本ラジオ」パーソナリティの尾上真也)

「神様」の雄弁さに魅了される

尾上真也・「日経の本ラジオ」パーソナリティ(以下、尾上) 今回も『 コーチングの神様が教える「できる人」の法則 』と『 トリガー 6つの質問で理想の行動習慣をつくる 』(ともにマーシャル・ゴールドスミス、マーク・ライター著、斎藤聖美訳/日経ビジネス人文庫)の2冊を取り上げます。ゲストには編集を担当した三田真美さんをお迎えし、著者のマーシャル・ゴールドスミスさんについて伺っていきます。

 さて、2023年11月にゴールドスミスさんが来日されたとき、三田さんはご本人にお会いしたのですよね。リアルな「コーチングの神様」は、どのような印象でしたか。

三田真美・日経BP(以下、三田) ゴールドスミスさんが来日するという情報を耳にしたとき、ダメもとで「もし可能だったらビデオメッセージのようなものを撮影させてもらえないか」とお願いしたら、仲介してくださる方がいて、30分の時間をいただけたのです。取りあえず先に質問をメールで送り、当日、指定された場所に行くと、ポロシャツを着た神様がいきなりつかつかと出てきて(笑)。その存在感に圧倒されました。

「コーチングの神様」に直接会える機会に恵まれたという編集者。その存在感、雄弁さに圧倒されたそうです/画像クリックで『トリガー 6つの質問で理想の行動習慣をつくる』のAmazonページへ
「コーチングの神様」に直接会える機会に恵まれたという編集者。その存在感、雄弁さに圧倒されたそうです/画像クリックで『トリガー 6つの質問で理想の行動習慣をつくる』のAmazonページへ

尾上 やはりオーラがあるという感じですか。

三田 米国のトップビジネスコーチは、いろいろな人と会うことに慣れているし、高度なプレゼンテーションスキルが身に付いています。だからパッと目の前に現れたときは、立ち姿や身ぶり手ぶりがもう、タレントや役者のようでした。

尾上 実際の撮影はいかがでしたか。スムーズに進みましたか。

三田 スムーズどころか、「これは確かに神様だわ」と思いました。私が事前にお送りした質問を、ゴールドスミスさんが信頼する通訳者がその場で英語で質問してくれて、「分かった、OK。『3、2、1』と言ってくれたらカメラに向かって話すから」とおっしゃったんですね。そして「3、2、1、ゴー」と言ったら、1つの質問に対して3分ほど、スラスラとしゃべって一発OK。撮影では7つか8つくらい質問したのですが、尺ぴったり、捨てカットなし。立て板に水のように話されるんですよ、よどみなく。

尾上 それはすごい。

三田 資料など何も見ないし、言葉をかまない。すごいと思いました。70歳を過ぎているにもかかわらず、肺活量もすごくて、どういうトレーニングをしているのかなと思ってしまいました。動画の編集も話ごとに切っただけなので、ほぼ全編が入っています。

尾上 私も動画を見ましたが、まったく年齢を感じさせない話し方でした。その動画は「日経BOOKプラス」で公開されていますので、改めて皆さんにも見ていただきたいですね。

根底にあるのは、仏教的な思想

尾上 動画はほぼ撮って出しとのことですが、なかでも印象に残っている話はありますか。

三田 動画3本目の仏教の話です。なぜ仏教に関心を持つようになったのか、また個人的なエピソードなどをお話しくださっています。彼は宗教的な仏教徒というより、哲学的な、思想としての仏教に関心があったそうです。1970年代、20代のころ仏教に共感して以来、自分は仏教を信じているんだというエピソードは印象的でした。

尾上 世代的にも、アップル共同創業者のスティーブ・ジョブズと近しいアプローチなのでしょうか。

三田 ニューエージ世代ですね。ゴールドスミスさんは、仏教の思想的なエッセンスや、アクセプタンス、つまり「受け入れる」ことに感銘を受けたようです。瞑想(めいそう)にもすごく熱心で、禅堂での瞑想もずっと続けているそうですよ。

尾上 『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』と『トリガー 6つの質問で理想の行動習慣をつくる』の2冊も、また近著の『 よい人生は「結果」ではない 』(マーク・ライター共著、斎藤聖美訳/日本経済新聞出版)も、根底には仏教の思想、哲学があるのでしょうね。

三田 『コーチングの神様』では、「フィードバック」と「フィードフォワード」という話も出てきます。円環する、循環していくという考えですが、仏教的ですよね。例えば、やっていることが次につながって、あなたが悪いことをしたら、次もまたそうなっていきますよ。だから、よいことを繰り返していきましょう、と説いています。そのような点も意識しながら読むと、さらに視野が広がるかもしれませんね。

文/三浦香代子 構成/山崎 綾、市川史樹(日経BOOKプラス編集)

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